2016.05.26 上場コンサル各社2016年3月期決算を読む (2)中小企業向けコンサルティング
4月下旬~5月中旬にかけて上場しているコンサルティング会社各社から発表された3月期末の決算短信を元に、決算内容を4回に分けて読む。
第1回目の大手企業向けに続き、第2回目は中小企業をクライアントとしてコンサルティングサービスを提供する3社の決算を見る。
船井総研ホールディングス
売上高+13.8%、営業利益+3.2%と良好な決算
船井総研ホールディングスは5月9日に平成28年12月期第1四半期の決算短信を発表。これによるとグループ全体での売上高は3,763百万円(前年比+13.8%)、営業利益は971百万円(前年比+3.2%)となった。
コンサルティング事業単体ではセグメント売上高は3,151百万円(前年比+9.7%)、営業利益は913百万円(前年比+1.8%)と好成績となっている。業種・テーマごとに開催している経営研究会の会員数が順調に増加したことに伴い、主力の支援型コンサルティング業務が増加した。業種区分別では、住宅・不動産業界向けコンサルティング、および、医療・介護・福祉業界向けコンサルティングが大きく売上を伸ばしている。なお、売上高は順調に増加(前年比+9.7%)したものの、事業拡大のための人件費・固定費の増加により営業利益は若干の増加(前年比+1.8%)に留まった。
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タナベ経営
売上高前年比+5.5%、営業利益前年比+12.3%と好調
タナベ経営は5月13日に平成28年3月期決算短信を発表。売上高は8,297百万円(前年比+5.5%)、営業利益は856百万円(前年比+12.3%)の好決算となった。
タナベ経営の事業は、経営コンサルティング事業、セールスプロモーション(SP)コンサルティング事業から構成されている。
経営コンサルティング事業単体のセグメント売上高は4,498百万円(前年比+7.5%)、セグメント利益は1,086百万円(前年比+11.4%)。顧客最適の視点でチームを再編成し、「中期経営計画及びビジョンの策定」「ドメイン(事業領域)別コンサルティング」「人事制度・人材採用力強化」「事業承継」「ジュニアボード(次世代の経営体制支援)」等のチームコンサルティングを増設した結果、経営協力契約数は、期中平均416契約(前期409契約)と増加し、順調な売上の伸びとなった。
SPコンサルティング事業のセグメント売上高は3,799百万円(前年比+3.3%)、セグメント利益は112百万円(前年比+73.9%)とこちらも好成績だ。特に若い女性や幼稚園・育児に関連する事業を手掛ける企業をターゲットにしたSPコンサルティングが売上高を伸ばしている。
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山田ビジネスコンサルティング
売上高+7.6%、営業利益+6.2%だが、経常利益は前年比-6.7%
山田コンサルティングは4月27日に平成28年3月期決算短信を発表。グループ全体の売上高は9,130百万円(前年比+7.6%)、営業利益は2,134百万円(前年比+6.2%)と増収増益だが、為替差額等の営業外費用計上により経常利益は2,059百万円(前年比-6.7%)となった。
主力の経営コンサルティング事業のセグメント売上高は6,382百万円(前年比+7.7%)、営業利益は1,369百万円(前年比+9.5%)と好調。事業継承コンサルティング、M&Aコンサルティング及び事業成長コンサルティングの売上高が順調に増加した。
山田コンサルティングは、海外コンサルティング事業への本格進出の足掛かりとして、平成28年4月15日付でシンガポール・インドネシア・マレーシア等アジア地場の市場リサーチファームであるSPIREを買収し子会社化した。今後は同社が提供する新興国地域の地場に根ざした海外市場調査の機能を活かして、海外コンサルティング事業の中長期的な成長を目指す。
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各社売上高で前年比5%~14%増加となっており、昨年度一年間は中小企業向けコンサルティングサービスが好調だったことを表しているといえよう。
次回、「上場コンサル各社2016年3月期決算を読む (3)ITコンサルティング」もご期待ください。