2022.10.17 PMOのフリーランス単価は?高単価実現に必要な視点・役立つ資格も解説
近年、フリーコンサルタント市場が拡大しており、中でもPMO(Project Management Office)の需要が伸びています。そうした背景から、コンサルティングファームからPM・PMOのフリーコンサルタントに転身する人が増えています。
本記事では、将来フリーコンサルタントとして独立を視野に入れている方に向けて、PMOのフリーランス単価がどの程度なのか、また、フリーランスのPMOとして高単価を実現するためにどのような準備が必要なのかを解説します。役立つ資格や独立前に念頭におくべき注意点などもご紹介するので、ぜひお役立てください。
目次
・高単価のPMOに共通する3つの能力
‐ 1. 組織のプロジェクトマネジメント文化を創り上げること
‐ 2. PMOのパフォーマンスを継続的に評価すること
‐ 3. ナレッジ管理や変更管理を通して改善・進化させること
・高単価のPMOコンサルタントになるための準備
‐ 領域・水準設定
‐ 知識/スキル習得
‐ 実績づくり
‐ 自身の市場価値の把握
・PMOに役立つ資格
‐ PMP®(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)
‐ プロジェクトマネージャー試験
‐ 基本情報技術者試験
‐ ITストラテジスト試験
・まとめ
PMOのフリーランス需要
ビジネスのグローバル化やIT技術の高度化など、企業を取り巻く環境が大きく変化しており、また、変化のスピードが益々早まっています。
企業は環境変化に素早く適応しなければなりませんが、大きな問題の一つに人材不足というものが挙げられます。特に、重要な経営課題を解決するためのプロジェクトをリードできる人材となると、社内の人材だけでは立ち行かないケースも多々あるでしょう。
そうした背景からコンサルティングファームなど外部からPM支援を受けるといったことがクライアント側の選択肢の一つとなっています。そんな中、コンサルティングファーム側ではITやオペレーションなど、領域拡大を背景に人材が不足している状況にあり、正社員に留まらず、フリーコンサルタントの需要も高まっています。
PMOのフリーランス単価
将来、PMOのフリーコンサルタントとして独立を検討している人にとって、どの程度稼げるのか?というのは気になることだと思います。
PM/PMOのフリーランス案件の単価は、稼働率などによっても変わりますが、月100万円〜200万円といったケースもあり、年収1,200万円〜2,400万円も可能です。
ただし、出身企業のネームバリューや退職時の職務ランク、経験プロジェクトにおけるポジション等によっても変わってきます。
高単価のPMOに共通する3つの能力
PMOのフリーランスで高単価を目指すなら、高単価なPMOに共通する能力を知っておく必要があるでしょう。プロジェクトマネジメントの標準策定・資格認定などを行っているプロジェクトマネジメント協会(PMI:Project Management Institute)によれば、パフォーマンスの高いPMOは以下の3つの能力に優れているとしています。
1. 組織のプロジェクトマネジメント文化を創り上げること
2. PMOのパフォーマンスを継続的に評価すること
3. ナレッジ管理を通してや変更管理を通して改善させ、進化させること
それでは、順番に解説していきます。
1. 組織のプロジェクトマネジメント文化を創り上げること
PMOを導入して成果につなげるためには、経営層の理解・協力が欠かせません。その意味で、PMOには経営層の理解や協力を引き出す力が必要です。言い換えれば、経営層に働きかけ、組織にプロジェクトマネジメントの文化を浸透させていく力とも言えるでしょう。
2. PMOのパフォーマンスを継続的に評価すること
プロジェクトの目標達成に向かう中、さまざまな要因によって目標から乖離が生じることがあります。PMOはプロジェクトの成功に向けて、適切に現状を把握し、評価し、対策を講じる必要があります。また、必要に応じてプロジェクトオーナーやその他の利害関係者からフィードバックを得て、PMOの役割を果たせているかを確認し、パフォーマンスを高めていくことが求められます。
3. ナレッジ管理や変更管理を通して改善・進化させること
パフォーマンスが高いPMOほどナレッジ管理を重要視しています。また、プロジェクトの成功までには様々な変更が発生しますが、チーム内で認識の齟齬や先祖帰りが生じないよう、変更管理を徹底する必要があります。
高単価のPMOコンサルタントになるための準備
ここからは、PMOのフリーコンサルタントとして高単価を実現するために必要な準備について解説していきます。具体的には、「領域設定」「知識/スキル習得」「実績づくり」「市場価値の把握」です。
領域・水準設定
PMOのフリーコンサルタントとして単価アップを目指す際、まずは勝負する領域や目指す単価の水準を定めることが重要です。案件単価は需給バランスの影響を受けるため、フリーコンサルタントが溢れている領域で勝負しても期待するほどの単価は得られないかもしれません。好き嫌い、得意不得意、市場の需給バランスなどをふまえて、勝負すべき領域・目標単価の水準を定めましょう。
知識/スキル習得
