シリーズ「コンサル業界の先端」 Vision Forest ~アートを活用した組織変革プログラム~ 第3回 コンサルタントはどうやってイノベーションを起こしたのか。 | コンサル業界ニュース

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2015.08.26 シリーズ「コンサル業界の先端」 Vision Forest ~アートを活用した組織変革プログラム~ 第3回 コンサルタントはどうやってイノベーションを起こしたのか。

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コンサルティングファームは時代と共にサービスを変化させ、その方法論を進化させ続けている。シリーズ「コンサル業界の先端」では、コンサルティング業界で新たな価値創造に取り組むコンサルタントとそのサービスを紹介。連載第一回はシグマクシスのVision Forestを取り上げる
 
[これまでの内容]
第1回 ロジックの限界を超える
第2回 自分で創る感覚」を覚醒させて変革を加速する
 
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コンサルタントが、やりたいことを実現するためにファームを卒業してブティック型で独立、独自のサービスを始めるという話はよく耳にする。しかし、コンサルティングファームに属したまま、自らの想いをドライバーに、前例のない新サービスを立ち上げた斎藤立氏のようなコンサルタントは珍しい。

斎藤氏はどのようにこのユニークなVision Forestの立ち上げを推進したのだろうか?これはコンサル業界で生きる我々としてはぜひ押さえたい。

ビジネスになるかならないか、ではなく「本質」かどうか。

社会ニーズが顕在化しているサービスを立ち上げるならまだしも、コンサルタント個人の想いが起点になっている新サービスを所属ファームに理解してもらうのは、相当な困難を伴ったのでは?の問いに、斎藤氏はこう振り返る。「正直、ビジネスになるかはよくわからなかった。でも”本質”をついているはずだ、と信じていました。これは絶対、世の中に必要なことであり、コンサルティングの”ロジックの限界”には逃げずに向き合わないと、本当にクライアントを成功させることはできない、と。」

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インタビューに答える株式会社シグマクシスでディレクターを務める斎藤立氏(右)と株式会社ホワイトシップの代表取締役社長でアートプロデューサーの長谷部貴美氏(左)

当然ながら、立ち上げの苦労は並大抵ではなかった。「最初、CEOの倉重が昼ご飯を食べているところをつかまえてアイデア提案したのですが、最初は「絵を描く?アーティストと組む?お前の言っていることは意味がわからない」と呆れられました。当時はまだ、シグマクシス自体が、立ち上げ直後の“食えないベンチャー”でしたし(笑)。それでもしつこく食い下がったら、最後は私を止めなかった。「立、お前がそこまで信じると言うなら、やってみろ」と。それで、現業をやりながら、勝手に事業創りを進める日々が始まりました。」

説明するのも一苦労の内容。ビジネスモデルもないし、通常のコンサルティングとは動き方も違う新サービスのゼロからの立ち上げだ。「最初の案件をとるまでに約半年、50社くらいの企業を相手に放浪しました。話せば長い、ひどい話がいっぱいありますよ」と斎藤氏は笑う。「社内の仲間も、『ぶっちゃけビジネスになるかな』、と思っていたと思います。ただ、マネジメント含めて、誰も邪魔をしたり止めさせようとする人がいなかったのは、ウチの凄いところですね。」当然、好きなことやらせてもらう一方、数字は落とし前つけなければならないのがビジネスだ。「昼間はM&A案件や戦略案件で稼ぎながら、夜はVision Forestの営業に走り回る、という毎日でした。」

自分の想いや創造性を自覚すること

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シグマクシス社内向けVision Forestの創作セッションを実施する様子。

そこにあったのは、事業創造に懸ける斎藤立氏の熱い想いだ。昼間は難易度の高いM&A案件をこなしながら、夜な夜な自分の信じるものの実現のため、アートの可能性について話して回る。「ロジックだけでは物事は動かない」という強烈な信念と、アートがもたらす無限の可能性につき動かされていたそんな斎藤氏は、今のコンサル業界を俯瞰してどう思っているのか?

「コンサルティング業界そのものが、時代に遅れ始めているのではないか」と斎藤氏は語る。「コンサルタントこそ、放っておけば”ロジック重視”の職業の典型です。コンサルタント自らが、創造性や想いを忘れてしまいがちなんです。一部はベンチャーに転職したり、起業したり、創造性や想いを実現する人達もいます。でも、周りを見渡すと、いつの間にか想いを失ってしまった”職業”コンサルタントが結構いるのではないでしょうか。そういうことを、もっとコンサルタント一人ひとりが自覚してもそろそろいいんじゃないかと思います。お客様も賢くなっている。大抵の情報は自分で入手して整理・分析できる。先生や評論家の立ち位置で、口だけのコンサルタントは、お客様に必ず見抜かれる時代になっています。」

丁寧に磨き続けることの積み重ねで、新しいサービスは生まれる

自ら頭と心と体を使って事業を立ち上げた斎藤氏は、コンサルタントでありながら事業家だ。「まずは自分の想いや創造性にきちんと目を向けることです。それを、遠回りでもいいから磨き続ける。筋肉を鍛えるのと同じ。あきらめずに発信し、仲間を見つけ、連携していくことで、自分たちのビジョンがまた明確になる。丁寧にそれを繰り返した結果、模倣できないものが出来上がり、結果が出始めた。積み重ねの上に今があるんです。」

4回目は、こういった新たなサービスを生み出す懐の深さを持ったシグマクシスという会社を掘り下げてみたい。
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