2023.08.16 「インターネット・オブ・ボディ」の将来と保険業界への影響(株式会社NTTデータ経営研究所)
株式会社NTTデータ(所在地:東京都江東区 代表取締役社長:佐々木 裕 以下NTTデータ)、株式会社NTTデータ経営研究所(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:山口 重樹 以下NTTデータ経営研究所) および将来予測を専門とするシンクタンクSCHOOL OF INTERNATIONAL FUTURES (所在地:英国 以下 SOIF)は、2023年1月より「インターネット・オブ・ボディ(以下 IoB)」の分野における共同研究に取り組んできた。
現在のIoBの状況を包括的にマッピングし、将来のシナリオ、技術者や政策立案者にとっての潜在的な課題や考慮事項に焦点を当てたものとなっている。
この度、共同研究の結果がまとまったため、報告する。
背景
モノのインターネット(以下、IoT)がIoBへと進化することは技術の展望に大きな変化をもたらす。
IoBはセンサー技術、AI、接続性、材料科学の進歩によって駆動され、人間の生理学と、その機能を監視または変更する能力を持つソフトウェアとハードウェアの融合を具現化している。
今回の研究結果は、これらの貴重な洞察を共有し、様々な分野におけるIoB技術の可能性について議論を促進する可能性を秘めている。
調査結果
① 健康と医療化
IoBについて考える際、通常は医療における応用と影響を考えるが、私たちの身体のさまざまな側面を追跡し、進化しつづけるデバイスにより、病院や介護施設だけでなく、日常生活でも、身体の状態を理解し、管理する上で非常に大きな機会が生まれる。
② 仕事と生産性
職場におけるIoBの応用が拡がることにより、従業員の動き、注意力、疲労レベルを追跡する既存のウェアラブルやインプラントから、従業員の能力を高める脳インプラントまで多岐にわたる可能性がある。
③ プライバシーとセキュリティ
IoB技術は、収集データの機密性、データの収集と分析に関わる関係者、技術自体のセキュリティの不備により、外部者がデータにアクセスし、個人の身体の一部を制御する可能性があることから、プライバシーとセキュリティに関する重大な問題を引き起こす可能性がある。
④ アイデンティティと自律性
IoB技術により、患者や消費者が自分の身体や習慣、行動をよりよく理解するために利用する可能性があり、自己認識と自己決定を深め、その結果、より充実した、健康で有意義な人生を送ることができるようになる可能性がある。
⑤ 保険業界への全体的な影響
IoBは、個人の活動や行動に関する広範な情報を開示し、それらの行動を形成・改善する新たな機会を生み出す可能性があり、その影響は広範囲に及ぶ。
今後の展望
IoBの時代は確実に到来する。糖尿病患者支援団体からアマチュアスポーツ団体まで、さまざまな分野ですでに多くのアプリケーションが存在し、それに付随して、本人確認、認証、認可の分野でのイノベーションも期待できる。現在、信頼とセキュリティの両方が、デジタル・リレーションシップのさまざまな側面において新しいデータ・アーキテクチャによって強化されることを示唆している。保険業界は、こうした新しい信頼のアーキテクチャの設計と構築を支援する信頼できるパートナーであるべきである。
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