領域を設定したら、高単価の案件を獲得するために必要な知識やスキルを洗い出し、優先順位を決めて効率的に習得を図りましょう。PMOの仕事をするうえで必ずしも資格は必要ありませんが、基本知識の証明に役立つ資格があるので後述します。
実績づくり
プロジェクト経験、特に成功実績は強力なアピール材料になります。目指す領域に対して経験・実績不足の場合には、まずは類似プロジェクトで実績をつくるといったことも必要になるかもしれません。
自身の市場価値の把握
フリーコンサルタントとして稼げるかどうかを確認するおすすめの方法としては、「POD」などフリーコンサルタント向け案件紹介サービスの活用が挙げられます。運営側に自身の経験であればどの程度の報酬を得られそうか聞いてみると、よりリアルな情報が得られることでしょう。
「POD」には経営戦略やIT上流・要件定義、SAP、DX、新規事業、PM・PMO等、幅広い案件があり、領域によっても多少変わりますが、月額単価100万円〜200万円の案件も多いので、高単価案件の獲得を目指したい人は登録しておくと良いでしょう。
PMOに役立つ資格
PMOとして働く上で必須とされている資格はありませんが、効率的に知識習得できることや、案件獲得の際のアピール材料になるなどのメリットもあります。ここではフリーランスのPMOとして働くうえで役立つ資格を4つご紹介します。
●PMP®(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)
●プロジェクトマネージャー試験
●基本情報技術者試験
●ITストラテジスト試験
それぞれ詳しく解説します。
PMP®(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)
PMP®(Project Management Professional)は、米国プロジェクトマネジメント協会の認定資格で、業種や業界にとらわれずプロジェクトマネジメントの深い知識を有することを証明できるグローバル資格です。国家資格ではありませんが、日本においてもプロジェクトマネジメントスキルの向上に有効とされています。
転職に留まらず、フリーランスの案件獲得の際にもアピール材料として活用できる資格の一つでしょう。
資格を維持するためには3年に一度の更新が必要です。資格取得後、更新を忘れないようにしましょう。
プロジェクトマネージャー試験
プロジェクトマネージャー試験はIPAが提供する試験の一つです。後述する基本情報技術者試験の上位資格にあたります。
試験では、IT分野の知識とPM業務で必要な知識が問われます。例えば、プロジェクト計画を作成する力やチームメンバーの教育、分析や評価などです。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験はIPA提供の国家資格の一つです。試験範囲は幅広く、プログラミングの他、ITエンジニアの基礎が全て含まれます。コンピュータ、OS、アルゴリズム、データ構造、統計、数学、メディア表現、セキュリティ、プロジェクトマネジメント、経営戦略なども範囲に含まれます。
難易度はそれほど高くないため、フリーランスのPMOとして独立する際のアピール材料としての活用は難しいと言えます。IT領域の知見がなく、一から学びたい人にとっては入門としておすすめです。フリーランスのPMOとして活躍するためには、より上位の資格が有効になるでしょう。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験はIPAが提供する資格の一つです。
経営層と共に、事業戦略からシステム化戦略や計画の立案・実行を主導する役割を担えることを証明する資格です。PMOのフリーランスとして活躍したい人にとって、重宝する資格の一つと言えるでしょう。
試験では、事業戦略を策定する力や事業戦略の達成度を経営者にフィードバックする力が問われます。また、各種調査分析や計画力、企画力も問われます。その他にも、情報セキュリティリスクや情報システム戦略実現上のリスクに関する対策に関する知見も問われます。
PMOの将来性と今後の動向
PMOの力を必要とする企業は今後も増加が見込まれており、当面の間、PMOのフリーランス案件は充実することが予想されます。
ただし、経済面で不安定なフリーランスが案件を獲得し続けるためには、知識やスキルアップの継続が欠かせません。また、会社員の場合は組織内のノウハウに手軽にアクセスできるものですが、フリーランスの場合、情報が得にくくなります。そうしたことも念頭に置き、意識的に情報を取りに行く姿勢が求められるでしょう。
まとめ
今回は、将来フリーコンサルタントとして独立を視野に入れている方に向けて、PMOのフリーランス単価や高単価を実現するために必要な準備、役立つ資格などについて解説しました。フリーランスは自由に案件を選ぶことができる反面、案件獲得や案件単価は実力次第とも言えます。高単価を実現するためには、勝負する領域や目標とする単価水準を定めることから始めましょう。その上で、必要な知識やスキルの習得、実績づくりに取り組みましょう。
また、自身の市場価値を把握することも有用です。「POD」などのフリーコンサルタント向け案件紹介サービスを活用し、どの程度報酬を得られそうか確認するのも手です。
「POD」の場合、月額単価100万円〜200万円のPM/PMO案件も多いので、高単価案件の獲得を目指したい人は登録しておくと良いでしょう。