2016.04.25 ケンコーコム後藤玄利氏(アクセンチュア出身)
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コンサルグファームを卒業後に「起業」にチャレンジしている人は多い。
本特集「コンサルティングファームを経た起業家たち」では、コンサル出身の起業家を詳細に紹介します
後藤玄利氏のプロフィール
アクセンチュアの経験を活かし、Eコマース時代到来に先駆けた起業へ
ケンコーコム設立者の後藤玄利氏は、1967年、大分県臼杵市の生まれ。九州地方を中心に、痛み止めや風邪薬(後藤散)で広く知られるうすき製薬の創業家に生まれ育った。1989年に東京大教養学部を卒業後、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)に入社。経営戦略からシステムまで幅広いコンサルティング業務を経験。1994年に同社を退職し、うすき製薬に取締役として入社。
同年、ヘルシーネット社を設立。マイクロソフトOS「Windows95」が台頭した当時、パソコン活用の重要性をいち早く認識。顧客データベースによるダイレクトメール型の通信販売事業を開始。うすき製薬商品の中でもリピート率の高い健康飲料を中心に扱った。同社は2003年に社名をケンコーコム株式会社(以下ケンコーコム)に変更。
ケンコーコム社のプロフィール
Eコマースで実現。医療・健康関連の巨大通販サイト
後藤玄利氏が設立したケンコーコム社は、健康食品や医薬品を始め介護関連商品など多様なアイテムを取扱う健康関連商品の通信販売サイト「ケンコーコム」を運営している。アイテム数約18万6000点を揃えるという巨大通販サイトだ。
起業当時のダイレクトメール型の通販事業は、1999年に年商約3億7,000万に上るなど順調に成長していたが、アマゾンに代表されるEコマース事業者の台頭に影響を受けた。実店舗を持たないという革新的な形態で、かつ情報流通コストがほぼゼロになる。ダイレクトメール1通につき100~200円のコストを割いていたことを考えると大きなメリットだった。
また、健康分野は他の商品カテゴリーと比較し、Eコマースとの親和性が高いと考えた。健康関連商品は、その効能や成分などの詳細情報が消費者の購買意思決定に強く影響する。そのためEコマースでは、サイト上で商品に関する詳細な説明が可能となる分、消費者の安心に繋がり購買を促進できるということだ。
事業開始当初は売上が伸び悩んだが、実店舗を持たないというEコマース最大の特徴を活かし、実店舗では扱えなかった豊富な品揃えや商品数を実現。売上増加へと繋がり、現在240億連結売上(2015年12月期)を超える成長を遂げた。
資金調達状況・事業拡大に向けての動き
楽天グループとの資本業務提携で事業展開を加速
同社は、2004年に東証マザーズに上場。2012年には楽天と資本業務提携し連結子会社に。楽天から継承した「楽天24」事業と同社既存事業を統合。
また、同提携を機に後藤玄利氏は2014年10月に社長を辞任。同社と楽天グループとのシナジー最大化による企業価値向上を考えた、最適な経営陣への移行の必要性を理由としている。今後は、楽天グループとのシナジー効果を最大限に有効活用し、早期の事業展開加速を目指すという。