2023.09.15 IBM、watsonx.governanceの技術プレビューおよび新しい基盤モデルとwatsonx.dataへの生成AIの組込みに関する計画を発表し企業向けのAIおよびデータのプラットフォームであるwatsonxを進化
IBMは本日、企業がAIの効果を拡張・加速できるように設計され、AI機能を備えたAIおよびデータのプラットフォームであるwatsonxに、新たな生成AI基盤モデルを追加することや機能強化を図る計画を発表した。
このたびwatsonx.aiに追加されるIBM独自の基盤モデルおよびサード・パーティーの生成AIは以下の通りである。
- Graniteシリーズ・モデル :IBMは、今月末にGraniteシリーズ・モデルを追加する計画である。Graniteモデルは、一連の流れの中で次の単語を予測する今日の大規模言語モデル(LLM)の能力を支える「デコーダー」アーキテクチャーを使用しており、要約、コンテンツ生成、洞察抽出といった企業向けの自然言語処理タスクを実現する。
- サード・パーティー・モデル: Meta社の「Llama 2-chat」( 700億パラメータ・モデル)と、コード生成用の大規模言語モデル「StarCoder」をIBM Cloud上のwatsonx.aiで提供を開始する。
IBMはまた、watsonxプラットフォーム全体における新機能の提供開始に向けた計画について発表しました。
watsonx.ai:
- Tuning Studio:IBMは、Tuning Studioの最初のバージョンをリリースする予定です。これには、お客様が所有する企業データを使用して、効率的かつ低コストな方法で基盤モデルをお客様独自の下流タスクに適応することができるプロンプト・チューニングが含まれる(2023年第3四半期に提供開始予定)。
- 合成データ・ジェネレーター:IBMは本日、カスタム・データ・スキーマまたは内部データ・セットから、ユーザーが人工的な表形式データ・セットを作成できるよう支援する合成データ・ジェネレーターを提供開始した。
watsonx.data:
- 生成AI: IBMは、watsonx.dataにwatsonx.aiの生成AI機能を組み込み、会話型の自然言語インターフェースによるセルフサービス体験を通じて、ユーザーがAI用のデータを発見、拡張、視覚化、調整できるようにする予定である(2023年第4四半期に技術プレビュー予定)。
- ベクトル・データベース機能:IBM はベクトル・データベース機能を watsonx.data に統合し、watsonx.ai のRAG(Retrieval-Augmented Generation、検索により強化した文章生成)ユースケースをサポートすることを予定している(2023年第4四半期に技術プレビュー予定)。
watsonx.governance:
- 生成AI向けモデル・リスク・ガバナンス:IBMはwatsonx.governanceの技術プレビューを開始します。技術プレビューを利用するお客様は、基盤モデルの詳細についての自動収集や文書化が可能になるほか、モデル・リスク・ガバナンス機能を利用することが可能になる。
企業向けAIとデータのプラットフォームであるIBM watsonxは、以下のような企業の主要なユースケースにおいて、お客様が信頼できるデータを用いてAIの効果を拡張・加速できるように設計された一連のAIアシスタント機能によって補完されている。
- アプリケーション・モダナイゼーション:今年後半に提供開始予定のIBM watsonx Code Assistant 製品は、カスタマイズされた基盤モデルを使用してコードを変換し、開発者向けに推奨コードを生成する。
- カスタマー・ケア:IBM watsonx Assistantは、会話型AIによる一貫性のあるインテリジェントなカスタマー・サービス・ソリューションの提供を支援している。
- 人事・採用:IBM watsonx Orchestrate は、会話型インターフェースを通じて、面接のスケジュール調整や求人情報の掲載など、繰り返しの多い業務やバックオフィスのプロセスを人事担当者が自動化できるよう支援する。
- インテリジェントなITオートメーション:ITオートメーション製品のInstanaとAIOps Insightsは、Intelligent Remediationを含むようになる。
- watsonx向け開発者サービス:開発者がwatsonxの機能をIBM Power for SAPワークロード上のお客様のデータの近くに持ち込むことを簡単化、加速化できるようにするため、SAP ABAP SDK for watsonxは、お客様がIBM Powerシステム上にあるデータの近くでAIを使用して推論し、最も機密性の高いデータやトランザクションにAIアルゴリズムを展開する方法を追加する予定である(2024年第1四半期に提供開始予定)。