2021.12.27 建設DX事例【2021年版】|売上高トップ5社の最新DX事例・取組みまとめ
今回のコラムでは、建設業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについてご紹介します。近年では、あらゆる業種でDXへの取り組みが推進されており、ゼネコン業界も例外ではありません。特にゼネコン業界では、人手不足による業務効率推進・次世代へのノウハウ継承・省人化の推進など、DXの喫緊のテーマとなっています。そこで今回は、DXの必要性がますます高まる中、各ゼネコンのIR資料を参照しながら、「ゼネコン業界の最新DX事情」についてシェアしていきたいと思います。建設業界やゼネコンに携わる方、またDXに関心がある方はぜひ、ご参考ください。
※売上高:2021年3月時点
目次
・建設/ゼネコン業界の最新DX事例・取組み|売上トップ5社
- 1位:鹿島建設
- 2位:大林組
- 3位:大成建設
- 4位:清水建設
- 5位:竹中工務店
・まとめ
建設/ゼネコン業界の最新DX事例・取組み|売上トップ5社
ゼネコン売上高トップ5社のDX事例や取組みをまとめました。各社の戦略とあわせて、参考ページもまとめているので、ご一読ください。
1位:鹿島建設
最初に、ゼネコン売上高1位の鹿島建設(1兆9,071億円)のDX事例です。
鹿島建設は、中期経営計画の主要な施策として4点掲げています。特に投資計画においては、R&D・デジタル投資(550億円/3年)を予定しております。
2023年に向けた主要な施策
- 「トリプルZero2050」の活動加速
(カーボン・オフセットのための計画的な投資、環境配慮型材料の開発・使用推進)
- 次世代の担い手確保、サプライチェーンの維持・強化
- 成長・変革を担う人づくり・仕組みづくり
- R&D、DXの戦略的推進
※出典:「IR資料:鹿島グループ中期経営計画(2021-2023)-未来につなぐ投資-」
鹿島建設のDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「鹿島グループ中期経営計画(2021-2023)-未来につなぐ投資-」P20
2位:大林組
ゼネコン売上高2位の大林組(1兆7,668億円)のDX事例です。
大林組の2020年度コーポレート資料には以下のような記載があり、戦略上、DXに力を入れていることが伺い知れます。また、大林組は、DX部門を設けており、自社の特徴・ポイントも挙げております。
“大林組は、建設・土木・開発・新領域の4つの事業を柱に、事業領域の深化・拡大グローバル化を加速し、「ゼネコン」の枠にとらわれることなく成長を続けていきます。“
※出典:「IR資料:大林組コーポレート2021」
大林組のDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「大林組コーポレート2021」P79
3位:大成建設
ゼネコン売上高3位の大成建設(1兆4,801億円)のDX事例です。
大成建設は、コロナ危機により顕在化した3つのX(IX、SX、DX)+グループ理念+大成スピリットを元に10年後の目指す姿「TAISEI VISION 2030」を策定しました。その中には、DXによる生産システムの変革と働き方改革実現への取組が記載されております。
・BIM/CIMの設計・施工クラウド連携 によるデジタルツイン構築
・調達関連情報提供システムの改善
・最先端のデジタル技術による生産プロセスの見える化と効率化
・統合プラットフォームの構築
・デジタル人材の確保とローテーション制度確立
・O&M領域の事業化
・データを基に最適なタイミングで提案する営業スタイルへの変革
※出典:「IR資料:TAISEI VISION 2030 中期経営計画(2021-2023)」
大成建設のDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「TAISEI VISION 2030 中期経営計画(2021-2023)」P23
「統合レポート2021 A4」P41
4位:清水建設
ゼネコン売上高4位の清水建設(1兆4,564億円)のDX事例です。
清水建設は、成長を支える経営基盤の強化・重点戦略の1つに「技術開発・デジタル戦略」を記載しております。
重点戦略:技術開発・デジタル戦略
技術開発
‐革新的な技術開発を可能にするために研究施設の整備、人財の育成、知財戦略を推進するとともに、オープンイノベーションを活性化
デジタル戦略
‐デジタルプラットフォームの活用によるビジネスモデルやワークスタイルの変革をグループ全体で実現
※出典:「IR資料:中期経営計画(2019-2023)」
清水建設のDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
5位:竹中工務店
ゼネコン売上高5位の竹中工務店(1兆2,377億円)のDX事例です。
竹中工務店は、コロナ危機によるニューノーマルを切り拓いていくために、竹中工務店が目指すNew Normal DXを記載しております。
新しい未来を切り拓く技術-New Normal DXの実現
・New Workstyle DX:共進化する「場(ba)」
‐具体的にはデジタルツイン、臨場感通信、アバター、感情認識・センシング等の革新的なテクノロジーを使用し、空間を統合することで、ニューノーマルなワークスタイルを支える未来の「場(ba)」を実現します。
・New QOL DX:ライフとワークが重なるコモン
‐竹中工務店が進めてきた「健築®」コンセプトに基づく空間づくり・まちづくりをベースとして、建物内部から屋上、半外部/外部空間、街路、公園等へとひろがる都市の「コモンスペース」を”リデザイン”するため、①交流を深める「近接性・開放性」、②身体活動を促す「ウォーカビリティ」、③ 感性を刺激する「バイオフィリア」、3つの空間特性を向上させる技術開発に取り組みます。
・New Sanitation DX:公衆衛生を保つプログラム
‐未来の「公衆衛生」の実現に向けて、①シミュレーション/予測に基づき構築される空間デザインに、②ゲーミフィケーションや教育を組み込んだプログラムが提供され、③ ビッグデータ解析/可視化技術を基盤とする分析・評価に基づき継続的にマネジメントされる社会システムの構築を目指します。
・New Gathering DX:間合いをとるテクノロジー
‐都市における新たな「集積」の実現に向けて、①時間的な「間合い」をとるための人流の把握・分析技術、② 時間的な「間合い」をとるための生活リズム・ライフスタイルの把握・分析技術等、「間合い」をコントールするさまざまな技術の開発に取り組んでいきます。
※出典:「IR資料:統合報告書2020 ディスクロージャー誌 本編」
竹中工務店のDXの取組について、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
まとめ
今回は建設業界の中でも特に、ゼネコン売上高トップ5社にスポットをあてた形で、各社のDX事例/取組みをまとめてみました。建設業界では急速にDXが広がっており、各社の戦略においても、大手ゼネコンを中心に新たな取組が行なわれています。デジタル技術の変化は早く、業界に携わる方にとって日々の情報収集は大変だと思いますが、今後も最新動向や事例など、少しでも皆さんのお役に立つような記事を発信していきたいと思います。