2016.04.25 エムスリー谷村格氏(マッキンゼー出身)
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コンサルグファームを卒業後に「起業」にチャレンジしている人は多い。
本特集「コンサルティングファームを経た起業家たち」では、コンサル出身の起業家を詳細に紹介します
谷村格氏のプロフィール
マッキンゼー一筋、10年以上のコンサル経験を活かし起業
エムスリー代表取締役の谷村格氏は、1965年生まれ。国際基督教大学を卒業後、1987年にマッキンゼー・アンド・カンパニー入社。コンサルタントとして10年以上の経歴を積み、1999年に同社パートナー(共同経営者)となる。
コンサルタント時代はヘルスケア業界を担当。多くの医療関係者の話を聞く中で、医療・製薬業界の仕組みに問題意識を持つようになったという。その後、2000年にエムスリー株式会社(以下エムスリー)を設立、代表取締役に就任した。
エムスリー社のサービス
ウェブメディアを活用して医療業界に革命を
谷村格氏が設立したエムスリー社は、医療従事者、医療関連企業・施設を始め、一般企業やコンシューマーに至る幅広いターゲット層に向けた医療関連ウェブサービスを提供。
例えば、主軸事業の一つである医師向けポータルサイト「m3.com」の運営では、医療関連ニュースを始め、医師や看護師同士が交流するための掲示板、転職支援サービスなど、医療業界の幅広い情報を掲載。同サイトには国内の医師29万人の約8割が登録し、ログイン数が一日5万人を超えるという。
また、製薬会社と医師をつなぐプラットホーム「MR君」では、製薬会社が医師に対して効率的に医薬情報などを発信できる。従来の訪問営業スタイルと比較すると、製薬会社は営業コストを大幅に削減できる。また、医師にとっても最新の医薬情報をいち早く知り、患者の治療に活用できるというメリットがある。現在、約30の製薬会社、100を超える医薬品のプロモーションに利用されている。同サイトは、米国、中国、英国、韓国でも展開されている。中国では会員医師数が100万人を突破し、世界中で約250万人の医師が会員となっている。
その他にも「アイチケット」という医療機関の受付番号が事前にウェブ上で発行される予約システムや、「Ask Doctors」というウェブを通して患者が医師に相談できる会員制のサイトなど、コンシューマー向けのサービスも展開している。
事業拡大に向けての動き
積極的な事業の深堀、及び拡大が続く
同社は、2003年に東証マザーズに上場、2007年には東証一部へ上場市場を変更している。
今後の展望としては、既存事業の深掘、海外展開、新規事業の開拓などを視野に入れているという。2016年1月には、ユーザー数毎月約600万人の国内最大級コンシューマ向け医療総合サイトなどを運営する株式会社QLifeを完全子会社化。自社サービスの拡充(DTC広告やMR支援などの製薬会社向けマーケティング支援サービスの拡充、コンシューマ向けサービスの強化など)のシナジーを期待する。
また同年10月に、フランス、ドイツ、スペインの3カ国を中心とした世界各地域で医薬品情報のデータベース 関連事業を行うVidal Groupの持株会社 AXIO Medical Holdings Limitedを子会社化。グローバルな事業展開を加速する姿勢が見受けられる。