「成果報酬」をマネージするプロレド・パートナーズ【佐谷進氏インタビュー】 | コンサル業界ニュース

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2017.05.24 投資ファンドに求められるコンサルファーム -「成果報酬」をマネージするプロレド・パートナーズ-

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6月24日(土)にコンサル業界で一つの形を作ったプロレド・パートナーズ代表取締役佐谷氏と、今後のコンサルティング業界についてディスカッションするイベントを企画しました。詳しくはバナーをクリックしてください

プロレドパートナーズ採用イベント兼コンサルティング業界セミナー

 
成果報酬型のコンサルティングを貫くプロレド・パートナーズを紹介する。プロレド・パートナーズがこのスタイルに行き当たった理由、成果報酬型を貫くにあたっての苦労、プロレド・パートナーズの目指す姿を代表の佐谷氏に伺った

 
コンサルティングという無形サービスが提供される時、その価値に対し「どの様にフィーを決定するか?」は難しい問題だ。PJに投入するコンサルタントの人件費を原価とし、そこに利益を上乗せしたフィーを報酬として請求する形が現在では一般的。仮に成果が出なくても、コンサルタントの稼働自体に報酬が発生するのが一般的なのである。

これは果たして正しい姿なのだろうか?クライアントの企業価値を上げることにコミットするビジネスにおいて、最適なフィーの考え方なのだろうか?

株式会社プロレド・パートナーズは、そんなコンサル業界の現在の常識を覆そうと、クライアントに提供する大部分のサービスに成果報酬を導入している。

ブーズ出身の佐谷氏とアクセンチュア出身の山本氏が創業したファーム

プロレド・パートナーズは、ブーズ出身の佐谷進氏とアクセンチュア出身の山本卓司氏が
2008年に設立したコンサルティングファームだ。コストマネジメント事業を主軸に、戦略立案、実行フォローまでのトータルサービスで、財務に直結する具体的な成果をコミットする。

プロレド・パートナーズ代表取締役の佐谷進氏は、ブーズ・アンド・カンパニー(現在のPwCコンサルティング)で、BPRやマネジメントサービス、マーケティング・営業戦略等、幅広い領域のコンサルティング業務を経験。その後、不動産ファンドへ活躍の場を変え不動産売買・運用案件を担当した。

その後、同じくコンサルティングファーム出身の山本卓司氏と出会う。山本氏はアクセンチュアでコストマネジメントやマーケティング戦略等、コンサル業務を経験。二人は2009年12月に株式会社プロレド・パートナーズを創業した。

現在は成果報酬型のコンサルティングを強みに多様な規模の企業にサービスを提供。売上100億~数兆円規模の上場企業を中心に800社以上との取引実績があるという。

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プロレド・パートナーズ代表取締役の佐谷進氏。東京芸術大学美術学部卒業後、ジェミニ・コンサルティング、ブーズ・アンド・カンパニー(現プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社)、不動産運用(REIT)会社であるジャパン・リート・アドバイザーズ株式会社を経て2009年12月株式会社プロレド・パートナーズを創業。

成果報酬へのこだわり、コストマネジメントからの出発

現在のプロレド・パートナーズの主力はコストマネジメントのコンサルティング事業だ。主に直材・間接材のコスト削減をクライアントに提供している。具体的には業務改善を含めた「数量・利用量の削減(ユーザーマネジメント)」と、単価交渉等の「供給単価の削減(サプライヤーマネジメント)」の両面でサービスを提供し、成果を出す。

現在はコストマネジメントを主力事業としているが、佐谷氏自身、コストマネジメントに土地勘があったわけではなく、設立時からコストマネジメント事業を狙い創業したというわけではなかった。成果報酬へのこだわりが強かったのだ。

当初は共同創業者でアクセンチュアでのコンサルティング経験を持つ山本氏と、過去に経験したコンサルティング案件を元に、離職率の低減、法人契約の継続率など、数字で測定できるものを中心に様々なテーマで成果報酬型のコンサルティングにチャレンジしたという。その結果、コストマネジメントが、成果を「数量」「単価」として明確に数値化できる点で、成果報酬型ビジネスと親和性が高く、自然と主力事業になった。

