2022.05.23 フリーコンサルタントとは?(第2回)|フリーコンサルタントのメリット/デメリット
前回第一回目ではフリーコンサルタントについて、概要やニーズのある職種・業界を確認してみました。
記事(第一回):フリーコンサルタントについて調べてみた|概要やニーズのある職種・業界を解説
専門領域の多様化にともない顧客企業による人材確保が難しくなり、また労働環境も兼業・副業が進んでいくことが予想されるなか、フリーランスコンサルタントというマーケットは益々拡大していくことが想定されます。第二回目では、フリーコンサルタントの立場からみたメリット/デメリットについてみていきたいと思います。
目次
・フリーコンサルタントのメリット
- 年収・収入がアップする機会が増える
- 自由度が高い
- 会社勤めで多くみられる制限が少ない
- やりがい・手ごたえ
・フリーコンサルタントのデメリット
- 案件の確保
- 専門スキルの維持・成長
・まとめ
フリーコンサルタントのメリット
それではまず、顧客企業から業務を請け負うフリーコンサルタントにとってのメリットはどのようなものが考えられるでしょうか。特に注目すべき内容についてみていきましょう。
年収・収入がアップする機会が増える
まずあげられるのが、フリーコンサルタントになることで年収・収入がアップする点です。多くのフリーコンサルタントの独立・活動モチベーションの上位にあがる理由は収入面の魅力があげられます。専門領域によっては報酬月額が150万を超える案件も少なくなく、そのような取り組みが1年間続けば12か月分で計算すると1800万~という年収も可能です。
案件の稼働率が多岐にわたる事もフリーコンサルタントの特徴といえるため、1つの高額案件にフォーカスするという方法もありますが、低稼働率の案件を同時並行で複数実行することでポートフォリオを組むことができる、というのも大きなポイントとなっています。
自由度が高い
自由度の高さもフリーコンサルタントの方が活動を行ううえでとても大きなメリットとして感じている要素の1つです。自由度とひとことでいってもさまざまなものがあげられます。
働く場所の自由
コロナの影響もあってリモートワークが普及し始めていますが、フリーコンサルタントの業界においても同様で、これまで以上に勤務場所における制限をうけるケースが少なくなってきています。地方に在住しながら都市部の案件を請け負う事例も増えてきています。
勤務時間の自由
勤務時間の自由度も、特定の企業に所属していた時に比べて高いのが特徴です。フリーコンサルタントは、基本的にはMTGへの参加やアウトプットの納期さえ守れば、その業務のプロセスは問われません。また、企業に所属していた頃よりも無駄な会議の時間が減った、マネジメントを行っていた方からは組織運営や人材育成にかけていた時間が減った、という声もよく聞きます。
組織特有のしがらみからの自由
特定企業に所属することで発生するしがらみから自由になれる事も魅力の1つです。フリーコンサルタントは職位や所属組織という概念による影響が極めて薄くなるため、そこに付随する人間関係や調整、案件アサインなど本質的な方向性から外れた取り組みが少なくなります。「どうすればイシューが解決できるのか」が主眼となるため、フリーコンサルタントとしては本筋となるプロセスにフォーカスすることができます。
会社勤めで多くみられる制限が少ない
フリーコンサルタントは会社勤めであれば制限される内容の影響を受けづらいという特徴があります。例えば、以下のようなものがあげられます。
キャリア形成
例えばキャリア形成においては、特定の企業に所属している場合を考えると所属企業からの業務命令による異動やアサインが主流となります。キャリア形成に柔軟な企業においては自らの意思により異動が実現できるケースもありますが、それでもまだ多くの場合イニシアチブは企業側にあるケースがほとんどです。
フリーコンサルタントは、キャリアパスのほとんどを自身の選択により成し遂げていくことができるため、より理想に近いプランを実現することができます。現在保有しているスキルをベースとしたスキルピボットも、企業に所属するよりもより自身のイメージに近い形で進める事ができます。逆にいうと、まったく別領域のスキルを身に着けるためのアプローチも自分自身のタイミングで行うことができるようになります。
必要経費がおとせる
個人事業主として活動するにせよ、法人を設立するにせよ、その活動の中において必要とされる支出を経費として経理処理できるのもフリーコンサルタントのメリットの1つです。不適切な処理を行うことはもちろん許されませんが、会社員として企業に所属して働いている時よりも収入面だけでなく支出面にも意識を向ける事ができます。
