2016.12.06 株式会社リプロセル 横山周史氏(マッキンゼー出身)
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コンサルグファームを卒業後に「起業」にチャレンジしている人は多い。
本特集「コンサルティングファームを経た起業家たち」では、コンサル出身の起業家を詳細に紹介します
横山周史氏のプロフィール
マッキンゼーから事業会社を経て経営者へ
リプロセル代表取締役社長の横山周史氏は、大阪府出身。東京大学工学部を経て、1996年同大学院にて工学博士号を取得。在学中は米国短期留学を経験し、卒業後はマッキンゼーアンドカンパニーに入社。
その後、事業会社を経験したいと考え、1997年にスリーエムジャパンに転職。新規ビジネスのプロジェクトマネージャーとして7年間ほど勤務した後、案件単位ではなく経営目線で仕事をしたいと考え、2004年株式会社リプロセルに取締役として入社。翌2005年には代表取締役社長に就任。
出典:同社WEBサイトhttps://www.reprocell.com/
リプロセル社のサービス
ノーベル賞で注目が集まるiPS細胞を事業化。世界のパイオニア企業
横山周史氏が代表を務める株式会社リプロセルは、iPS細胞技術を基盤として、研究試薬、創薬支援、臨床検査などの分野で事業を展開。設立時には、京都大学の中辻憲夫教授、東京大学の中内啓光教授がファウンダーとなった。いずれも幹細胞研究の世界的権威で、iPSに加えiPS細胞の前身研究と言えるES細胞研究からのトップランナー。同社はiPS細胞の発明(2006年/京都大学山中伸弥教授による)以前からES細胞を専門的に研究。その技術や知見をiPS細胞へ応用している。
2009年には、世界で初めてヒトiPS細胞から作成した心筋細胞の製品化に成功。さらに神経細胞や肝細胞、アルツハイマーなどの疾病モデル細胞を続々と開発し、これらを世界初めて製造販売。2016年には、尿からiPS細胞を作製する技術のサービス化に成功。従来の採取法と比較し、大幅な負担軽減を実現した。
iPS細胞は「再生医療への利用」が注目されるが、実際は「創薬での活用」が先行して始まっている。iPS細胞を活用して医薬候補物質の安全性・有効性を検証できれば、動物実験や患者に直接投与して経過を見るより、安全に素早く低コストで結果を確認でき、創薬期間の短縮、医薬品候補物質の見極めに大いに役立つという。同社は「試薬、創薬支援で培った技術をベースに再生医療に参入する」ことを最終目標とする。
資金調達状況・事業拡大に向けての動き
ジャスダックに上場。M&Aによる技術力強化やグローバル展開を目指す
リプロセル社は2013年にジャスダック上場。事業収益化のために注力してきた試薬や創薬向けの技術提供などのビジネスに加え、今後は同社が最重要領域とする「再生医療」参入に向けた取り組みの活発化を目指す。
2014年以降、同社は米国企業2社、英国企業2社を立て続けに買収し、技術力強化により新製品開発に注力。日・米・欧の3拠点でのローカル営業網の更なる強化や、中国・インドを中心とするアジア市場での営業に注力し、全世界的に拡大が見込めるiPS細胞市場でグローバル化を加速させるという。
また、同社は世界中のトップレベルの大学や公的研究機関とのネットワークを強みに、世界最先端の研究成果を活用した製品開発を推進。再生医療へのiPS細胞の応用により、治療法が確立していない病気の根治や予防、薬の副作用軽減などを目指す。