とにかく源流にあるのは、成果報酬へのこだわりだ。

先行投資、高いリスクの扱い

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成果報酬型のコスト・マネジメントという形を作り上げるまでに様々な困難を乗り越えてきたと話す。

佐谷氏は成果報酬型コンサルティングの経営の難しさを「最終的な報酬が入るまでに、人件費を含む多額のコストが先行すること」とする。

プロジェクトを行うためには、コンサルタントを雇い、給与を支払っていかなければならないが、成果が出るまでに数年かかることもあるコンサルティングでクライアントを支援する場合、成果が出るまでには年単位の期間がかかることもある。

成果報酬型においては、成果が定義されるまで、クライアントから報酬を得ることは出来ず、経営面で見た時、回収できないリスクのある多額の先行投資となるのだ。「先に人件費が先に出ていく。成果が出るのが一年半後。それまで、キャッシュが入らない状況で、どうやって会社を回すかをクリアする必要があった」と佐谷氏。

不動産ファンドでの考え方にヒントを

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インタビューに答える佐谷氏

この課題を打開したのが佐谷氏の不動産ファンドでの経験であった。佐谷氏は、プロレド・パートナーズを創業する前、不動産業界でアクイジションとアセットマネジメントの仕事をしていた経験を持ち、不動産業界にも精通している。「不動産業界は世の中で一番成果報酬な業界」だ。佐谷氏は成果報酬のビジネスを組み立てるにあたり不動産業界を参考にした。

法人の不動産売買仲介業では売買が成立するまで一銭のフィーも発生しない。その一方で100億円の物件を仲介し、一夜にして数億円の手数料収入を得る仲介業者もいる。コストが先行しても成立する。ただし、この仲介業者のようなやり方を少人数で行っていると、数年案件を追いかけて1か0かというビジネスモデルになってしまう。これは佐谷氏が目指す姿ではない。

佐谷氏が出した答えは「組織で行い、リスクをマネジメントする」とうことだ。個人でやると、1か0かの世界になるが、大勢で複数回すことで1と0の間が成立する。こうしてリスクを分散させるやり方だ。

「例えば、1人が大型案件を決めるのに2~3年かかるとする。これは大きなリスク。でも100人を組織化し、マネジメントし、毎年100人中30人が決めてくれれば、会社としてはプラスになる」佐谷氏は語る。組織全体として安定的に成果報酬を生み出す仕組みだ。「初めは複数件回せなかったので苦労したが、リスクマネジメントのために、とにかく案件を多く回せるようになることを心がけた。また当初はプロジェクト期間を短くするため、意識的に小型の案件も手掛けた。」という。

プロレド・パートナーズ成果報酬型コンサルティングの実現には、佐谷氏の経験を起点にした確率論によるリスクマネジメントの考え方があった。こうして、コストマネジメント事業を入り口にプロレド・パートナーズは独自の成果報酬型コンサルティングのスタイルを確立したのだ。

コストマネジメントから、PLマネジメントへの進化。包括的なマネジメントコンサルを目指す

コストマネジメントにより、思い描いていた成果報酬型のコンサルティングサービスを切り開いたプロレド・パートナーズ。そんな彼らが目指すネクストステップについて伺うと
「コストマネジメントはあくまで入り口。ターゲットをBtoBに絞り、セグメント化した顧客・サービス毎の適正価格の算出と、それに伴う価格改定をサポートするなど、マーケティングや営業戦略といったトップラインに関するコンサルティングサービスも始めている」と答えが返ってきた。

コストマネジメント以外に商機を見出していないわけではない。コスト面だけではなく、売上も成果報酬型でサービスを提供する。プロレド・パートナーズのコストマネジメントコンサルは「PLマネジメント」に進化している。

さらにPLマネジメントに加え、既にサービス提供している企業不動産(CRE)戦略を始めとするB/Sマネジメントもクライアントから高い評価を得ており、今後は、PL(損益計算書)や在庫の圧縮にまでおよぶBS(貸借対照表)マネジメントとより包括的な事業展開を実現していくという。

