2022.11.28 ローランド・ベルガー|外資系グローバルファームの企業特徴
ローランド・ベルガーは、欧州を代表するコンサルティングファームである、ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツの日本法人です。日本国内でのサービスに加え、グローバル市場へのアクセスポイントとして世界各国のオフィスと連携を取りながら、コンサルティングサービスを行っているローランド・ベルガー。今回は、その事業内容やファームの特徴を紹介します。
目次
・ローランド・ベルガーの事業内容
‐ 自動車産業を中心とする製造業を支援
‐ 製造業以外の事業領域
‐ グリーンビジネス市場の開拓
・ローランド・ベルガーのファーム特徴
‐ 世界的ファームと連携したグローバル展開
‐ 欧州型コンサルティングファーム
‐ 和イノベーション
・まとめ
ローランド・ベルガーの事業内容
ローランド・ベルガーでは、産業別・機能別に分かれた2つの専門グループの掛け合わせで、クライアント企業の問題解決に役立つコンサルティングサービスを提供しています。代表的な事業は次のようなものです。
自動車産業を中心とする製造業を支援
ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツは、ダイムラー・BMW・フォルクスワーゲン(VW)が本社を置くドイツの発祥。日本法人のローランド・ベルガーも自動車業界をはじめとする製造業に強い特徴があります。
自動車産業は今、カーシェアリングやライドシェアなどのモビリティ・サービスの台頭や電気自動車市場の急拡大、自動運転の急速な進歩など、大きな変革期を迎えています。
その中で、ローランド・ベルガーは、新しいモビリティの考え方や自動運転・相互接続性、デジタル化・電動化などによる自動車産業の変化を定期的にリサーチ。消費者・規制・テクノロジー・インフラストラクチャ・産業活動から自動車業界のメガトレンドを分析して、企業の投資判断やさまざまな課題への対応を支援しています。
製造業以外の事業領域
自動車産業など、製造業のイメージの強いローランド・ベルガーですが、製造業のプロジェクトは全体の3割前後。他にも、さまざまな業界のプロジェクトでコンサルティングサービスを提供しています。中でも特徴的な分野での事業を紹介します。
航空宇宙・防衛・セキュリティ
地上の自動車業界だけでなく、民間の航空宇宙業界にもコンサルティングサービスを提供しています。セキュリティ業界にも強みがあるのが特徴。都市型エアモビリティ(UAM)、サイバーセキュリティ、新型コロナウィルス対策などのさまざまな課題に対して、設計から製造、サービスに至るまで戦略・運用ソリューションなどを支援しています。
官公庁・公共機関
公的な課題に対しての取り組みも行っています。「人口構造の変化と高齢化に対する解決策」や「移民対策」、「政府や地方自治体のデジタル戦略立案」や「社会保障と医療制度の変革」などが主なテーマ。社会が直面している課題に取り組みながら、官公庁や非政府組織などのクライアントをサポートしています。
ヘルスケア
製薬企業、病院、保険会社などのヘルスケア領域に関わる企業を支援。マネタイズプロセス戦略の開発や医療戦略立案、ヘルスケア企業のM&A、デジタルサービスの実装などのコンサルティングサービスを提供しています。ヘルスケア業界への新規参入のアドバイスも実施。健康寿命を延ばす「予防医療」分野への新規参入に注力しているのが特徴です。
グリーンビジネス市場の開拓
ローランド・ベルガーが近年、注目しているのがグリーンビジネス市場です。ドイツにある本社のローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツが、ドイツ連邦環境省(BMU)の委託を受けて、環境産業界の企業1500社および250の研究機関に対する調査を実施して、世界主要市場の将来性を分析・予測しています。
本社の分析・予測をもとに、日本法人のローランド・ベルガーも『350兆円市場を制するグリーンビジネス戦略』(東洋経済社)を2012年に出版するなど、早くからグリーンビジネス市場に注目してきました。ローランド・ベルガーは産業革命・情報革命に次ぐ、第3の革命としてエネルギー分野での変革を「グリーン革命」と位置付け、ものづくりを行う日本企業がグリーンビジネス戦略を構築して、グローバル市場に影響力を及ぼせるとしています。
ローランド・ベルガーの企業概要
【代表者】
代表取締役・シニア パートナー 大橋 譲氏
【会社公式URL】
https://www.rolandberger.com/en/
【設立年】
1967年 ドイツ・ミュンヘンで本社設立
1991年 東京オフィス設立
【資本金】
非公開
【売上高】
非公開
【従業員数】
約100名
【企業理念】
Entrepreneurship
