2022.08.02 EY、Fractaと日本で初めてAIを活用した下水道管路劣化予測手法を構築
7月11日、 EY新日本有限責任監査法人(以下、EY新日本)およびEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下、EYSC)、Fracta、Fracta Japan株式会社(以下、Fracta Japan)の4社で共同実施した国土交通省の令和3年度下水道応用研究に採択された「AIによる下水道管路破損予測、財政効果の可視化ならびにストックマネジメント、アセットマネジメントの高度化に関する調査業務」の結果を発表した。
調査の背景には、下水道管の老朽化に伴う陥没事故の発生や、将来の更新費用増大などの課題を踏まえ、劣化状況の把握や管路更新計画の立案、投資費用の削減が急務であることにある。
本業務では滋賀県大津市企業局の協力を得て、日本初となるAI(人工知能)/機械学習を活用した下水道管の劣化予測技術の確立を目指すとともに、今後の更新費用が財政に与える影響の可視化を検討した。
研究結果の概要は以下の4点である。
・上水道分野で実績のあるAIアルゴリズムを下水道分野に適用し、下水道に特化した管路劣化予測AIアルゴリズムを確立した。
・モデル都市(大津市)における下水道管路の劣化予測精度について、AIを用いた劣化予測は、直近2年間に発生した腐食について、従来手法の半分以下の調査で発見できることが明らかとなった。
・従来型の布設年度からの経過年数のみを変数とした管路劣化予測式を用いた場合、50年間で213キロメートルのコンクリート管について更新が必要と推計されていたが、今回のAIによる予測手法では、50年間で劣化すると予測されたコンクリート管は累計45 キロメートルとなり、従来手法よりも劣化予定の管路は大幅に減少した。これにより、交換優先順付が容易になることがわかった。
・本技術による財政効果の可視化を実施した。その結果、劣化診断精度の向上により、ストックマネジメントの維持管理費用(管路のテレビカメラ調査費用)の約75%が削減できる可能性が示唆された。
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