ITコンサルタントのフリーランスは避けるべき?独立前の必須確認事項【5選】 | コンサル業界ニュース

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2022.10.14 ITコンサルタントのフリーランスは避けるべき?独立前の必須確認事項【5選】

  

ITコンサルタントとして働く人の中には、将来フリーランスとして独立したいと考えている人もいるかと思います。自由な働き方や収入アップにつながる可能性のあるフリーランスは魅力的ですが、中には独立後に後悔する人がいるのも事実です。 

本記事では、フリーランスをキャリアの選択肢に入れているITコンサルタントの方に向けて、独立前に必ず確認しておくべき5項目について解説します。具体的には「市場動向」「目的との整合性」「実現可能性」「方法・手順」「リスク」が挙げられます。 

  

    

目次

ITコンサルタントのフリーランス市場動向 
 ‐ ITコンサルタントの市場規模
 ‐ 需要
 ‐ 単価・年収
 ‐ 案件

目的との整合性
 ‐ フリーランスになるメリット
 ‐ フリーランスになるデメリット

実現可能性
 ‐ 市場価値を知る方法

ITコンサルタントとしてフリーランスになる方法
 ‐ 企業で経験を積む
 ‐ 自分の強みを見つける
 ‐ 仕事につながる人脈を作る 
 ‐ 実績を作る

フリーランスとして独立した際の注意点

まとめ

   

   

ITコンサルタントのフリーランス市場動向 

  

ITコンサルタントのフリーランスになるべきかを判断するには、そもそも市場がどのような状況なのかを押さえる必要があります。ここではITコンサルタントのフリーランス市場について、いくつか代表的なIT職種をピックアップしたうえで、需要や単価・年収などについて解説します。 

  

ITコンサルタントの市場規模 

ITコンサルティングの領域は成長市場です。IDC国内コンサルティングサービス市場予測によると、ITコンサルタントを含むデジタル関連ビジネスコンサルティングの市場規模は上昇しています。 

2020年は前年比の29.3%増(1337億円)を達成しました。また、2025年には4986億円の規模となる見込みです。(※) 

※出典:IDC 国内コンサルティングサービス市場予測を発表(参照日:2022.8.31) 

このような大規模な成長の背景には業務改善や財務管理、リスク管理などにITが多く用いられるようになったことや、組織開発におけるIT支援の普及が関係しています。 

ITコンサルタントの職種には主に、IT-PMO、CRM、SCM、SAPなど関係するコンサルタントがあります。それぞれの特徴について下記の表のとおりです。

   

    

需要 

IPAのIT人材白書2020(※)によれば、企業におけるIT人材の「量」は「大幅に不足している」「やや不足している」とする企業の割合が年々増加傾向にあり、2019年の調査では調査対象企業のうち9割に上りました。 

同様の調査で、企業におけるIT人材の「質」については、「大幅に不足している」「やや不足している」とする企業の割合は9割前後を推移しており、大企業になればなるほど「大幅に不足している」とする企業の割合が高くなっています。 

このことから、IT人材の職種のひとつであるITコンサルタントについても、量と質ともに高い需要があることが分かるでしょう。 

※出典:IPA IT人材白書,(参照日:2022.8.31)

    

単価・年収 

正社員で働くITコンサルタントの平均年収は600~650万円程度です。 国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」では日本の平均年収は約433万円とされているため(※1)、他の職種に比べてITコンサルタントは給与水準が高い傾向にあるといえます。 

また別の資料で、経済産業省が令和3年2月にまとめた「我が国におけるIT人材の動向」によれば、優秀なIT人材への投資を惜しまない企業が増えており、中には新卒でも年収1,000万円以上を提示する事例もあるようです。 

※1 出典:国税庁,令和2年分 民間給与実態統計調査, (参照日2022.8.31) 

※2 出典:経済産業省,我が国におけるIT人材の動向, (参照日2022.8.31) 

フリーランスの場合、案件や稼働量にもよりますが、月額100万円や200万円といった案件もあるため、単純計算で年間1,200万円〜2,400万円稼ぐことも可能です。 

