2022.08.25 マッキンゼー・アンド・カンパニー|3大戦略ファームの企業特徴
的確な分析やアドバイスで企業経営の舵取りをサポートするコンサルタント。時に会社にとっての軍師ともいえるそんな人材を擁するのがコンサルティングファームです。本コラムでは3大戦略ファームの一つとして世界有数の評価を受けているマッキンゼー・アンド・カンパニーを取り上げ、その日本法人の概要をお伝えします。
マッキンゼー・アンド・カンパニー の事業内容
マッキンゼー・アンド・カンパニージャパンは、上場企業のみならず株式非公開の会社や政府機関などにも経営戦略コンサルティングサービスを行っています。その対応分野は公式ホームページによると、以下のように広範に及んでいます。
・自動車・産業機械
・化学
・消費財・小売り
・エネルギー
・金融サービス
・金属
・石油・ガス
・ヘルスケア
・プライベートエクイティ
・通信・メディア・テクノロジー
特に日本法人では、日本という国の特質ともいえるハイテク産業・金融業・医薬品産業といった将来的にも強みを発揮していくことが予想される分野を中心として、グローバルな視点からのコンサルティングを行っています。また、国内企業の上位30社の約80%に対して戦略コンサルティングを実施していることも特筆できるでしょう。
マッキンゼー・アンド・カンパニー の会社概要
マッキンゼー・アンド・カンパニーは1926年、シカゴ大学の経営学教授であったジェームズ・Oマッキンゼー教授らによって創始されました。2021年6月時点では世界65カ国に130の拠点を設け、30,000人以上のコンサルタントを抱える世界超大手の経営戦略コンサルティングファームです。以下にその日本法人の概要を記します。
代表者
日本法人の代表は岩谷直幸氏。
専門とする領域は消費財、オペレーション、マッキンゼー・デジタルで、戦略立案やオペレーション改革などを主眼としたコンサルティングを得意としています。一橋大学経済学部卒業、カーネギーメロン大学経営学大学院修士課程修了。
会社公式URL
設立年
日本支社の設立は1971年。また2018年には大阪市に関西オフィスを開設しました。
資本金
マッキンゼー・アンド・カンパニージャパンの資本金は非公開です。
売上高
マッキンゼー・アンド・カンパニージャパンの売上高は非公開です。
従業員数
マッキンゼー・アンド・カンパニージャパンの従業員数は、2020年3月時点で約600名です。
企業理念
創始者であるマッキンゼー教授は「一流の人材を通じて、一流の企業を、より一流にしていく」という理念を掲げました。
また「事実に立脚する」ことと「分析的アプローチ」を行うことの科学的な方法論を、この分野で初めて明確化した企業であるともいわれています。
沿革
ここではマッキンゼーの日本法人だけではなく、米国本社の沿革を中心に見てみましょう。
先述のとおりマッキンゼー・アンド・カンパニーの歴史は1926年に遡ります。これはその前身であったカーニー・アンド・マッキンゼーという会社から独立する形で、マッキンゼー教授がニューヨークオフィスを基に設立したものです。1933年にはマービン・バウアー弁護士を迎え、以降マッキンゼーの発展に大きく貢献しました。「事実に立脚する」「分析的アプローチ」といった科学的手法をコンサルティングの世界で初めて確立したのは、彼の功績とされています。
1959年には、初となる海外支社をロンドンに開設。以降、ヨーロッパ各地やカナダ、オーストラリア等々世界各国にオフィスを設けていきます。東京に日本支社を開設したのは1971年のことで、1999年までには世界20カ国以上に支社を構え、5,000名以上ものスタッフを擁するコンサルティング企業へと成長していました。日本では2018年、大阪に関西オフィスを開設。2021年6月の時点では世界65カ国に130の拠点を持ち、30,000名を超えるスタッフが働く世界有数のファームとして知られています。
※出典:Executive Link.「マッキンゼー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド・ジャパン」
※出典:Consultant転職.「マッキンゼー・アンド・カンパニー 転職・採用情報」
マッキンゼー・アンド・カンパニーの強み
