2022.08.16 フリーランスでも名刺は必要?載せるべき項目と作成時のポイント
フリーランスとして働き始めると、本来の業務以外のところで、さまざまな疑問が生じることがあります。企業に勤めている人が当たり前に使っている名刺も、「フリーランスでも用意する必要があるのか?」と悩むことがあるかもしれません。
この記事ではフリーランスにこそ名刺が必要な理由、記載すべき情報、名刺を作る方法を詳しく解説します。名刺を作るときのポイントを知り、フリーランス業務の中で効果的に活用してください。
目次
・フリーランスに名刺が必要な理由
・フリーランスだからこそオンライン名刺の備えも
・フリーランスの名刺に必要な情報
- 氏名・ビジネスネーム
- 肩書き
- 資格
- 屋号
- 住所
- 電話番号(FAX番号)
- メールアドレス
- ホームページ・WebサイトURL
- SNSアカウント
- 顔写真・似顔絵
- 実績・ポートフォリオ
- 簡単な料金表
- 趣味・特技
・フリーランスが名刺を作るときの4つのポイント
- ①アピールしたいポイントを明確にする
- ②オリジナリティのあるデザインにする
- ③必要に応じて複数種類作る
- ④相手の立場になって作る
・フリーランスが名刺を作る方法
- 自分で作る
- 専門業者に依頼する
- クラウドソーシングサービスで依頼する
・まとめ
フリーランスに名刺が必要な理由
フリーランスは営業活動も自分で行う必要があります。オンラインで顧客を獲得するケースも増加していますが、人脈を広げる集まりに参加したり、対面で営業活動を行ったりする機会もまだまだあります。せっかく興味を持ってもらっても、フリーランスとして活動を紹介できるツールがなければ、商談のチャンスを失ってしまうこともあるでしょう。
名刺交換をすることで、相手とのつながりを深めることができます。自分らしさを上手に表現できた名刺、オリジナリティ溢れるデザインの名刺は、相手の印象に残りやすく、今後の仕事につながる可能性も高まります。
フリーランスだからこそオンライン名刺の備えも
名刺交換といえば対面が前提ですが、コロナ禍の影響でテレワークが浸透し、「初めまして」の商談の挨拶もオンラインで行うことが珍しくなくなりました。従来のように名刺交換ができず、名刺交換自体を省略する人もいるようですが、肩書きや役職など、公式情報が管理しにくいと悩む人も同時に増えているようです。
そこで注目を集めているのがオンラインで行う名刺交換です。オンライン名刺とは、クラウド上に名刺データを登録し、URLやQRコードを使用して名刺情報を交換する方法。SNSのように相手に名刺交換のリクエストを送るなどできる名刺交換ツールも増え、サービスの多様化も進んでいます。
Sansan株式会社が2021年11月に実施した「コロナ禍における名刺文化に関する意識調査」結果によると、今後利用したい名刺の形式について「紙とオンライン名刺の併用」と回答した人が42.2%と半数近くで最多に。紙の名刺だけでなくオンライン名刺も合わせて活用するスタイルが一般化していくことが予想される結果となりました。
一方、東京都の「テレワーク実施状況」によると、2021年の緊急事態宣言期間の65%を最高に2022年11月には52%にまで下がり、「原則出社」に戻っている会社も少なくないといえます。ただ、もともと在宅・リモートで作業するのが当たり前であるフリーランスにとっては、今後もオンラインでの会議や打ち合わせが前提となる状況は大きく変わらないと考えられます。つまりフリーランスにとってこそ、オンライン名刺を備えておくほうが安心といえるでしょう。
出典:コロナ禍における名刺文化に関する意識調査|Sansan株式会社
フリーランスの名刺に必要な情報
フリーランスの名刺は、企業に勤めている人と同じにするのではなく、「この人に仕事を頼みたい」と思える情報を記載することが大切です。ここでは、フリーランスだからこそ必要な情報を解説します。
氏名・ビジネスネーム
