2021.11.11 物流DX事例【2021年版】|売上高トップ5社の最新DX事例・取組みまとめ
今回のコラムでは、物流業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みについてご紹介します。近年では、あらゆる業種でDXへの取組みが推進されており、物流業界も例外ではありません。特に運輸業界では、構造的な課題が新型コロナウイルスの感染拡大によって先鋭化したとの認識の下、人員不足や宅配便の増加、1人あたりの従業員の負担増加などさまざまな問題を抱えており、喫緊のテーマとなっています。そこで今回は、DXの必要性がますます高まる中、各運輸サービスのIR資料を参照しながら、「運輸業界の最新DX事情」についてシェアしていきたいと思います。
※売上高:2021年3月時点
目次
・物流/運輸業界の最新DX事例・取組み|売上トップ5社
- 1位:日本郵便
- 2位:ヤマトホールディングス
- 3位:SGホールディングス
- 4位:セイノーホールディングス
- 5位:福山通運
・まとめ
物流/運輸業界の最新DX事例・取組み|売上トップ5社
運輸売上高トップ5社のDX事例や取組みをまとめました。各社の戦略とあわせて、参考ページもまとめておりますので、ご一読ください。
1位:日本郵便
最初に、運輸売上高1位(3兆943億円)である日本郵便のDX事例です。
日本郵政グループ(日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命)は、DX推進などに向けた戦略的なIT投資の見込みとして、約4,300億円(5年間)を予定しております。
投資テーマ
①データドリブンによる郵便.物流事業改革
・郵便、物流事業のDX推進
- より便利な差出・受取サービス
- オペレーションの効率化
②安心・安全を最優先に質の高い金融デジタルサービスの充実
・デジタルサービスの拡充
- セキュリティ対策/不正防止
- 通帳アプリの機能拡充
- お客さま接点のデジタル化
③リアルの郵便局ネットワークと「デジタル郵便局」の融合
・デジタル郵便局の構築等
- グループお客さまデータ基盤
- 各パートナーとの連携
- データ分析/AI活用
- スマホアプリ(グループプラットフォームアプリ)
④窓口業務運営のデジタル化
・タブレット活用、各種手続のデジタル化
・コンサルティング強化
・デジタルデバイドへの対応
※出典:「DXの推進等に向けた戦略的なIT投資について」
日本郵便のDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
2位:ヤマトホールディングス
運輸売上高2位(1兆6,958億円)、ヤマトホールディングスのDX事例です。
ヤマトホールディングスは、「YAMATO NEXT100」と題し、経営構造改革に取組んでいます。そして、「ヤマトグループが持つ経営資源を組み合わせてイノベーションを創出する」ことを記載していることからも、デジタル活用の本気度が伺い知れます。
「YAMATO NEXT100」の目的
“ヤマトホールディングスのヤマトが、社会インフラの一員としてこれからも社会の課題に正面から向き合い、お客様、社会のニーズに応える「新たな物流のエコシステム」を創出することを通じて、次の時代も、豊かな社会の実現に持続的な貢献を果たす企業であり続けること。“
※出典:「中期経営計画「Oneヤマト2023」」
ヤマトホールディングスのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「中期経営計画「Oneヤマト2023」」
「経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」」
「AIの事業実装に向けた取り組みの進め方」
「ヤマトグループ連結決算概要<2021年3月期 通期>」
「統合レポート 2020One YAMATO 2023」
3位:SGホールディングス
運輸売上高3位(1兆3120億円)、SGホールディングスのDX事例です。
SGホールディングスは、経営戦略である「CSR重要7課題」の1つに「総合物流ソリューションよる新しい価値の創造」を掲げています。その取組みテーマの中には、デジタル化の推進と最新技術の導入があり、生産性向上に取組んでいます。
デジタル化の推進と最新技術の導入の狙い
① 新技術導入による業務の効率化・省力化を推進
② デリバリー事業を中心としたデータ蓄積等のリソース有効活用
③ 顧客サービス強化を目的としたIT投資
※出典:「中期経営計画Second Stage 2021」
SGホールディングス株式会社のDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「SG ホールディングスグループSDGsコミュニケーションブック2021」P12、16
「中期経営計画Second Stage 2021」P16
4位:セイノーホールディングス
運輸売上高4位(5,920億円)、セイノーホールディングスのDX事例です。
セイノーホールディングスは、DXを活用することで、以下のような日本の効率化ネットワーク実現を目指しています。
物流サービスの重点施策
①日本の効率化ネットワークの実現
・ 運送会社間の枠を超えた効率化物流
・ 中ロットのデュアルモード
・ 輸送情報のEDI化/顧客情報の整備
②デジタル技術を活用した高機能ロジスティクスの展開
・ 無人庫内オペレーション
・ 省人化
・ ロジトラファクトリーWMS機能
③地域物流におけるデジタルプラットフォームの構築
・ 物流・商流データ基盤
・ 共同事業化に向けたアクション
・ 試作データ基盤
※出典:「IR資料:2021年3月期 決算・中期経営計画説明会資料」P21-31
セイノーホールディングスのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「2021年3月期 決算・中期経営計画説明会資料」
「無在庫、無人化を実現する新スマート物流の事業化に向け業務提携」
5位:福山通運
運輸売上高5位(2,855億円)、福山通運のDX事例です。
福山通運の第5次中期経営計画の資料には以下のような記載があり、戦略上DXに力を入れていることが伺い知れます。
“With/Postコロナの時代は、いままでの仕事のやり方、生活の仕方が通じないニュー・ノーマル(新常態)の世界となり、AI、5G、IOT※などのデジタル基盤技術の活用による新しい生活様式に対応したサービスが求められてきます。これらは物流も例外ではありません。このような状況のなか、企業は、今まで以上に「持続可能性(Sustainability)」を高めていく新たな成長戦略が必要となります。第5次となる中期経営計画では、国連で定めた2030年までに世界が達成すべき持続可能な開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)を踏まえた基本方針を設定し、経営目標の達成を目指してまいります。”
福山通運のDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「第5次 中期経営計画(Challenge, Change 2023)~持続可能な発展のために~」P13
まとめ
今回は物流業界の中でも特に、運輸売上高トップ5社にスポットをあてた形で、各社のDX事例/取組みをまとめました。物流業界では急速にDXが広がっており、各社の戦略においてもDXの重要性がうかがえます。デジタル技術の変化は早く、業界に携わる方にとって日々の情報収集は大変だと思いますので、今後も最新動向や事例など、皆さんに役立つ記事を発信していきたいと思います。