次にマッキンゼー・アンド・カンパニーにはどのような強みがあるのかを見てみましょう。そこに根付き、受け継がれてきた企業文化や風土を生み出したコンサルタントたちの姿勢、そして実績ある専門分野などを中心にご紹介します。
妥協なき本質思考
マッキンゼー・アンド・カンパニーの強みについて考える時、第一にコンサルタントとして物事の本質を徹底的に追求する、妥協のない姿勢が挙げられます。圧倒的な本質思考とも言われるその社風は、日常的な取り組みにも表れているといいます。例えば、マッキンゼーの社風を端的に表現するのに「so what?」という有名なキーワードがありますが、まさに情報や事実のその先にある、本質を捉えようとする姿勢の表れといえるでしょう。
社内の会議や議論の場でも、単にデータを提示するだけでは決して終わらず、データを基に自身の見解や、具体的なビジョンを示すことが、重要視されています。そうしたスタンスはコンサルタント一人ひとりに徹底して根付いているといえるでしょう。
課題に取り組む際には、とことん考え抜く姿勢も有名です。
「ブレーキをかけない」と形容する人もいる妥協のなさは、単純な顧客満足にとどまらないプロフェッショナルな仕事ぶりとして、ある種の畏敬の念をもって語られることもあります。顧客にとっての満足度は顧客自身の目標や期待値、あるいはそのプロジェクトの予想着地点などとの比較によって左右されますが、マッキンゼーのコンサルタントはそこをゴールとしていません。
課題を追及することへのこだわりが強いため、マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントについて、ビジネスエリートではなく、職人や研究者の姿勢のようだと言う人も居るほどです。
とりもなおさずこれらは、創始者であるマッキンゼー教授の「一流の人材を通じて、一流の企業を、より一流にしていく」という言葉の体現にほかなりません。
デジタル分野での実績
またマッキンゼーでは、デジタル分野に対する実績も高く評価されています。
2020年9月時点におけるマッキンゼーのプロジェクトは、60%以上がデジタルプロジェクトに該当。年間1,200社以上のクライアントを支援し、特にDX(デジタルトランスフォーメーション)についてのメニューは以下の4つに大別されます。
・DTS(Digital Transformation Service: デジタル変革 )
・DDT(Data Driven Transformation: データドリブン変革 )
・Core Tech(Core Technology Transformation: テクノロジー変革 )
・Leap by McKinsey( 新規事業構築 )
DTSとは約2年を目処に戦略立案からデジタル変革実行までを支援する、成果報酬型のプログラムです。組織運営全般にコミットし、基礎からDXの実現を目指します。
DDTはDTSの中でも情報分析に主眼を置いたプログラムです。AIを活用した施策も推進しており、より高度な経営効率向上をサポートします。
Core Techは2025年の崖と呼ばれる既存システム老朽化等が引き起こす、国際競争力や経済力低下への懸念に備えるものです。テクノロジーの近代化を推進し、企業が時流に即したデジタル能力やシステム運営能力を獲得できるよう支援します。
Leap by McKinseyは未来予測が困難な現況において、臨機応変な事業活動を行うためのアドバイスを実施するものです。豊富なノウハウを用いて短期間でそれを実現することを目的としています。
このように、マッキンゼーではデジタル分野専門のセクションがあり、エンジニアやデータサイエンティストなどの専門スタッフが日本だけで50名以上、世界では5,000名以上在籍しています。
まとめ
企業の活動や経営に対して、第三者としての立場から的確なアドバイスや施策を分析・提案するコンサルタント。マッキンゼー・アンド・カンパニーのように世界規模でこうした事業を展開している企業があるのは、それだけコンサルタントという職と人材が必要とされている証左です。
コンサルティング業界で長い歴史と実績を有するマッキンゼー・アンド・カンパニーですが、その価値とニーズは今後もますます高まりを見せるのではないでしょうか。