もっとも目につく場所に、大きめのフォントサイズで記載します。読みにくい氏名や、海外の人との取引も考えている場合は、ふりがなやローマ字も表記します。ビジネスネームを使っている人は、本名ではなくビジネスネームを使いましょう。
肩書き
氏名の次に大切といえるのが肩書きです。とりわけフリーランスにとっては会社名や部署名がないので、肩書きで「何を専門にしている人なのか」が判断されます。後に名刺を渡した相手が名刺を見返したり、ある職種を探したりしてビジネスチャンスのきっかけにもなりますので「ITコンサルタント」「マーケティングコンサル」など、もっとも自分が得意とする具体的な領域や職種を記載するようにしましょう。
資格
フリーランスの中でもコンサルタントといった専門職の場合は特に、得意領域の専門性を裏付ける客観的証明として所有資格を名刺に記載することをお勧めします。例えば、中小企業診断士やIT系のSAP認定資格、ITストラテジストなど、業務に関連する資格を記載すれば、それらに関連したプロジェクトのオファーに繋がりやすくなります。
屋号
会社員が会社名を記載するように、フリーランスの場合は屋号を記載します。これからつける場合は、屋号から業務内容がわかるようにすると、名刺交換の際に会話が弾みやすくなります。
将来的に法人化を考えている人は、法人名に引き継ぐことまで想定して屋号を考えましょう。フリーランスとして使っていた屋号を法人化する際に変えてしまうと、過去の実績と紐づけしづらくなるため、今後の働き方を検討したうえで屋号を決めていきます。
住所
事務所を借りている場合は、事務所の住所を記載します。フリーランスでは自宅兼事務所として働いているケースも多いですが、家族がいる人、女性の一人暮らしなどは、自宅の住所を知らせることに不安を感じることもあるでしょう。
名前を覚えてもらうことが名刺の目的であれば、住所は記載しなくても問題ありません。仕事につなげることを意識するなら、最寄り駅や活動エリアだけでも載せておくと、相手に信頼してもらいやすくなります。
事務所を借りるほどではないけれど、仕事用の住所がほしい場合は、バーチャルオフィスを利用する方法もあります。
電話番号(FAX番号)
仕事用の固定回線、携帯電話がある場合は、通じやすい方の電話番号を記載します。仕事柄FAXが必要な場合は、FAX番号も名刺に記載しておくと親切です。住所と同様、自宅兼事務所で働いていて個人情報を伝えることに不安がある人は、自宅の固定電話を載せる必要はありません。
メールアドレス
メールアドレスは、連絡手段として必須の情報です。フリーメールではなく、独自ドメインのメールアドレスを取得することで、フリーランスとしての信頼感は高まります。
パソコンのアドレスや携帯アドレスなど複数の情報が載っていると、「どこに連絡すれば良いのか」と相手が迷ってしまうため、確実に連絡がつく一つを選んで記載しましょう。
ホームページ・WebサイトURL
ホームページがある場合は、名刺にURLを記載します。ただしURLをわざわざ打ち込んで調べるのは面倒なので、簡単にアクセスできるQRコードを載せておくと親切です。
ホームページでは個人が特定できるような情報は書かず、仕事に関する内容のみを発信していきましょう。仕事用のホームページが用意できないからといって、個人用のWebサイトを記載する必要はありません。
SNSアカウント
プライベートのアカウントではなく、仕事用のアカウントを記載します。フリーランスにとってSNSは重要な営業ツールとなっており、上手に活用することで仕事の幅を大きく広げることができます。
SNSは気軽にメッセージのやりとりもできるので、名刺にアカウントを記載しておくことで、SNS経由での仕事依頼も期待できます。ただし、SNSでの影響力をチェックされることもあるため、名刺に仕事用のアカウントを記載する場合は、放置せず積極的に活用していきましょう。
顔写真・似顔絵