   

案件 

実際に職種別の案件例を見てみましょう。当社が運営するコンサルタント案件紹介サービス「POD」に掲載されている案件の一例をご紹介します。※2022年8月31日時点 

・PMOコンサルタント 
A社内業務システムAWS移行PJ/報酬金額:100万~150万円 
B社国内店舗システム導入・プロジェクトの店舗展開・PM支援/報酬金額:150万円~ 

・CRMコンサルタント 
C社グループ企業間の顧客情報共有システムの構築/報酬金額:~100万円 
D社SFA/CRMプロジェクトPM支援/報酬金額:100万~150万円 

・SCMコンサルタント 
E社グローバルSCMプロジェクト支援/報酬金額:100万~150万円 
F社ERPシステム構築プロジェクト支援/報酬金額:150万円~ 

・SAPコンサルタント 
G社基幹システム刷新プロジェクト/報酬金額:100万~150万円 
H社SAP S/4 導入/報酬金額:100万~150万円 

  

   

目的との整合性

  

フリーランスのITコンサルタントとして独立を検討する際、忘れてはならないのが「目的との整合性」の確認です。フリーランスへの転身が自身の目的実現に対してどのような意味があるのか、事前にしっかりと確認しておくべきです。ここでは参考までにフリーランスになるメリットとデメリットをいくつかご紹介します。 

  

フリーランスになるメリット

フリーランスになるメリットは主に以下の5つです。 

●案件を選べる 
●収入を増やすことができる 
●場所や時間に縛られない、自由な働き方を実現できる 
●ワークライフバランスを整えられる 
●起業に向けた資金確保、起業後の事業投資資金を確保できる 

それぞれ詳しく解説します。 

  

案件を選べる 

正社員のITコンサルタントの場合、会社として獲得した案件にアサインされることが多いでしょう。また、年次が上がってくると、部下のマネジメントや他部門との調整業務、場合によっては政治的な動きなども必要になるものです。 

一方、フリーランスのITコンサルタントの場合は自由に案件を選択できるため、得意な領域や経験を積みたい領域のプロジェクトにリソースを集中することが可能になります。また、プロジェクトに直接的に関わりのない社内調整業務に追われる必要もありません。もちろん社内の人間ではないので、出世のための社内政治も必要ありません。 

  

収入を増やすことができる

会社員のITコンサルタントの場合、安定して給与を得られるものの、組織の都合によって期待するほどの収入アップが難しいケースも多いものです。 

一方、フリーランスのITコンサルタントの場合、案件の報酬金額がそのまま自身の収入になります。実力があることが前提になりますが、案件の選び方次第では会社員以上の年収を稼ぐことも可能なのです。 

  

場所や時間に縛られない、自由な働き方を実現できる 

時間や場所に縛られず、自分の都合に合わせて自由に働き方を選択できる点は、フリーランスの大きな魅力でしょう。 

会社員ならば所定の労働時間が決められた中で、会社の管理下で働くことになります。フリーランスの場合、クライアント先に常住が必要なプロジェクトもありますが、最近はリモート可能な案件も増えてきており、働く場所や時間に関して自由度が高いです。 

朝晩の通勤ラッシュに巻き込まれることもありませんし、自分が望んでいる生活スタイルの中で、良いパフォーマンスを発揮できるように働く時間も環境も選ぶことができるのです。 

  

ワークライフバランスを整えられる

場所や時間の縛りがなく、自由な働き方が可能であることに付随して、ワークライフバランスを整えやすいといったメリットがあります。 

プライベートな時間を確保することに対して、上司や同僚に許可を得る必要はありません。例えば、仕事の合間にジムで体を動かす、夕方に子供を迎えに行く、週に2日間は夕食を作るなど、自由に調整が可能です。 

<h4>起業に向けた資金確保、起業後の事業投資資金を確保できる</h4> 

フリーランスへの転身を起業の事前準備と位置付けている人もいることでしょう。 

法人としての起業し、何かしら事業を立ち上げ、拡大していくには、事業を推進していくための作業時間や資金が必要になります。 

フリーランスのITコンサルタントの場合、先にもご紹介したように高い報酬が期待できるため、借入に頼らずに事業資金を得ることもできます。 

  

