2022.08.26 デロイトトーマツ|日系グローバルファームの企業特徴
コンサルティングファームといえば、強力な外資系企業がひしめく分野というイメージがあるかもしれませんが、日系企業として国際的に活躍しているコンサルティングファームも存在しています。本コラムでは、その中の一社である、デロイトトーマツコンサルティング合同会社をご紹介します。事業内容や概要について、詳しく見ていきましょう。
デロイトトーマツの事業内容
デロイトトーマツコンサルティング合同会社(以下、デロイトトーマツ)は、日本最大級の経営・マネジメントコンサルティングファームです。世界最大規模の会計事務所であるデロイト・トウシュ・トーマツ(以下、トウシュトーマツ)の主要なメンバーファームの一角であり、トウシュトーマツは世界150か国以上に20万名超のエキスパートを擁する一大ネットワークとなっています。
また、デロイトトーマツは日本最大級の会計事務所である有限責任監査法人トーマツのメンバー企業でもあり、領域横断的な案件を得意とするファームです。その対応分野は広範にわたり、事業戦略や経営管理基盤の立案・推進、組織や業務プロセスの構築から、人事または情報システム等々、様々なフィールドでのコンサルティングを行っています。
デロイトトーマツの会社概要
以下、デロイトトーマツの会社概要です。
代表者
デロイトトーマツの代表者は佐野真人氏。
企業の形態は合同会社ですが、役職名は代表執行役社長としています。
会社公式URL
設立年
デロイトトーマツの設立年月は1993年4月です。
資本金
デロイトトーマツの資本金は5億円です(2020年5月末時点)。
売上高
デロイトトーマツの売上高は非公開です。
また株式も同じく非公開となっています。
従業員数
デロイトトーマツの従業員数は、2021年5月末時点で3,846名です。
企業理念
デロイトトーマツグループの理念は以下のとおりです。
・「経済社会の公正を守り率先してその発展に貢献する」
・「クライアントの期待を超える知的専門サービスを総合的に提供する」
・「各人の個性を尊重し能力を発揮できる生きがいのある場を創りだす」
また、彼らが抱える行動指針として、Deloitte network Purposeというものがあります。
「Deloitte makes an impact that matters.
私たちは、クライアントにとって、メンバー一人ひとりにとって、社会にとって、最も価値あることをもたらすために日々挑戦を続ける。
私たちは、創造性に溢れた洞察によって複雑な課題を解決し、クライアントの持続的な成長を支える比類なきサービスを提供する。
私たちは、クライアントに卓越した価値を提供するために、素晴らしいキャリア体験とオープンで協調的な文化を通じて、才能あるプロフェッショナルたちを輝かせる。
私たちは、誠実な組織でありつづけるとともに、私たちのコミュニティをサポートし、マーケットにおける信頼と信用を築くことで社会に貢献する。
共通の価値観が、発展的で揺るぎないインパクトの創造へと私たちの行動を導く。」
デロイトトーマツもこれらの行動指針と経営理念に従って事業活動を行っているといえるでしょう。
※出典:デロイトトーマツ「デロイト トーマツ グループの理念」
沿革
デロイトトーマツの前身は1981年に設立された等松・トウシュロスコンサルティングです。ここから1993年に経営コンサルティング部門が独立、トーマツコンサルティングが設立されます。残ったIT部門が1997年に社名変更を行い、デロイトトーマツコンサルティングとなりました。これは現在の同名会社とは異なるため、以下は旧DTCと略称します。
2003年に監査法人との資本関係を解消した旧DTCはデロイトトウシュトーマツのグループから脱退、アビームコンサルティングへと社名を変更しました。そして2008年、東京のトーマツコンサルティングがデロイトトーマツコンサルティングへと社名変更したのが、当該企業にあたります。2010年にはトーマツコンサルティング・西日本・関西・中京の各社と経営統合を行い、現在に至ります。デロイトトーマツの本社は東京・丸の内にあり、大阪・京都・福岡に支社を有しています。
※出典:Executive Link.「デロイト トーマツ コンサルティング合同会社」
※出典:Consultant転職.「デロイトトーマツコンサルティング(DTC)の会社概要(特徴・強み)」
デロイトトーマツファームの特徴
デロイトトーマツは、人材育成への熱心で丁寧な取り組みも特筆されるコンサルティングファームです。そのトレーニングシステムには、以下のようなものがあります。
まずはプロジェクトの実務を通して学ぶOJTがあり、数か月単位の短期間のうちに密度の濃い実践的な体験型教育を実施。またOFF-JTと呼ばれる仕事を離れた場でのトレーニングもあり、キャリアやレベルに応じた継続的な人材育成が行われます。
入社時には新卒者も中途入社者も入社時トレーニングを受け、昇格時には階層別トレーニングにより求められるコアスキルの習得を目指します。このことにより、昇格した際のスタートアップがよりスムーズに実現されるといえるでしょう。
スタッフ層にはベースとなるスキル習得のための基礎トレーニングを、コンサルティング業務や組織活動に関わる者には組織開発トレーニングをそれぞれ行います。
他にも各々の専門性を向上させるための分野別トレーニングがあり、知識や情報の吸収だけではなく各方法論の習得も目標としています。デロイトトーマツは、常に学び続けることのできる環境や組織風土といえるでしょう。
手厚い人材育成の一方で、デロイトトーマツはグループ全体が10年にわたって増収を続けているという安定成長企業の面も持っています。
また興味深い取り組みの例として、デロイトトーマツはコンサルティングファームでありながら、人工衛星の打ち上げにも着手していることが挙げられるでしょう。デロイトトーマツはコンサルタント業務を通じて航空宇宙産業に関する知見もあり、宇宙技術や宇宙データを活用して産業や社会・環境課題を解決するために、2021年より「GRAVITY Challenge」というビジネスマッチングプログラムを実施しています。これは2019年に、グローバルデロイトが先駆けて取り組んでいたグローバルプログラムです。
テクノロジーが発展すること、ブルーオーシャンであることのみが理由ではなく、地球規模の環境問題にも主体となって取り組む、広大なビジョンを持っているといえるでしょう。具体的にはグループの総力を挙げて、人工衛星の打ち上げや、それを利用したオペレーションセンターの開設を目指しています。
コンサルティングに留まらない大局的な視点で社会課題そのものへの問題提起を行い、現在我々が直面している事柄への新たな意識づけや解決策を見出すという意図が伺えます。
このようなことからデロイトトーマツは、各人が限りなく成長し続けることと、その成果を大きな視点で社会や世界に還元しようという意志を持った企業であるといえるでしょう。
※出典:デロイトトーマツ.「ニュースリリース」
まとめ
有数の日系グローバルファームであるデロイトトーマツ。コンサルティング業務が中心的な事業ですが、数多くの企業とのコミュニケーションによって蓄積された知見や知識は膨大な財産となっています。
航空宇宙産業への本格参入もそうした実績から導き出された自然な回答であるともいえ、堅実でありながら挑戦的、そして未来志向を強く打ち出す企業であるともいえるでしょう。宇宙に関わる産業には現在多くの民間企業が関心を示し、実際に成果を発表しています。そうした会社の一つとしても、デロイトトーマツの動向はますます注目されていくのではないでしょうか。