2021.10.28 金融DX事例【2021年版】|銀行売上高トップ10社の最新DX事例・取組みまとめ
今回は、金融業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについてご紹介します。近年、あらゆる業種でDXへの取り組みが推進されており、金融業界も例外ではありません。特に銀行業界では、構造化された定量データを扱うことが多く、プロセスのデジタル化や自動化がDX推進の喫緊のテーマとなっています。そこで今回は、売上高トップ10の銀行について、IR資料を参照しながら、「銀行業界の最新DX事情」についてシェアしていきたいと思います。金融業界や銀行に携わる方、またDXに関心がある方はぜひ、ご参考ください。
目次
金融/銀行業界の最新DX事例・取組み|売上トップ10社
※出典:strainer「売上高:2020年3月期時点」
- 1位:三菱UFJフィナンシャル・グループ
- 2位:三井住友フィナンシャルグループ
- 3位:みずほフィナンシャルグループ
- 4位:ゆうちょ銀行
- 5位:三井住友トラスト・ホールディングス
- 6位:りそなホールディングス
- 7位:新生銀行グループ
- 8位:ふくおかフィナンシャルグループ
- 9位:CONCORDIA Financial Group
- 10位:めぶきフィナンシャルグループ
- まとめ
金融/銀行業界の最新DX事例・取組み|売上トップ10社
銀行売上高トップ10社のDX事例や取組みをまとめました。各社の戦略とあわせて、参考ページもまとめているので、ご一読ください。
1位:三菱UFJフィナンシャル・グループのDX事例
最初に、銀行売上高1位の三菱UFJフィナンシャル・グループのDX事例です。
三菱UFJフィナンシャル・グループの2020年度決算資料には以下のような記載があり、戦略上、DXに力を入れていることがうかがい知れます。
“「デジタル」、「サステナビリティ経営」、「挑戦・スピード」をテーマに変革を進める。デジタルシフトや環境・社会課題への意識の高まりなど、大きな変革へと向かう過渡期にあり、 潮流変化の中で金融の重要性が一層強まり、大きなビジネスチャンスが到来。 変化の速い時代にはスピードが重要。社会構造が変化する中で、MUFGも変わり、挑戦していく”
※出典:「IR資料:2020年度決算 投資家説明会」
三菱UFJフィナンシャル・グループのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「IR資料:2020年度決算 投資家説明会」P37~P39
「2017年:デジタルトランスフォーメーション戦略」
2位:三井住友フィナンシャルグループのDX事例・取組み
銀行売上高2位の三井住友フィナンシャルグループのDX事例です。
三井住友フィナンシャルグループでは、7つの重点戦略の5つ目に「アジアのフランチャイズ拡大とデジタル金融強化」を掲げており、DXへの取り組みを開始しています。
7つの重点戦略
- ①国内法人ビジネスの生産性向上とソリューション強化
- ②海外CIBビジネスの高度化による資産・資本効率の追求
- ③ペイメントビジネスにおけるNo.1の地位確立
- ④グローバルベースでのアセットライトビジネス推進
- ⑤アジアのフランチャイズ拡大とデジタル金融強化
- ⑥法人向けデジタルソリューションの展開
- ⑦資産運用ビジネスのサステナブルな成長
※出典:「IR資料:2020年度決算 投資家説明会」
三井住友フィナンシャルグループのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「IR資料:2020年度決算 投資家説明会」P28~P37
3位:みずほフィナンシャルグループ
銀行売上高3位のみずほフィナンシャルグループのDX事例です。
みずほフィナンシャルグループは、20年度下期経営の方向性として3点掲げています。その中には、デジタル化に関する記載も含まれています。
20年度下期経営の方向性
- ・社会の構造的変化をもたらしたコロナ禍は、〈みずほ〉のビジネス・経営基盤の在り方を大きく変える重要な転換点
- ・取引先とのエンゲージメントに基づき、財務・事業構造転換の支援に留まらず、事業リスクを共有するパートナーとして、競争優位を確立
- ・デジタル化を切り口に、店頭取引の効率化・非対面取引を拡充すると共に、多様な働き方を支える新人事戦略とオフィス改革を遂行
※出典:「IR資料:2020年度中間期決算 会社説明会」
みずほフィナンシャルグループのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「IR資料:2020年度中間期決算 会社説明会」P54~P66
4位:ゆうちょ銀行
銀行売上高4位のゆうちょ銀行のDX事例です。
ゆうちょ銀行の2021年度~2025年度における5つの重点戦略では、デジタルという言葉が2つの重点戦略で使われています。
2021年度~2025年度:5つの重点戦略
- ①リアルとデジタルの 相互補完による新しい リテールビジネスへの 変革
- ②デジタル技術を活用 した業務改革・生産性 向上
- ③多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化
- ④ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化
- ⑤一層信頼される銀行と なるための経営基盤の 強化
※出典:「IR資料:中期経営計画(2021年度~2025年度)」
ゆうちょ銀行のDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「IR資料:中期経営計画(2021年度~2025年度)」P9~P16
5位:三井住友トラスト・ホールディングス
銀行売上高5位の三井住友トラスト・ホールディングスのDX事例です。
