2017.11.07 ~INTERVIEW~ 経営共創基盤の10年【第1回 】新しい形態のファームを目指してきた10年
経営共創基盤(IGPI)は設立から10年が経過し、コンサルティング業界において独特な存在感がある個性際立つファームとなった。それは設立当初の狙い通りなのか、あるいは偶然の産物なのか。4回の連載に渡りIGPIの10年に迫る。1回目は、成り立ちから今までの歩みを村岡隆史・代表取締役マネージングディレクターに聞いたインタビューをお届けする。
経営共創基盤はコンサルファームというより「プロフェッショナルファーム」
コンサル業界ニュース編集部(以下「聞き手」):IGPIは設立後10年でコンサルティング業界に独自の地位を確立したように思いますが、この10年をどのように見ていますか?
経営共創基盤 代表取締役マネージングディレクター 村岡隆史氏(以下「村岡氏」):コンサル業界ニュースの取材の冒頭で言うのもおかしいのですが(笑)、まずIGPIがコンサル業界に分類されてよいのかな?と思います。IGPIがやっているのはコンサルティングファームではなくて、プロフェッショナルファームです。
聞き手:具体的に聞かせてください。コンサルファームとはどこが違っていますでしょうか?
村岡氏:まず、ビジネスモデルがまったく違う。経営に対する知恵を提供するコンサルティングだけでなく、必要であれば人も資金も提供する。知恵・人・資金の3つの機能をすべて持っているため、お客さんのニーズに合わせて必要なものを提供できる。その点がコンサルティングファームと全然違います。
二つ目の違いは事業に投資し、投資後に経営もやっていること。例えば、当社はみちのりホールディングスを設立し、東北のバス会社など数社に投資。地元経済に深く根を下ろす形で、経営を担っています。その他にもベンチャー企業への投資、AIの会社の設立なども行っており、グループ全体での従業員数は4000人を超えます。コンサルティングとは直接関係ない事業投資をして、経営までしているファームはコンサル業界には他にあまり見られません。
そして、三つ目は、IGPIの一人ひとりがコンサルティングのプロではなく、マネジメントのプロフェッショナルになりたい人の集団であることです。IGPIを卒業後は、起業するなり、企業の経営者や、経営者を直接サポートする幹部になっていく、そういうことを希望する人の集団です。コンサルティングのプロがゴールではないのです。
こういった3点から見てもコンサル業界にある会社とは少し異なった立ち位置であることが分かっていただけると思います。
日本にも世界にもないビジネスモデルを作ろうと思ったから
聞き手:どういう経緯で、このような立ち位置の確立に至ったのでしょうか?
村岡氏:既存のコンサルティングファームを否定するわけではないのですが、IGPIは創業時、日本にも世界にもないビジネスモデルの会社を創ろうと、志に賛同していただいた日本の大手の事業会社、金融会社、計23社が集まって出資頂き、設立しました。
既存のファームと同じビジネスモデルを希求するのでなく、人的資源と金融資源の両社をニーズに合わせて提供する新しいモデルのファームを作るつもりでした。また、企業規模に関わらず支援ができるファームにしたかった。中小企業にもコンサルの知恵、人材、資金を必要としている企業は多くありますが、既存の大手コンサルファームは大企業に対しコンサルタントを高単価の人月で提供していることが多く、中小規模の企業やベンチャーへの価値提供は出来ていない。
IGPIは、その実現のために、自らの資本基盤を拡充することにより、コンサルティングやFA(Financial Advisory)以外でも中小規模企業やベンチャーの経営に対しても付加価値を付けることができるファームを目指したのです。結果として当社の顧客は、大企業、中堅企業、中小企業やベンチャー企業がそれぞれ3分の1ずつの構成になっています。