2017.11.22 ~INTERVIEW~ 経営共創基盤の10年【第4回】コンサル業界の枠を超えたプロフェッショナルファームの実像
産業再生機構での「やり残した感」が心の奥にあった
聞き手:松本さんはIGPI創業に参画する以前は、産業再生機構で執行役員として九州産業交通などの事業再生を手掛けて実績を残したと伺いました。みちのりホールディングスの成功は、やはり松本さん自身が産業再生機構で経験したバス会社再建のノウハウが活きたのではないでしょうか。
松本氏:産業再生機構の4年間を通して、交通事業の再生の経験を得たこともあるでしょう。でも、どちらかと言えば「やり残した感」がずっと心に引っかかっていて、その想いがあったからこそ上手くできたのかもしれません。
産業再生機構の案件はエグジットが3年と決められていました。各々の会社で再生フェーズを乗り越えて財務的に堅固な状況にする所まで持っていけてもエグジットしなければならなかったのです。
「もっと企業を成長させられたのではないか?」とやり切れなかったこともありました。もし機会があったら成長フェーズまで持って行きたいという想いを持ち続けていました。
最初は松本氏を含めて5人からスタートした再生支援
聞き手:IGPIは出資もそうですが、経営者人材の育成を大切にされています。みちのりホールディングスの経営支援では現場にどのように送り込まれ、活躍されているのでしょうか。
松本氏:最初は自分も含めて5人からスタートしました。福島、茨城にそれぞれ2人ずつが常駐して再生支援をする形です。
最初は事業再生のプロジェクションを作る必要がありますが、4人中2人が優れた会計士でしたので、とても良いものを作ることができました。その時のメンバーはIGPIの社員として再生計画を策定後、バス会社に転籍してそのままずっと残って今でも経営を続けています。
IGPIが経営者人材を出すプラットフォームであることもあり、IGPIから人材を積極的に派遣して経営支援を行っています。事業会社出身でコンサル経験がないコンサルタントが、担当として割り当てられて、そのまま転籍したというケースもありました。
中にはIGPIの採用面接で「東北出身なので東北の会社の再生支援をしたい」と話した人を、入社2日目から岩手県北バスに配属した珍しいケースもありました。きっかけは様々ですが、みんな現場で活躍をしてくれています。
自ら買収提案を仕掛けていくことはないし、公共交通はそこまで合理的ではない
聞き手:サスティナビリティを貫く意味でも将来的に新たな投資機会を求めて、今後も地方公共交通機関のM&Aを行っていくのですか。
松本氏:東日本で仲間を増やす機会があれば積極的に検討しますが、みちのりホールディングス自ら積極的に買収提案することは基本的にありません。
交通会社の多くはその地域を代表する顔のような存在。買収についてクールに受け止めるような業界が日本にも出てきていますが、交通事業はそうではありません。あくまでも機会を頂いてからの検討となります。
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編集部による取材