顔写真や似顔絵を載せることで、相手の印象に残りやすくなります。たくさんの人と名刺交換をする場面では、顔写真や似顔絵があると、あとから名刺を見たときに顔を思い出してもらえる可能性が高くなります。ただし、自分の顔を知られることになるため、顔写真や似顔絵を載せていないデザインも用意して、使い分けられると安心です。
実績・ポートフォリオ
これまで請け負った業務内容、受賞歴などを厳選して記載します。表面に余裕がなければ、裏面に記載しても構いません。実績やポートフォリオは、仕事を依頼するうえでの大きな判断基準となるため、自分の強みをしっかりとアピールできるように工夫しましょう。
Web上にポートフォリオがある場合は、URLではなくQRコードを載せておくと、アクセスしてもらいやすくなります。アピールポイントになるのであれば、フリーランスになる前の経歴も記載しましょう。
簡単な料金表
「名刺に料金表まで載せる必要があるのか?」と思う人もいるかもしれませんが、ホームページに詳細な料金表を掲載しても、アクセスしてもらわなければ価格感を伝えることはできません。詳細な料金表は必要ありませんが、名刺に簡単な料金体系が書いてあれば、仕事を依頼する判断材料となります。
趣味・特技
仕事上必要な情報ではありませんが、会話のきっかけとしてはおすすめです。名刺の裏面に余白があれば、趣味や特技など、自分のプライベートな部分を少しだけ載せてみましょう。同じ趣味を持つ人であれば、話が弾んで仕事につながる縁ができることもあります。
また、フリーランスでは仕事の実績に加えて、人柄も求められます。背伸びをする必要はないので、等身大の自分を紹介してください。
フリーランスが名刺を作るときの4つのポイント
フリーランスの名刺は、記載している情報だけでなく、見せ方やデザインにこだわることも大切です。ここでは相手に良い印象を持ってもらえる名刺のポイントを紹介します。
①アピールしたいポイントを明確にする
「何のために名刺を渡すのか」を明確にすることで、記載すべき情報やデザインが決まります。まずは、先ほど紹介した名刺に記載する項目の中から、何をアピールしたいのかを考えましょう。
「自分自身を覚えてほしい」という目的であれば、氏名や屋号を目立つようにしたり、職種や肩書を加えたりすることで、自分自身を効果的にアピールすることができます。SNSでつながりたい人はSNSアカウントに誘導しやすいように、仕事を受注したい人は実績やポートフォリオを見てもらいやすいように工夫してみましょう。
②オリジナリティのあるデザインにする
あとから名刺を見返したときに「あのときのあの人だ」と思い出してもらうためには、オリジナルティのあるデザインにすることがポイントです。オリジナリティ溢れる名刺は印象に残るだけでなく、自分やその能力に興味を持ってもらうきっかけにもなります。名刺を自分の実績の一つとして捉え、こだわりを持って作成してみましょう。
ひと目で分かるように、自身の得意領域や職種を連想させるデザインにするのも有効です。例えば、経営コンサルタントであれば知的で誠実感のあるテイスト、ITコンサルタントであればパソコンやプログラミングソースなどのビジュアルやアイコンを取り入れたデザインなど。さらに、オリジナルのロゴを入れる、オリジナリティあるフォントを使う、カラーコーディネートを意識するのも良いでしょう。これらのことを実践するだけで、個性的でおしゃれな名刺を作ることができます。
また、名刺に使う紙の材質にこだわることで、高級感や重厚感の表現も可能です。仕事内容と関連があるデザインも用いることで、その後の会話のきっかけにもなるでしょう。
③必要に応じて複数種類作る
相手や状況に応じて使い分けたい人は、複数種類の名刺を作成するのもおすすめです。セミナーや異業種交流会で不特定多数に配る場合は、顔写真、住所、電話番号など、知られたくない情報を載せていない名刺を作成します。
クライアントに渡す場合は、住所や電話番号を始め、必要な情報はすべて記載しましょう。信頼関係を築きたい人、長くお付き合いしたい人に対しても同様です。