フリーランスになるデメリット

フリーランスになると大きなメリットがありますが、一方でデメリットもあります。デメリットもしっかりと理解してフリーランスという働き方を選択するかどうか決めるべきでしょう。主なデメリットは以下のとおりです。 

●経済的な不安定さが増す 
●情報が入って来にくくなる 
●税務手続きなどの手間が増す   

それぞれ詳しく解説します。 

  

経済的な不安定さが増す 

フリーランスは会社員と比較して収入が安定しにくくなります。会社員の場合は決まった時期に決まった金額の給与を得られますが、フリーランスは案件を継続して獲得できないこともあります。仕事は自由に選べますが、条件に拘りすぎたり、自分の市場価値を見誤っているとなかなか思うように仕事ができないというケースもあります。フリーランスとして独立したばかりの方や経験が浅い方の場合は、仕事を思うように獲得できないケースも少なくありません。 

このように継続して安定収入を得られる保証はないため、住宅や車などローンを組む際には信用性の審査が会社員よりも厳しい傾向です。 

  

情報が入って来にくくなる

フリーランスになれば会社という組織に属さないため人と触れる機会が減ります。会社に行けば誰かがいて雑談をしたり、新しい情報が提案・共有されたりすることがないので、日常的に入ってくる情報量は少なくなって当然なのです。 

また会社員として働いていると定期的に評価・フィードバックがありますが、フリーランスではそのような仕組みはありません。 

自分から積極的に情報をキャッチアップする、周りに働きかけてフィードバックを受けるなど行動を起こす必要があります。 

  

税務手続きなどの手間が増す

会社員時代には気にもしなかった国民年金や健康保険や、年に1度の一大イベントである確定申告。フリーランスになると、これらの事務作業はすべて自分の責任で行わなければなりません。もちろん税理士や社労士などにアウトソーシングすることも可能ですが、負担が減る分費用がかかります。自分で行う場合、日々帳簿を付ける、契約書や請求書を発行するなどの事務的な作業が増えることに煩わしさを感じることもあるでしょう。 

  

   

実現可能性

  

市場を知り、自身の目的との整合性をクリアにしたら、次にすべきは「実現可能性」の確認です。市場にはライバルがいるため、誰もが理想通りに進むわけではありません。現在の勤務先を辞める前に、果たして自分はフリーランスのITコンサルタントとして、どの程度の市場価値があるのか確認しておくべきでしょう。次に市場価値を知る方法を例を挙げて解説します。 

  

市場価値を知る方法

フリーランスのITコンサルタントとして自身の市場価値を知るには、以下のような方法があります。 

●フリーランス向け案件紹介サービスを運営するエージェントを利用してみる 
●フリーランスをやっている友人や知人に話を聞く 
●ビジネスマッチングを利用してフリーランスで働く人に話を聞いてみる 

フリーランス向け案件紹介サービスとは、フリーランスと課題を抱える企業をマッチングするサービスです。経歴をもとに案件が紹介されるのでサービスを利用すれば、企業やコーディネーターなど第三者からの客観的な市場価値を知ることができます。 

また実際にフリーランスとして仕事を続けている人に話を聞くのも参考になります。業界や職種の違い、領域における需要の大小や市場規模の違い、個人のスキルなどさまざまな違いはあれど、フリーランスとしてどのような仕事でどの程度の収入を得ているのかなど参考になる情報は得られるはずです。 

  

  

ITコンサルタントとしてフリーランスになる方法

   

ITコンサルタントとしてフリーランスになる方法は下記の4つです。 

●企業で経験を積む 
●自分の強みを見つける 
●仕事につながる人脈を作る 
●実績を作る 

それぞれ詳しく解説します。  

   