自律的に考え行動し、リスクを取り、新しい道を切り開くことに挑戦する。クライアントの変革を支援するため、革新的でありながら持続可能なソリューションを実現する。
Excellence
持続可能かつ目に見える成果を実現するため、最高の結果と世界トップレベルのベストプラクティスを追求する。
Empathy
寛容と尊重の精神を大切にし、クライアントのパートナーとして知性あふれる情熱を持って共に働く。多様性を強みとし、能力を最大限に発揮し、クライアントを成功に導く。
【沿革】
1967年
ローランド・ベルガー(現名誉会長)がドイツ・ミュンヘンで設立
1991年
東京オフィス設立
ローランド・ベルガーのファーム特徴
ドイツ・ミュンヘンに本社を置く、ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツの日本法人であるローランド・ベルガー。その特徴は「グローバル展開」と「欧州と日本のハイブリッド」、「和ノベーション」の3つです。それぞれの特徴を紹介しましょう。
世界的ファームと連携したグローバル展開
本社のローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツは、欧州を代表する経営戦略コンサルティングファーム。1967年の創設以来、半世紀以上にわたりグローバル企業を対象にコンサルティングサービスを提供してきました。
現在では、日米欧をはじめ、アジア、北米・南米・北アフリカ・中東など世界36カ国に50オフィスを設置。約2400名のスタッフがインテリジェンスネットワークを構築して、国際的にコンサルティングサービスを提供しています。
日本法人であるローランド・ベルガーでも、グローバル案件の比率が約5割を占め、日本からコンサルタントが海外のプロジェクトに参加。中国・シンガポール・インドネシアなどのジャパンデスクを拠点に、日本人コンサルタントと現地のコンサルタントがチームをつくり、日本企業のロールアウトをサポートしています。グローバルプレイヤーとして活躍したい人に適したファームといえるでしょう。
欧州型コンサルティングファーム
欧州系コンサルティングファームであるローランド・ベルガーには、米国系ファームや日系ファームと異なる特徴があります。欧州系の第一の特徴は「長期的な視野」を大切にしていること。歴史や伝統、ブランドネームを重視する欧州では、米国のように短期的に利益を追うのではなく、長期的・安定的な経営を重視します。ローランド・ベルガーも、クライアント企業の長期的な視野での成長を重視したコンサルティングサービスの提供を行うのが特徴です。
欧州型コンサルティングファームの第二の特徴は「多様性」の尊重です。欧州はさまざまな国・文化・宗教が集まって形成されています。そのため欧州では、多様な文化や価値を尊重していく考えが根付きました。欧州系のコンサルティングファームであるローランド・ベルガーは「長期的な視野」と「多様性」を重視する価値観で、クライアントと長期的パートナーシップを築いています。欧州型企業経営の特徴は日本企業の経営理念にも近いため、日本企業にも支持されやすいといえるでしょう。
和ノベーション
ローランド・ベルガーの日本法人は、本社と異なる独自のコンセプトも掲げています。そのコンセプトが「和ノベーション」です。「和ノベーション」は、日本型のイノベーションのこと。日本ならではの「和」、対話の「話」、仲間の「輪」の意味も含んでいます。企業や個人がもつ、さまざまな技術や知恵などの「暗黙知」を見える化して、企業や業界を超えた仲間の輪へと広げていくのが和ノベーションです。
和ノベーションを起こすには「仲間たち」との連携が欠かせません。ローランド・ベルガーは世界80カ国、2億件を超える「イノベーションデータベース」を保有する「アスタミューゼ」や、トヨタ生産方式を40年以上実践してきたカカイゼンのエキスパート「カイゼン・マイスター」、システム x デザイン思考を研究する「慶応技術大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科白坂研究室」などの企業とともに和ノベーションを進め、クライアントの新たな領域へのチャレンジをサポートしています。
まとめ
世界各国のオフィスと連携し、グローバルなコンサルティングサービスを行っている欧州を代表するローランド・ベルガーの事業内容とファームの特徴をご紹介しました。
歴史や伝統、多様な価値観を尊重する欧州文化が基となり、長期的かつ多様性を重視するコンサルティングサービスの提供が他のファームとは異なる最大の特徴です。
さらに、ローランド・ベルガーの日本法人は、「和ノベーション」という日本ならではの価値観を掘り下げたコンセプトも掲げており、世界80カ国、2億件を超える膨大なデータを活用し、より日本企業の文化に寄り添ったサービス支援が期待できます。