フリーランス同士の人脈作りや、インパクトを重視したい場合には、座右の銘やニックネームなどを記載したユーモラスなデザインの名刺を作ってみると、会話が盛り上がるかもしれません。
④相手の立場になって考える
名刺の作成でもっとも重要なのは、相手の立場に立って考えることです。名刺は自分自身をアピールするツールですが、肩書が多すぎたり、フォントが小さすぎたりすると、相手の印象は悪くなります。「自分が企業担当者だったら、フリーランスの名刺に何を求めるか」を考えながら作っていきましょう。
例えば、名前や連絡先など基本的な情報だけでは、その人がどのような仕事をしてきたかはわからないため、仕事の依頼につながりづらくなります。また、仕事を依頼したいと思っても固定電話しか記載されておらず、なかなか連絡が付かなければ、見送られてしまう可能性もあるでしょう。名刺という限られたスペースですが、厳選した実績、連絡が付きやすい携帯電話番号などはしっかりと記載しておきましょう。
フリーランスが名刺を作る方法
フリーランスが名刺を作成する方法は、大きく3つあります。ここでは「自分で作る」「専門業者に依頼する」「クラウドソーシングサービスで依頼する」方法のメリットや注意点を紹介します。
自分で作る
自分で作成するメリットは、コストを抑えたうえで、自分好みにデザインできる点です。少ない枚数でもプリントできるので、数十枚単位で作成したい人にも向いています。デザインが苦手な人も、デザインツールやテンプレートを使用することで、簡単におしゃれな名刺を作成することが可能です。
自分で作る場合は、用紙選びやプリンターの設定に注意する必要があります。プリンターによっては周囲に余白が発生して、デザインが途中で切れてしまうこともあるので、試し印刷をしながら調整していきましょう。
【自分で名刺が作れるツール一例】
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専門業者に依頼する
手間をかけずに高品質な名刺を作りたい人は、業者やプロに任せる方法が最適です。専門業者に依頼する場合は、50枚~、100枚~など、最低発注枚数が決まっています。専門業者は高額になるイメージがあるかもしれませんが、納期にこだわらなければ100枚1000円以下で注文できます。
専門業者では、名刺のテンプレートを用意しているところがほとんどなので、好みのデザインを選んで必要な情報を入力していくだけで、すぐに名刺が作れます。光沢紙、耐水紙、凸凹した材質が特徴のエンボス紙などに加えて、金箔やクリアトナーなど特殊な加工に対応している業者もあるので、ぜひチェックしてみましょう。
【名刺作成業者の一例】
クラウドソーシングサービスで依頼する
クラウドソーシングサービスでは、フリーランスのデザイナーや、デザインが得意な人に名刺の作成を依頼できます。似顔絵だけクラウドソーシングで書いてもらい、名刺は自分で作成する方法もあります。実績がある人に依頼することで、比較的安価で自由度の高い名刺が作れるでしょう。
クラウドソーシングを利用する際は、「どこまで対応してくれる出品者なのか」を事前に確認することが重要です。データのみ作成、印刷まで対応、名刺サイズにカットなど、出品者によって対応範囲は異なり、価格も変わってきます。事前の確認がしっかりとできていないと、追加費用の発生、出品者とのトラブルに発展するケースもあるので気をつけましょう。
【名刺作成が依頼できるクラウドソーシングサービスの例】
まとめ
フリーランスの営業活動を効果的に進めていくためには、名刺の作成が欠かせません。名刺を渡す目的とアピールしたいポイントを明確にすることで、最適な名刺のデザインが決まってきます。
フリーランスの名刺では、氏名、屋号、メールアドレスなどを記載します。ホームページに誘導したい場合は、URLだけでなくQRコードを載せておくと、相手にアクセスしてもらいやすくなるでしょう。「自分が何を伝えたいか」も大切ですが、相手の立場になって必要な情報やデザインを考えることで、仕事の依頼につながる名刺を作成できるでしょう。