コンサルとファンドの間。成果報酬というリスクテイク

佐谷氏は「企業価値を向上させることにより収益を得るという意味では、既存のコンサルティングと投資ファンドのビジネスは同じだ。一方、コンサルティングの報酬形態は、一括もしくは毎月を固定報酬もらう形でリスクは負わない。逆に投資ファンドは自ら出資しリターンを得るために相当なリスクを負うという点で違う」と述べる。

そして「コンサルティングと、投資ファンドの間にリスクをとるサービスがない」と指摘する。

その上で、「クライアントとある程度リスクを共有して、コンサルティングできるポジションがあっても良いのではないか」と語った。

プロレド・パートナーズは、資本には関与しないあくまでコンサルティングサービスを、「成果報酬というリスクテイク」によって、クライアントにより近い立場で提供してきた。成果報酬の裏には、そんな思いが隠されている。

「クライアントファースト」のPEファンドを

佐谷氏は当然のごとく「固定報酬に戻るという考えはない」と語る。

そして「我々は本当の意味で企業を変える仕事がしたい。その決意の先にはファンドを作りたい」と意外な回答があった。

佐谷氏が築き上げた成果報酬型のコンサルティングは、資本への介入をせずにクライアントとある程度共に「リスクテイク」する、そんな新しいポジショニングであったはず。出資を伴うのであれば、従来のPEファンドと何が異なるというのか。

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浜松町にあるプロレド・パートナーズ本社の前にて

PEファンドにとって、投資先企業の事業成長に加え、その先にある投資家への利益還元は重要な仕事だ。特に大規模投資となると、この投資家への利益還元に力点を置いた「投資家ファースト」な姿勢が経営方針に強く反映される。「クライアントファースト」であるコンサルティングと、向いている方向の違いと論じられることもある。

佐谷氏は「例えば、投資家サイドから見て短期的な利益のためには売却すべき業績の振るわない事業があるとする。一方、企業側は長期的な成長を見込んで該当事業の存続を希望している場面があるとする。こんな時、プロレド・パートナーズが考えるPEファンドの意思決定軸は“それが最終的に企業の成長や価値向上にとってプラスであるか否か”という評価軸を用いたい。結果的な投資家への着実な利益還元を念頭に置きつつも、“クライアント(出資ターゲット企業)ファースト”な観点で経営判断を下す。今まで両立が難しいとされてきたコンサル兼PEファンドを作る。PEファンドを不動産ファンドにおける私募(不動産)ファンドとするならば、感覚的に、長期的な目線で投資対象運用する上場REITのポジションがあっていい。

終わりに

 
インタビューの中で佐谷氏はこう語った。
  
「世の中、格差社会と言われるが、私たちは企業が提供している価値とそれに対する対価の格差をなくしたい。価値と対価を一緒にする、それが我々の理念です。」
 
我々編集部は仕事上、コンサル業界で様々なプロジェクトについて、そのフィーについても耳にすることが多いが、コンサルタントが出している価値以上のフィーがかかっているなという印象のプロジェクトも少なくない。
 
コンサルティングにおける適切なフィーとなんだろう?
 
サービスという見えないもので価値を提供する以上、人件費という原価をベースにしたフィーの考え方であることは致し方ないかもしれない。そんな業界の中、コンサルティングと投資ファンドの間のリスクをとる、成果報酬型のコンサルティングという新しい形。コンサルビジネスの先駆者となり、今後も独自の成長を目指すプロレド・パートナーズ。その裏には、創業時から変わらない「成果へのこだわり」、「提供価値と対価が一致した社会の実現」という思いが隠されていた。

今後のプロレド・パートナーズの発展が楽しみである。

コンサル業界セミナー 兼 採用イベントのお知らせ

コンサル業界に独自の形を作ったプロレド・パートナーズの代表含む役員陣と、これからのコンサル業界の価値提供・進化について議論する@2017/6/24(土)午後

6月24日(土)にコンサル業界で一つの形を作ったプロレド・パートナーズ代表取締役佐谷氏と、今後のコンサルティング業界についてディスカッションするイベントを企画しました。詳しくはバナーをクリックしてください

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