三井住友トラスト・ホールディングスは、2020年度からの中期経営計画において、デジタル戦略において6つの戦略領域を設定しています。①~④の領域における各プロジェクトをスピーディーに推進するためには、デジタルを活用しながら体制面も同時に強化し続ける必要があり、「⑤テクノロジー基盤・組織体制」と、「⑥人材育成・採用」は中長期的に取り組むべき重要な戦略領域として位置付けています。
デジタル戦略における6つの戦略領域
- ①Improvement: 成熟した技術や既存資産を活用してオペレーションの抜本改革などを追求
- ②Refine:新技術活用や新資産獲得によって既存事業の改良・改革
- ③Reform:既存の強みや資産を転用して新たな市場や事業の開拓
- ④Disruption:新技術を活用して新たな成長領域の確立を追求
- ⑤テクノロジー基盤・組織体制
- ⑥人材育成・採用
※出典:「IR資料:統合報告書2020 ディスクロージャー誌 本編」
三井住友トラスト・ホールディングスのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「IR資料:統合報告書2020 ディスクロージャー誌 本編」P34
6位:りそなホールディングス
銀行売上高6位のりそなホールディングスのDX事例です。
りそなホールディングは、〈テーマ別IR 資料〉にて、デジタルバンキングの戦略や、〈 IR資料:2021年3月期決算の概要と経営の方向性について〉にて、3つのDX戦略を掲げており、積極的にDXを推進中であることがうかがい知れます。
DX戦略
- DXを通じお客さまへ多様な選択肢と新たな価値をご提供
- 「いつでも」「どこでも」お客さまに最適なソリューションをご提供(オムニ・チャネル)
- 法人・個人のお客さまの生産性・利便性向上をサポート(決済ビジネス)
※出典:「IR資料:2021年3月期決算の概要と経営の方向性について」
りそなホールディングスのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「IR資料:りそなのDXへの取り組み~デジタルバンキング戦略~」P34
「IR資料:2021年3月期決算の概要と経営の方向性について」P32~P34
7位:新生銀行グループ
銀行売上高7位の新生銀行グループのDX事例です。
新生銀行では、「お客さま本位の業務運営に関する取組方針」、および「アクションプラン」を策定しています。4項目からまる取組方針には、DX・チャネルも含まれています。
取組方針
- ・コンサルティング
- ・商品・サービス
- ・評価・教育
- ・DX・チャネル
※出典:「IR資料:統合報告書 2020年4月1日~2021年3月31日」
新生銀行グループのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「IR資料:中期経営計画」P7
「IR資料:統合報告書 2020年4月1日~2021年3月31日」P41
8位:ふくおかフィナンシャルグループ
銀行売上高8位のふくおかフィナンシャルグループのDX事例です。
ふくおかフィナンシャルグループは、中期経営計画において、長期ビジョン「ザ・ベスト リージョナルバンク」の実現に向け、5つの基本戦略を柱に、構造改革を加速させながら、進化の具現化と事業領域の更なる拡大に向けた基盤構築に取組んでいます。
5つの基本戦略
- 「人財力の最大化」
- 「グループ統合力の強化」を活用しながら
- 「業務プロセスの再構築」
- 「事業モデルの高度化」
- 「デジタルトランスフォーメーションの推進」
※出典:「IR資料:第6次中期経営計画」
ふくおかフィナンシャルグループのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「IR資料:第6次中期経営計画」P2めぶきフィナンシャルグループ
9位:CONCORDIA Financial Group
銀行売上高9位の CONCORDIA Financial Group のDX事例です。
CONCORDIA Financial Groupでは、デジタルトランスフォーメーションの実現に向けて、従来業務の改革への取り組み(業務のデジタルトランスフォーメーション)と新たな事業領域への挑戦(ビジネスモデル のデジタルトランスフォーメーション)を進めています。
DX(金融デジタライゼーション)の推進
- 業務のデジタルトランスフォーメーション
- 業務プロセスの改革
- 業務付加価値の向上
- ビジネスモデルのデジタルトランスフォーメーション
- 新規事業・イノベーションの創出
- 顧客体験の革新
- ※出典:「IR資料:2021統合報告書」
CONCORDIA Financial GroupのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「IR資料:2021統合報告書」P45-48
10位:めぶきフィナンシャルグループ
銀行売上高10位のめぶきフィナンシャルグループのDX事例です。
めぶきフィナンシャルグループでは、「第2次グループ中期経営計画の概要」に基本戦略の3つを掲げています。地域の成長を支援する総合金融サービスグループを目指しており、構造改革やコンサルティング機能×ITサービス利活用の強化を中心に取り組んでいます。
基本戦略
- 地域とともに成長するビジネスモデルの構築
- 生産性向上に向けた構造改革 総人員のコントロール
- 価値創造を担う人材の育成
※出典:「IR資料:2021統合報告書」
めぶきフィナンシャルグループのDXの取組みについて、詳細が知りたい方には、以下のページが参考になります。
「IR資料:2020年度 決算説明資料」P35
■まとめ
今回は金融業界の中でも特に、銀行売上高トップ10社にスポットをあてた形で、各社のDX事例/取組みをまとめてみました。金融・銀行業界では急速にDXが広がっており、各社の戦略においてもDXの重要性がうかがえます。デジタル技術の変化は早く、業界に携わる方にとって日々の情報収集は大変だと思いますが、今後も最新動向や事例など、少しでも皆さんのお役に立つような記事を発信していきたいと思います。