経理処理は煩雑すぎてよくわからない、、というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、現在では便利なサービスもたくさんありますし、何度か手続きを経験するとそのメリットを最大限に活用する方も多いです。
年齢(定年)という区切りが意識されづらい
フリーコンサルタントですので、定年はありません。いつ活動をやめるのか・いつまで活動を継続するのか、決めるのは本人次第です。スキル/経験に対する案件アサインとなるため、そもそも年齢の基準がありません。それは年齢が高いというベクトルだけでなく、年齢が若いというベクトルについても当てはめる事ができます。十分なスキルや経験があれば若い・高齢であるという点は二の次となります。
やりがい・手ごたえ
最後に上げるフリーコンサルタントのメリットは、やりがい・手ごたえという点です。収入面と並び、フリーコンサルタントになろうと思ったきっかけとしてよくあげられます。
というのも、どれだけコンサルティングファームがクライアントファーストを掲げようと、関連する人や部署、企業が増えれば増えるほどそれぞれの思惑が交錯するため、起点となっていたはずのクライアントのイシューからは遠くなる業務が増えていってしまいますし、クライアントと直接やりとりをする機会の多い直案件であれば課題に直面する機会も多いですが、孫請けやその下などになってくると取り組みの本質が見えづらくなってきます。
一方で、フリーコンサルタントであれば直接的にクライアントと面する機会も多く、企業に所属するわけではないのでしがらみが少なく、イシューの本質に向き合う機会が増えます。比較すると、案件における手ごたえが得られるプロジェクトが多いといえそうです。
フリーコンサルタントのデメリット
ここまではフリーコンサルタントのメリットについてみてきましたが、逆にデメリットはどういうものがあるでしょうか。デメリットについても順をおって見ていきたいと思います。
案件の確保
フリーコンサルタントのデメリットの一つが、案件の確保です。案件確保についてはまた別の機会にその手法について言及したいと思いますが、フリーコンサルタントとしてどのように安定的に案件を確保するのかは大きなポイントとなります。
企業に所属している場合、複数人でそれぞれ役割分担をしながら担当する領域にフォーカスして活動することが前提となりますが、フリーコンサルタントは多くの場合、非常に多岐にわたる役割をこなす必要があります。コンサルタントとして顧客企業の課題解決にあたる、経理に関する処理を行う、と並び必要とされるのがいかに「案件を確保してくるのか」という事になります。
過去に仕事でかかわりのあった人を始めとするコネクション、また現在では案件マッチングサービスも増えてきているためその選択肢は増えてきていますが、所属企業というバックボーンがない以上はフリーコンサルタントとしての社会的な信頼も自力で積み上げていく必要があります。複数案件を経て信用が積みあがってくると、依頼・ニーズがありすぎて案件がまわらなくなってくることもありますが、そこにいたる過程では1つ1つのプロジェクトで着実に成果を出していくことで信頼を積んでいくことが重要となってきます。
専門スキルの維持・成長
次にあげられるデメリットは、フリーコンサルタントとして活動していくうえでの専門スキルの維持・成長にパワーがかかるという点です。
企業に所属しているとなかば強制的に業界の動向が耳に入ってきますし、場合によっては研修や勉強会などの制度が整備されていることもあります。また上司や部下、同僚といったメンバーからのサポートを得る事ができますが、フリーランスとして活動しているとその恩恵は得られづらくなります。
独自にネットワークを築いたり、セミナーに積極的に参加したり、企業に所属していた時以上に積極的に情報をキャッチアップしていく必要があります。理想的にはこれまで培ったスキル・ノウハウをもとに案件に携わることでフリーコンサルタントとしてさらにその専門性を磨いていくことができれば申し分ありませんが、それでも常にアンテナを高く張っておき、積極的に情報収集を行う姿勢が重要になってきます。
まとめ
第二回目はフリーコンサルタントについて、そのメリットとデメリットについてみてきました。
フリーコンサルタントとして活動する事と、企業に所属して活動する事のメリットデメリットは表裏一体です。フリーコンサルタントになることはポジティブに前向きに捉えるのであればとても大きな可能性が広がっているともいえますが、メリットとデメリットを比較してみて少しでも躊躇する心があるようであれば、いまは企業に所属しておいた方が良いかもしれません。
フリーコンサルタントとして独立を考えている方は、ご自身の状況、マーケットの動向を見ながら検討することをおすすめします。
次回、第三回目は顧客企業からみたフリーコンサルタントのメリット/デメリットについて考えてみたいと思います。