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2022.02.09 DX成功に欠かせない「6つの視点」とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が叫ばれていますが、日本企業でDX推進に成功しているケースはたったの14%との調査結果もあり、多くの企業がDX推進に苦心しています。そこで今回は、DX推進に欠かせない「6つの視点」について解説したいと思います。

■目次
・DX推進が加速する背景
  - 技術の進化
  - コロナウイルスの影響
  - 特に課題感の大きい領域
・日本におけるDX成功企業はたったの14%
  - DXの成否を分けるもの
・DX成功に必要な6つの視点
  - 全体戦略の構築
  - トップダウンによる取り組み
  - DX推進を実現するIT人材の確保
  - DXのトレンドに対する柔軟な対応
  - 進捗状況のモニタリング
  - 安定運用を支えるプラットフォームの整備
・まとめ

 

DX推進が加速する背景

DX推進が加速する背景の解説に入る前に、まずはDX(デジタルトランスフォーメーション)の定義を確認したいと思います。DXとは、「Digital Transformation」を略した言葉で、簡単にいえば、「デジタル技術を活用し、日常生活やビジネスに変革を起こすこと」といえます。

経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」によると、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

出典:経済産業省:「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)

よくDXと混合されやすい言葉に「デジタル化」や「IT化」が挙げられます。デジタル化とは、既存の設備やシステムをデジタルに置き換えることで業務の効率化を狙うことで、IT化も基本的な扱われ方はデジタル化と同様といえます。これに対し、DXは「デジタル技術を駆使したビジネスの変革」であり、最終的な目的に違いがあります。

それでは、DXの定義を確認したところで、DX推進が加速する背景について、具体的にみていきましょう。

 

技術の進化

DXが推進されている背景のひとつに、スマートフォンやクラウド、ネットワーク、IoT、AIをはじめとしたデジタル技術の進化、普及が挙げられます。

 

コロナウイルスの影響

2020年初頭に起きた新型コロナウイルスの感染拡大は、企業のDX推進を加速させています。ボストンコンサルティンググループが発表した「デジタルトランスフォーメーションに関するグローバル調査(2020年4月〜6月実施)」によると、全業界のうち85%の企業がDX推進を加速しているとの結果が出ています。

 

特に課題感の大きい領域

同じく、ボストンコンサルティンググループの「デジタルトランスフォーメーションに関するグローバル調査(2020年4月~6月実施)」によると、50%以上の回答者が、従業員の働き方やデジタルマーケティング、サイバーセキュリティなどでDXの緊急性が高まったと答えました。

感染を防ぐためのテレワーク導入や、巣ごもり需要対応としてのECサイト出店、都市部に密集した労働力を地方に分散するなど、様々な分野でDX推進に対する課題感が増しているといえます。

 

日本におけるDX成功企業はたったの14%

社会情勢が急速に変化し、DX推進が現代ビジネスのトレンドになっている一方で、日本におけるDX成功企業はわずか14%ともいわれています。この14%という割合は、各国平均の30%と比較しても、極めて低い数字といえます。

 

DXの成否を分けるもの

それでは、どのような要素がDXの成功と失敗を分けているのでしょうか。日本企業と海外企業において、DXの成否を分ける要素を4つ紹介します。

 

DXを応用したモノづくり

かつては世界を引っ張る存在であった日本の製造業ですが、現在では他国と比較して遅れをとっている部分があるのも事実です。特に、設備投資への予算が大幅に削られている傾向にあり、日本政策投資銀行の調べによると、2020年の国内設備投資額は、全産業で10.2%の減少となりました。

一方、海外では、ドイツが2011年に国家プロジェクトとして、IoTを導入したスマートファクトリー化を推進しました。IT先進国となった中国でも、製造業のさらなる発展を目指す「Made in China 2025(中国製造2025)」に取り組んでいます。このように、日本と海外では、製造業への投資やDX推進に向けた取り組みに差が出始めており、結果として海外に比べて日本企業のDX成功事例が少ないことにつながっている状況です。

参考:日本政策投資銀行「全国設備投資計画調査(2021年6月)

 

経営者のDX推進に対する意識

日本企業でDX推進の成功例が少ない理由のひとつに、経営者のDXに対する意識も挙げられます。すでに解説したとおり、コロナ禍でDXのトレンドが高まっていることを理解しながらも、十分な知識を備えていないことから、システムの切り替えや設備投資も含め、DX推進をスピーディに進められていないのが現状です。

