2022.02.18 【調査レポート】2021年のM&A総取引額は過去最高の5兆9,000億ドルに-ベイン
2月8日、ベイン・アンド・カンパニー(以下、ベイン)は、2021年におけるM&A市場をまとめたレポート「M&A Report 2022」を発表した。本レポートによると、2021年のM&A総取引額は、5兆9,000億ドルに達したことが明らかとなった。
ベインが280人以上のグローバル企業の経営幹部を対象として行った調査によると、89%が自社の2022年の取引活動は2021年以上になると予測していることが分かった。また、2021年に企業主導の取引が47%増加した一方、金融投資家、SPAC(買収目的特別企業)、ベンチャーキャピタルが関与する取引は100%以上増加している。
日本国内におけるM&Aに関して、大型案件50件のうち8件は買収側の事業ポートフォリオ変革を目的としたアウトバウンド案件(日本企業による海外企業買収)であった。また、アウトバウンド案件は、過去5年間で取引総額の40%を占めるほどトレンドとなっている。具体例として、2021年の日本最大取引となった日立によるグローバルロジックの買収が挙げられる。
本レポートでは主に、人材確保、ESG、規制環境の変化について深く考察されている。人材確流出を防ぐために、企業が買収と統合の両方の際、人材について積極的に取り組み、従業員の支持を得られるような協力で説得力のある将来ビジョンを同時に確立することが求められる。
ESGは近年注目を集めるようになったが、M&A取引プロセスにおいてESGを定期的に幅広く評価していると答えたM&A担当役員はわずか11%に過ぎないことが分かった。しかし、調査対象者の65%は自社のESGを重視する傾向が今後強まると予測している。例えば、消費財業界において、68%の経営幹部がESGをシェア拡大、ブランドイメージの向上、変化する消費者嗜好への訴求の機会として捉えている。
規制環境に関しては、米国、西ヨーロッパ、中国において、独占禁止法の強化や国家安全保障への懸念の高まりによって、当初の計画を見直すことが求められている。昨年は政府の反対によっていくつかの大規模取引が中止されたものの、来年はさらなる規制強化が予想される。
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