2017.10.14 有限責任監査法人トーマツが働き方改革促進を目指し「トーマツ監査イノベーション&デリバリーセンター」を12月開所
有限責任監査法人トーマツは、監査業務の標準化と集中化を行う「トーマツ監査イノベーション&デリバリーセンター」(Tohmatsu Audit Innovation & Delivery Center : AIDC)を12月に千葉県千葉市美浜区幕張新都心に開所することを決定した。主に監査品質の向上と働き方改革の促進を目指して、監査現場をサポートしていくのが狙いとなる。
トーマツが「トーマツ監査イノベーション&デリバリーセンター」を開所する背景には、監査業界でも働き方に関する議論が行われるようになってきたことがある。そのため、トーマツは、公認会計士の高止まりした稼働率を引き下げ、監査品質と生活の質を向上するために、同センター(AIDC)を開所することになった。
◆AIDCが担う主な機能は次の通り
・業務標準化
各監査現場で実施されている手続において、監査先企業ごとの個別対応が必要とされない基礎的な入力、チェック業務や機械的な作業を標準化し、AIDCに集約することで効率化を図る
・人材ミックス
柔軟な人事制度、地域密着型のセンター運営により、多様な人材を採用しセンターの規模を確保するとともに、AIDCに専従の公認会計士チームが常駐し、監査業務の品質を担保する体制を構築する
・デジタル化
単に現場業務をセンターで行うのではなく、標準化した業務をさらにRobotic Process Automation (RPA)などでIT化する、紙ベースでの業務をデジタル化することで人工知能(AI)の活用を推進し、AIDC発のイノベーションで監査現場をサポートする
・監査資源
2021年5月までに、トーマツの公認会計士が関与する年間業務時間の10%を補完できる支援体制と手法を確立する
各監査現場で実施されている手続で、監査先企業ごとの個別対応が必要とされない基礎的な入力、チェック業務や機械的な作業を標準化。それらの業務を監査チームに代わりAIDCが集中的に処理することで、全監査チームへ一貫した高品質な監査補助業務を、高い効率性で提供することを目指す。これらにより、公認会計士等の有資格者が高度な判断業務や監査先企業とのより深度のあるコミュニケーションに集中できる環境を整備する。
開所当初は、記載内容の整合性を確認する突合、定型的な文章の作成や更新、情報収集とレポート作成、資料の印刷作業、債権・債務の残高確認オンラインサービス「Balance Gateway® 」を活用した確認状発送および回収のコントロールなどを行う。今後も業務の標準化を進め、順次、提供範囲を拡大する。
12月の稼働に際して、千葉市の企業立地補助制度の利用を予定。有資格者以外の人材を新たに採用し、2018年末までに150席体制、2019年末までに250席体制を構築する。この業務に携わる人員がライフスタイルに合わせた働き方を選択できるよう、AIDCのみに適用される柔軟な人事制度を採用し、かつ就業条件を年2回見直しが可能な制度も合わせて運用し、ライフイベントによる働き方の変化を積極的にサポートしていく。また、継続的な勤務を奨励する手当・施策や育児支援など多様な就業をサポートする各種施策も行っていく。