2019.06.24 A.T. カーニー、Google協力のもとスタートアップ創造・育成に向けた提言をとりまとめ
6月18日、A.T. カーニーは、世界規模で成長できる日本発のスタートアップを創造・育成するための提言を取りまとめた。A.T. カーニーは提言の作成にあたり、Googleの協力のもと、各種の調査に加え、スタートアップやベンチャーキャピタル関係者にインタビューを実施したという。
同提言によると、現在のスタートアップ市場の活況は、以下の要因によるものと分析している。
・技術、アイデア:最新のデジタル技術を活用したSaaS系中心の事業化
・資金面:金融緩和などによるマネーの絶対量の増加と、CVCや事業会社による直接投資など出し手の多様化による質的な変化
・人材面:起業経験者や大企業、コンサルティングファーム出身者など、事業に精通した人材が流入
・顧客、支援機関:世界的なアクセラレータの活発な活動。EXIT経験のある起業家がエンジェル投資家として若い世代の企業を支援
・その他:成長戦略の重要な柱としての政府による支援強化
【スタートアップの成長要素(提言より引用)】
一方、日本のスタートアップは国内市場でのミッドサイズのIPOが中心で、その後世界的な企業に成長する例は少ないとも指摘している。その背景として以下が挙げられている。
・技術・アイデアにおいて相対的に「手堅い」ものが多かったこと
・ディープテックなど、経済や社会に大きなインパクトを与えうるが短期の出口が「読めない」アイデアに対し、シード段階及びグロース段階での資金が不足していたこと
・足元ではグローバル志向が強まりつつあるが、チームの多くは日本人のみで構成され、世界を目指したイノベーションや市場開拓に最適な体制になっていなかったこと
ついては、世界的な企業になるようなスタートアップの育成には以下の3点が必要と提言している。
1)ディープテックの先鋭化:既存の事業モデルの焼き直しや輸入ではなく、大きな経済・社会課題を解決する技術・アイデアの発見・統合・先鋭化
2)ハイリスクな領域での資金の拡充:具体的な市場や顧客が明確でない段階でのリスクテイクや、中途でのIPOをせずに、じっくりと企業価値を最大化するための中長期的な成長資金の投入
3)多様な人材でのチーム作り:事業を理解した技術者、起業家、技術に明るい経営人材を、国籍に関係なく集めた最適チームの編成、そのための環境整備
【スタートアップ育成に必要な打ち手(提言より引用)】
詳しくは以下をご覧ください
https://www.atkearney.co.jp/VC_study_Google