シリーズ「コンサル業界の先端」 Vision Forest ~アートを活用した組織変革プログラム~ 第1回 ロジックの限界を超える | コンサル業界ニュース

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2015.08.20 シリーズ「コンサル業界の先端」 Vision Forest ~アートを活用した組織変革プログラム~ 第1回 ロジックの限界を超える

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コンサルティングファームは時代と共にサービスを変化させ、その方法論を進化させ続けている。シリーズ「コンサル業界の先端」では、コンサルティング業界で新たな価値創造に取り組むコンサルタントとそのサービスを紹介。連載第一回はシグマクシスのVision Forestを取り上げる
 
 
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Vision Forestのワークショップの創作セッションで描かれた絵。Vision Forestではアートを活用し組織変革を促す

コンサルティング業界は、事実やデータ、あるいはベストプラクティスをもとに、論理的に解を出していくファクトベースのコンサルティングを長らく主流としてきた。「それに対抗するような、右脳や感性の要素を取り入れたサービスを提供しているコンサルファームはないのだろうか?」と当編集部は常々思っていた。

そんな中、我々はシグマクシスがVision Forest(ビジョン・フォレスト)というアートを取り入れたプログラムを開発し、提供していることを知った。そこで株式会社シグマクシスでVision Forest責任者でディレクターを務める斎藤立氏と、共同で開発・提供を行っている株式会社ホワイトシップの代表取締役社長でアートプロデューサーの長谷部貴美氏にお話を伺った。


Vision Forest

一言で言うと、Vision Forestとは、アートの力を活用してロジックの限界を超え、人財・組織の想いや創造性を引き出して価値創造につなげる方法論だ。取材に応じて頂いた斎藤氏によると「Vision Forestは、主に人や組織に関わる経営課題の解決や、イノベーションを支える人財・組織開発に主に焦点を当てているアプローチ」だという。すでに国内およびグローバルの大手企業50社超をクライアントとし、計数千名におよぶ各社社員がプログラムに参加している。

2015年5月からはハーバードビジネスレビューとのコラボレーションで、「リーダーは描く」という企画が同誌で始まり、名だたる経営者達が夢中で絵を描く姿と、想いのあふれるインタビュー記事が話題になっている。

Harvard Business Reviewで連載中の「リーダーは『描く』」
企業のリーダーがVision Forestに取り組む様子が紹介されている

  第5回:株式会社気仙沼ニッティング 代表取締役 御手洗瑞子氏
  第4回:日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社 代表取締役社長 アムル ラクシュミナラヤナン氏
  第3回:株式会社LIXIL 代表取締役社長兼CEO 藤森義明氏
  第2回:特定非営利活動法人シブヤ大学 学長 左京泰明氏
  第1回:ヤフー株式会社 代表取締役社長 宮坂学氏

 「経営者に絵を描いてもらう新連載はこうして生まれた」 DHBR編集長ブログ >>>

ロジックだけじゃ組織は動かない

斎藤氏はマッキンゼーでキャリアをスタートした。同社では戦略コンサルタントとして、論理性をフル回転させて大企業の戦略立案、組織変革に従事。しかし、貴重な経験になった一方で、最後の最後、組織はロジックだけじゃ動かせない、と痛感していたのだという。「最終的に変革の取り組みの成果を出したいと思った瞬間に、人を突き動かす“ロジックを超える何か”が必要だったんです。」

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インタビューに答える株式会社シグマクシス ディレクター斎藤立氏。Vision Forest責任者。シグマクシスでサービスをゼロから開発してきた。

組織に横たわる「見えない壁」。そんな中で出会ったアート

斎藤氏が感じた「ロジックを超える“何か”が必要」とはどういう感覚だろう。斎藤氏は以下のように述べる。

「企業のイノベーションが失敗するとき、その原因の8割は“技術”の問題ではなくて“ヒト”の問題にあるのです。具体的には、実はビジョンが共有できていないとか、組織を越えてメンバーが連携できないとか、リーダーが変わることを恐れているとか。そこには “見えない壁”のようなものがあり、特に大企業においては深刻な問題を生んでいます」。

ロジックでは打ち破れないこの“見えない壁”を越えて、なんとか「ヒト」の問題にアプローチできないだろうかと考えていた斎藤氏が出会ったのが、アートだった。

アートを用いた人財開発のパイオニア、ホワイトシップ社との出会い

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株式会社ホワイトシップの代表取締役社長でアートプロデューサーの長谷部貴美氏。ホワイトシップ社は「コミュニケーションアート」というコンセプトを軸に事業を展開している

斎藤氏が10年前に出会ったのが、株式会社ホワイトシップの代表取締役でありアートプロデューサーを務める長谷部貴美氏と、同社アーティストの谷澤邦彦氏。ホワイトシップ社は、「コミュニケーションアート」というコンセプトを軸に事業を展開する、アートを用いた人財開発のパイオニア。アーティストのマネジメントやインキュベーションはもちろん、子供から大人まで、人間が本来持っている創造性を目覚めさせ、新たな時代を創り出すエネルギーを引き出す活動も行っている。

それまでアートにはまったく興味がなかった斎藤氏だが、アーティストの谷澤氏とその作品に出会った瞬間に「自分が失くしかけていて、圧倒的に足りていないものがここにある」という感覚を抱き、自らホワイトシップに足しげく通って絵を描き始めた。そして、「このアートの力を使えば、人の心や感性にアプローチし、組織の中の様々な人の想いを引き出して、価値創造につなげられるのでないか」と考え始める。そして7年前にシグマクシスが設立されたタイミングで、アイデアの事業化に着手する。

「アーティストと一緒に作っていったからこそ、今までの経営コンサルティングの枠にとらわれず、新しい方法論を作ることができた」と斎藤氏。こうして完成したのがVision Forestだ。

連載第2回はVision Forestの具体的な内容を聞く。
続きはこちらから!

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