2015.03.25 ベイン&カンパニーを経た起業家が代表を務めるiPSベンチャーが25億円の第三者割当増資実施
当ニュースでは、ここ1~2カ月の間に、マッキンゼー出身者の代表を務めるバイオベンチャーが2社続けて増資したことを、以下の記事にてお伝えした。
2月11日:マッキンゼー出身本蔵氏が創業したDNA解析のクオンタムシステムズ、VCなど5社から24億円の出資を受ける
3月3日:マッキンゼー出身の口石氏が設立したベンチャー、サイフューズが14億円を調達。
それに続いて、今度は同じく外資系戦略コンサルファームの一角であるベインアンドカンパニー出身の起業家が代表を務めるiPSベンチャーが第三者増資を行ったことを発表している。
3月23日、株式会社メガカリオン(本社:京都市左京区、代表取締役:三輪 玄二郎氏)は2017 年に日本、米国それぞれでヒト iPS 細胞から作成する血小板製剤の臨床試験を開始する方針を決定。その為の開発資金として総額約 25 億 4 千万円の第三者割当増資を実施したと発表した。割当先は、既存株主である株式会社産業革新機構、三菱 UFJ キャピタル株式会社、SMBC ベンチャーキャピタル株式会社、みずほキャピタル株式会社に加え、日本アジア投資株式会社、DBJ キャピタル株式会社、ニッセイ・キャピタル株式会社、株式会社ケイエスピー、みやこキャピタル株式会社それぞれが運用するファンドとのこと。
同社は1980年代にベインアンドカンパニーに在籍した三輪玄二郎氏が代表を務める。
メガカリオンのビジネスについて
血小板製剤による輸血は、医療の最も基本的な治療手段の一つだが、現在は献血に依存した製造方法しか存在せず、また、製造された血小板製剤は有効期限が4日しかない為、医療現場では需給調整の困難に直面している。更に、今後は少子高齢化の進行により、長期的に献血不足の深刻化が懸念されており、同社は、血小板製剤の需給問題に対処するため、ヒト iPS 細胞から血小板製剤を製造する技術開発を進めてきたが、原料となるヒト iPS 細胞の確保見込み、大量生産技術の開発状況、及び日米薬事行政の動向を踏まえ、2017 年に日本・米国でそれぞれ臨床入りする方針を決定した。今回の調達資金は、臨床試験入りまでの開発資金に充当するとのこと。同社は、研究開発の強化・協力企業との連携・規制当局との協議を進め、日米のみならず、世界の医療現場にヒト iPS 細胞から製造した血小板製剤を提供する事業の開発を進めるという。
メガカリオンの技術
東京大学医科学研究所の中内啓光教授・京都大学 iPS 細胞研究所の江藤浩之教授等の開発したヒト iPS 細胞由来の巨核球を不死化させる技術、不死化した巨核球を凍結保存する技術を基に、ヒト iPS 細胞から誘導した巨核球が産生する血小板製剤の臨床応用を目指して、2011 年 9 月に設立。技術の特徴は中間段階である巨核球を不死化・凍結保存可能とした事で、安定供給と大量培養を可能にした点にあるという。すなわち、必要な時にいつでも、どこでも、短期間で血小板製剤を製造することができる、世界に類を見ない技術でだとのこと。事業化の推進が国家戦略特区の目標に寄与するものとして、国家戦略特別区域法に基づく特定中核事業の適用第1号案件として内閣総理大臣より認定を受けている。
代表の三輪 玄二郎氏は1984年からベインに在籍
代表取締役をつとめる三輪玄二郎氏は、1974年東京大学経済学部卒業。三菱油化、ハーバード大学MBAなどを経て1984年からベインアンドカンパニーに在籍している。ベインは1981年に日本支社を設立しており、かなり初期のメンバーだった模様。なお、参考までにボストンコンサルティンググループの日本支社設立は1966年、マッキンゼー日本支社は1971年となっている。同社のウェブサイトによると三輪氏の経歴は以下の通りとなっている。
・1974年 東京大学経済学部卒業
・1974年~1982年三菱油化(現、三菱化学)勤務
・1982年~1984年ハーバード大学経営大学院(MBA修了)
・1984年~1986年Bain & Company(米国コンサルティング会社)
・1986年~現任セント・トーマス・アソシエイツ・インク代表取締役
・2009年~現任iCELL 代表取締役
詳しくは以下のページをご覧ください。
http://www.megakaryon.com/dataroom/