DX推進を実現するためには、経営者がDXの概念を理解し、強力なリーダーシップを発揮しなければなりません。

 

DX人材の供給不足

DX推進を進めるためには、DXを理解した人材が必要ですが、日本国内では、中小企業を中心に深刻なIT人材不足に陥っており、DX推進の遅れにつながっています。

平成28年に経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」では、2019年の約92万人をピークに減少傾向が続き、2030年には85万人までIT人材の供給が減るとの予測が出ています。このように、IT人材の確保が難しいことが企業のDX

推進の遅れに繋がっている状況があります。

参考:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果

 

DX推進に向けた戦略不足

DX推進に向けたビジョンや組織的な戦略が欠如している場合、失敗するリスクが高まります。よくある失敗例としては、DX推進が単なるIT化になっているケースやDX推進の根本的な目的が抜け落ちており、世の中のニーズを満たせない仕組みをつくってしまう、といったケースです。また、次々と登場するデジタル技術を前に、会社として何を取り入れるべきか判断が難しく、トレンドだからと何となく導入して、目的を果たせないといったケースも見受けられます。

デジタル技術の最新動向に着目することは間違いではありませんが、自社のビジョンやミッション等と照らし合わせたうえで、DX推進に取り組む必要があるでしょう。

 

DX成功に必要な6つの視点

それでは、DX推進に苦しむ日本企業が、今後、DX推進を成功させるにはどういったことを意識すればよいのでしょうか。DX成功に向けて、企業が持つべき「6つの視点」をご紹介します。

 

全体戦略の構築

DX成功に向け、企業持つべき視点のひとつが、「全体戦略の構築」です。例えば、企業理念をふまえ、「なぜDXを推進すべきなのか」、「世の中、あるいは自社のどんな課題を解決すべきなのか」、「課題解決のために、どのような技術を採用すべきなのか」、「どのような人材やパートナーが必要なのか」、「必要なコストに対し、得られるインパクトはどの程度なのか」等、DX推進の土台となる戦略を描く必要があります。

 

トップダウンによる取り組み

DX成功には、「トップダウンによる取り組み」も重要です。DXは単なるIT化ではありません。大きな変革を伴う取り組みです。従って、先に解説した全体戦略も含め、経営者自身がDXに対する理解を深め、強力なリーダーシップを発揮して組織を動かしていく必要があるでしょう。

 

DX推進を実現するIT人材の確保

各企業、競争優位に立つべくDX推進を加速しています。これは同時に、不足しがちなIT人材の獲得競争が激化することにも繋がります。そのようななかにおいて、どのようにDX人材を確保するのかは大きな課題となります。

もちろん、外部からIT人材を採用することも一つの手段ですが、社内の人材に対する教育を行い、段階的にDX推進体制を強化していく視点も必要でしょう。

 

DXのトレンドに対する柔軟な対応

目まぐるしく社会情勢が変化するなか、DXのトレンドにも柔軟に対応することが求められます。とはいえ、複雑化する世の中において、何が正解かを完璧に見定めることは難しいものです。場合によっては、「フェイルファスト」と呼ばれる手法を活用するのもひとつの手です。これは、早期に小さな失敗を経験し、そこからフィードバックを得て、スピーディに改善していくアプローチです。

 

進捗状況のモニタリング

DX推進の成功には、進捗状況のモニタリングも必要です。このとき、抽象的な要素ではなく、「他社と比較してどれくらい成果を達成したか」、「自社の課題に対して、DXの貢献度を数値化する」など、具体的なデータソースをもとに成果を算出することがポイントです。また、成果を測定したあとには、どのような改善を行うべきかも検討しましょう。

 

安定運用を支えるプラットフォームの整備

例えば、ECビジネスを行う場合、ECサイトや決済システム、在庫管理システム、MA、CRM等、様々なシステムを上手く連携しながら、効率的かつ安定的に運用できる仕組みを整備する必要があります。システム導入の際には、将来的な拡張性や保守のしやすさ、維持費なども考慮する必要があります。

 

まとめ

日本企業のDX推進は苦しい状況が目立っています。これからDX推進に取り組まれる方や、既に取り組んでいるけれども上手くいっていないという方は、今回ご紹介したDXの成否を分ける要素やDX推進に欠かせない「6つの視点」を是非、参考にしてみてもらえればと思います。



記事提供:NordVPN

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