企業で経験を積む

フリーランスのITコンサルタントに異業種から転身したい人は、企業で経験を積むことをおすすめします。 

フリーランスは社会的信用が低い傾向にあるため、クライアントからの信用を得にくいです。企業での勤務経験がない人がいきなりフリーランスとしてITコンサルタントを名乗っても、その人の経歴や属性について不安に思うクライアントも多いでしょう。 

企業での経験を積んでおくことで、在籍していた企業を名刺代わりにすることも可能です。企業で実際に働いていたことを証明できれば、クライアントの信頼を得やすいと考えられます。特にコンサルティングファーム、大手ソフトウェア会社での経験があると、フリーランスでは高単価を得やすくなります。 

また、企業での勤務経験はITコンサルタントに限らず、IT系の分野であればキャリアの移行が容易です。その上で、経営や組織開発、人事、営業、システム開発、DX推進などの経験があると、さらに評価が高まるでしょう。

   

自分の強みを見つける

フリーランスが仕事を得るためには自分の強みをアピールできるかが鍵です。これまでの実績や業績と一緒に、自分の強みをアピールすることでクライアントと契約を結びやすくなります。 

自分の強みはこれまでに携わってきた案件や業務、経験、取得した資格などを振り返ることで見えてくることも多いです。また、自分の強みを探す過程で、自身に不足しているスキルも見えてくるため、ITコンサルタントとしてのさらなる成長を期待できます。 

  

仕事につながる人脈を作る 

フリーランス協会が公表した「フリーランス白書2020」によるとフリーランスの仕事の受注経路として、人脈と過去・現在の取引先が最も多いという結果でした。(※) 

フリーランスが全く関わったことのない人から仕事をもらうためには、実績を提示する必要があります。その上で、自分自身について知ってもらえるよう努力しなければなりません。一方、ビジネスにおける人脈や知人の場合にはこのような手間が省けます。 

前職での人脈や知人が経営する企業、友人などから仕事を任せてくれそうな人を探してみてください。 

知人経由での仕事を実績として、ステップアップすることも可能です。 

※出典:フリーランス協会 フリーランス白書2020 (参照日2022.8.31) 

  

実績を作る

面識がこれまでにない人から仕事をもらうためには実績が不可欠でしょう。フリーランスとして実績がないうちはコネクションがないと仕事を得ることは難しいです。 

最初のうちは低単価案件への応募や、人脈を活用するなどして仕事を獲得してみてください。 

フリーランスとして独立した当初は高単価の仕事を得られなくても、実績が増えることに比例して、高単価の案件獲得率も上がってくるはずです。 

  

  

フリーランスとして独立した際の注意点 

フリーランスのITコンサルタントとして働いていると、クライアントから契約した業務以上の内容を求められることもあるかもしれません。サービスとして無料で引き受けるという選択肢もありますが、頼まれた業務の全てをサービスとして無料で引き受けては自身の負担が増すだけです。仕事を無料で引き受けるラインを明確に定めておくことをおすすめします。 

また、フリーランスとして働くにあたって健康管理は不可欠です。体調を崩した場合、クライアント企業に迷惑がかかるだけでなく、自身の収入にも影響が出ます。フリーランスは仕事量によって報酬が決まるため、体調を崩して働けなくなると無収入にもなりかねません。 

スキルや情報収集についても自己管理・自己研鑽が必要になります。フリーランスは即戦力としてクライアント企業に貢献することが求められるため、研修やOJTなどの手厚い教育は基本的にありません。そのため、高いスキルや深い知識を身に付けた上で、フリーランスとして独立することをおすすめします。また、業界動向なども自身で調べなければなりません。 

   

    

まとめ 

近年多くの企業が自社にITを導入し、業務の効率化や利益の向上を目指しています。しかしIT技術に関する知識を持つ社員が在籍していない企業も多く、自社では対応しきれない企業も少なくありません。こうした状況においてITコンサルタントの需要は増加傾向にあり、今後もこの傾向は続くと見られています。 

ITコンサルタントはフリーランスとしての働き方にもマッチしやすい職種です。フリーランスになることを検討する際には、本記事で紹介してきた独立前の必須確認事項を参考にしてみてください。 

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