シリーズ・コンサルからの起業「ClipLineクリップライン」第2回 コンサルタントを経ての起業 | コンサル業界ニュース

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2015.10.29 シリーズ・コンサルからの起業「ClipLineクリップライン」第2回 コンサルタントを経ての起業

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コンサル業界出身の事業家を取材するシリーズ。株式会社ジェネックスソリューションズ代表の高橋氏にお話を伺った。

前回の連載では同社が提供しているiPadのツール「Clipline」のサービス概要、導入イメージ特徴を紹介した。高橋氏はなぜ起業に至ったのだろう?連載第2回はそこを掘り下げる
※前回、連載第1回の記事はコチラから
 
アクセンチュア・ジェネックスパートナーズを経ての起業

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インタビューに答えるジェネックスソリューションズ代表の高橋勇人氏

高橋氏は京都大学理学部及び大学院で生物学の基礎研究を行った後、アクセンチュアに入社。

アクセンチュアでは、IT戦略立案から、設計、開発、テスト、運用までを3年半で一通り経験。

その後、もともとやりたかった「ビジネスのコンサル」ができる仕事を探していたところ、ジェネックスパートナーズと出会い、12年前の2003年に転職。同社は経営者の参謀として戦略を描くだけでなく、事業改革の実行支援まで手掛け、成果を創出することにこだわるコンサル会社だ。

高橋氏はジェネックスパートナーズへ転職後、アミューズメント、ヘルスケア、IT、製造、金融など様々な業界における企業価値向上をコンサルタントとして手掛けた。

外食企業の支援。成功プロジェクト「スシロー」の経験を経て

そんな中、2009年-2011年に支援した、回転すしチェーンの「あきんどスシロー」(以下「スシロー」)での経験がブレイクスルーになる。

各種メディアでも報じられているが、ユニゾンキャピタルが株主であった時代、スシローは売上が600億台から1000億円の大台を超え、業界順位も2位から1位になった。高橋氏は、この改革をコンサルタントとして支援し、「大きな成功案件のど真ん中でやらせてもらった」と話す。

当時スシローの経営改革は、コンサル会社はジェネックスパートナーズ、マーケティングは博報堂といった具合に、外部から招いた多様な専門家で「チームスシロー」を混成し行われていた。

支援修了後、スシロープロジェクトは、コンサルティング・プロジェクトとしては珍しく、「チームスシロー」についてメディア露出が多く、書籍にもなった。これにより高橋氏は「スシローを改革した人」と称され、その後は、外食企業建て直しの依頼が多くなる。

そして、高橋氏はスシロー後に、同じ外食のダイヤモンドダイニング社を支援することにもなる。この案件では、同社の社外取締役も務め、4年弱の支援の結果、JASDAQから東証二部、東証一部と指定替えできるほど業績を改善させた。

 
 スシローでのプロジェクトが掲載されている書籍。高橋氏のインタビュー等も掲載されている。
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スシロー世界を握る
11章に高橋氏が寄稿した「スシロー、飛躍の秘密と挑戦課題」が収録
顧客満足度No.1のチームマネジメント回転ずしスシロー7つの秘訣
「秘訣7 経営企画のシステム化 見える化を駆使したマネジメント」において、高橋氏のインタビューが掲載
スシローが顧客満足度No1になった50の秘密
「第3章 チームスシロー 陰で支えるパートナー」において、高橋氏のインタビューが掲載

 
 
ダイヤモンドダイニング社の支援では、100店舗100業態のコンセプトを打ち出して上場した同社の戦略を大幅に転換、スクラップアンドビルドを通してブランドの集約と大幅な組織変更を実行し、顧客マーケティング戦略も一新した。

このように、高橋氏はスシローやダイヤモンドダイニングなどの支援を通して、多店舗展開している外食ビジネスで取り組むべき課題に網羅的に取り組む経験を得た。

サービス品質のバラつきやすさという、店舗マネジメントの問題

こうした外食業界の支援を通して、サービス業における店舗マネジメントやサービス品質向上に必要な本質的な課題に気付く。

多店舗展開する外食企業では、働いている人の数が非常に多い。その多くがアルバイトなどの非正規社員で、彼らは、何か問題が生じるとすぐにやめてしまう。また、全く別の問題として、「いらっしゃいませ」という一言でも、サービス提供者やそれを受け取る相手によって、求められる正解は異なる。

さらに、サービス品質は数値化が難しい。それ故にどのような「いらっしゃいませ」が良いのか、本社の人間すら誰も判断することができない。また、「いらっしゃいませ」と言った瞬間がサービスの生産であり、同時に、言い終わった瞬間にサービスが消費されてしまう。つまり、サービスの生産と消費が同時に起こっている。そのために、なおさらサービス品質の検証がしづらい。

結果的に、店舗や従業員ごとにオペレーションに大きなバラつきが生じ、サービス品質にも差が出る。しかしながら、こうした構造的課題ゆえに、むしろサービス業には改善の余地が多くある。これがClipLine立ち上げのヒントになった。

「映像」で伝える重要性

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ClipLineは「映像」にこだわる。これも高橋氏のコンサル経験が元になっている。

「前述の『チームスシロー』には、博報堂も入っていたのですが、全国300人の店長が集まる店長会議のオープニングセレモニーで、テレビCMのようなクオリティの映像を作成し流していました。その映像のクオリティの高さゆえに、それを見た店長たちの心が動くのを目の当たりにしました。

また、コンサルをやる中で、全国の店舗のチェックを『写メールで送り返す』方法でやろうとしたのですが、当時は通信速度も遅く、今ほどケイタイやスマホの機能が発達してなかったため、画像がブレてしまうし、解像度が低い。そのためほとんど使えませんでした。ただ、通信速度とデバイスが高機能化すれば、『動画で双方向のやりとりをする仕組みを実現できるようになる』と思っていたわけです。」

コンサルタントとして支援していたプロジェクトでの経験を元に、動画の可能性をClipLineで実現した。コンサルタントとしての経験を存分に生かしている。これは学ぶべきところだろう。

コンサルタントがやる意味。経営改革のためのツールという発想

類似サービスを提供する後発のIT企業が現れたら勝てるのだろうか?

「ClipLineは技術的に特殊なものは使っていない。だから最初は、競合がすぐに出てくるのでは、と思っていましたが、やってみて思うのは、これはコンサルタントが作り、日々改善していることに意味がある、ということです。画一のソリューションを提供するのではなく、「一個一個の経営改革のためのツール」という意味合いが強いのです。

現在、12社にClipLineを使って頂いていますが、使い方は企業ごとに全然違う。使って頂いて成果を出すことに主眼を置き、成果が出るまで支援をしている。これはIT会社の発想ではできないと思います。」

ClipLineは、そもそも「企業改革をする」発想で作っているため、唯一無二の存在だというのだ。

コンサルティングの経験を活かし、企業や業界の共通の課題を解決するための事業を起こした高橋氏。第3回はそんな高橋氏の起業に対する考え方を伺う。
 
⇒連載3回目、続きはコチラをクリックください!

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