2022.12.23 【反常識のコンサル?】就活生から支持を集めるケンブリッジとは何者なのか
コンサル業界ニュース編集部に在籍する大学生インターンがコンサルティング会社の採用担当者にインタビューを行う連載企画。
第7回は、さまざまな会社や組織に対して「ファシリテーション型変革コンサルティング」を提供するケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社(以下、ケンブリッジ)です。今回は、同社で新卒採用を担う石賀 咲葵氏と渡辺 歩氏にケンブリッジの特徴などについて伺いました。コンサルティング業界に関心のある学生は、ぜひご一読ください。
プロフィール
石賀 咲葵
2018年・新卒入社。コンサルタントとして、大手不動産企業の新規事業立案プロジェクトなどを経験。現在は、人事として新卒採用や新入社員育成、社内コミュニケーションのデザイン、働きがいの創出などに取り組む。
渡辺 歩
2012年・中途入社。新卒入社した日系大企業を経てケンブリッジへ参画。6年間コンサルタントとして数多くのプロジェクトを経験。現在は、「現場が分かる採用」をポリシーに、採用等の人事業務に取り組む。
目次
・反常識でも、正しいことをする
‐ コンサルが不要な世界へ
‐ 正しいことをする
‐ 本質的なゴール
‐ ノウハウはお客様に公開する
‐ ファシリテーション型変革コンサルティング
‐ 「売上責任」を現場に背負わせない理由
・プロジェクトとキャリア
‐ さまざまな変革プロジェクト
‐ 手応えを感じられる評価精度
・ケンブリッジの新卒採用
‐ マッチする人
‐ 志望動機は聞かない
‐ その場でフィードバックする
・終わりに
反常識でも、正しいことをする
聞き手(コンサル業界ニュース):
今日は現場のノウハウを反映した書籍やセミナーも多く、学生からの注目度も高いケンブリッジの特徴に迫りたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
コンサルが不要な世界へ
聞き手:
まず、ほかのコンサルティング会社と比べて、貴社の特徴は何でしょうか。
石賀氏:
私たちが究極的に目指しているのは「コンサルが不要な世界」です。
一般的に、コンサルティング会社が安定的な売上を確保するためには、クライアント企業に対して一人でも多く・長くコンサルタントを送りこむことが常識とされています。そのために多くのコンサル会社は、クライアント企業の中核に入り込み、自分たちがいなければ業務が回らない状態を意図的に作り出そうとするのです。
しかし、私たちはこの常識は健全ではないと考えています。
お医者さんと患者の関係に例えると、一時的に入院や通院をすることがあっても、いずれは診察を受けたり薬を飲んだりしなくても健康に過ごせる状態を目指したいですよね。コンサルティングもこれと同じです。
私たちの支援を通じて変革が成功し、お客様が成長する。次の変革をお客様自身で進められる状態になれば、コンサルティングは不要になる。このような「反常識のコンサルティング」こそが当社の特徴です。
正しいことをする
聞き手:
コンサルティングすらも不要になる世界を目指すうえで、貴社が大切にしていることはありますか。
石賀氏:
そうですね、「お客様にとって正しいことをする」という価値観を大切にしています。
聞き手:
「お客様にとって正しいことをする」というのは、ある意味で当然のことのようにも聞こえるのですが、もう少し詳しく教えていただけますか。
本質的なゴール
石賀氏:
例えば、「お客様にとって正しいことをする」という観点からコンサルティングのゴールの定義を考えてみましょう。
一般的なコンサル会社の場合、「コンサルタントによるお客様の課題解決」をゴールにしているケースがほとんどだと思います。
ただ、変革推進の主体が「コンサルタント」なので、コンサルタントがいなくなるとお客様側は立ち行かなくなってしまいます。結果としてコンサル依存度が高まり、お客様は高いコストを払い続けることになるのです。
一方、私たちはコンサルティングのゴールを、「お客様が自ら改革を推進できること」と定めています。
つまり、私たちがいなくなっても大丈夫な状態をつくることがゴールなんです。当然、プロジェクトを無駄に長引かせるようなことはせず、事前に決められた期限までに終了させるので、お客様は不要なコストを負担する必要がありません。
ノウハウはお客様に公開する
聞き手:
確かに、お客様が自ら改革を推進できれば、コンサル会社へ依存し続ける状態は回避できますね。
ただ、貴社が取り組んでいるような難易度の高いコンサルティングプロジェクトの場合、ノウハウを持たないお客様側で改革を推進していくのはそう簡単ではないように思うのですが…何か工夫があるのでしょうか。
渡辺氏:
はい、お客様が自ら改革を推進できるようになるために、ケンブリッジが持つノウハウはすべて言語化して伝えるようにしています。
実地技術になるので、プロジェクトを進めるなかでケンブリッジのコンサルタントが実際にやってみせたり、お客様にやっていただいたりします。そうすることで、次からは私たち抜きでお客様が自ら改革を推進できるようになるんです。
聞き手:
それは良いですね!あ…でも、ノウハウを全部渡してしまって大丈夫なんでしょうか。
石賀氏:
はい、全く問題ありません。
「お客様にとって正しいことをする」という価値観に則れば、当然のことなんです。
一般的なコンサル会社によく見られる「ノウハウ売り」だと、お客様側は単に答えを手にするだけなので改革を実行しきれないんですよね。
よくあるケースでいえば、「目指すべき姿や現状の課題はクリアになったけど、状況は何も変わっていない」といったものです。
また、お客様側が「答えを得よう」というスタンスでは、自分たちで改革をやり切るマインドが醸成されにくいんですよね。
仮にコンサルから得た「答え」が当たって一時的にうまくいったとしても、ビジネス環境は刻々と変化します。だから、環境が変わるたびにコンサルに新しい答えを求めなければならなくなり、気がつけば「コンサル依存」の状態に陥っているというわけです。
渡辺氏:
ちなみに、「ノウハウ売り」以外にも、「スキル売り」やシステムという名の「モノ売り」をしているコンサル会社もありますが、コンサルに頼り続けなければならない元凶になっているケースがとても多いですね。
「スキル売り」の場合、プロジェクトの終了とともにスキルを持ったコンサルタントがいなくなるので、「解決したように見えた問題が、プロジェクトを終えたら元に戻ってしまった」ということにつながりやすい。だから、コンサルタントが手放せなくなる…
「モノ売り」の場合はイメージしやすいかと思いますが、「課題を解決するための武器を手に入れたけど、使いこなせない」といったことにつながりやすいですね。何だかんだと理由をつけてシステム改修を繰り返し、プロジェクト期間がどんどん伸びるといったことも多いです。
ファシリテーション型変革コンサルティング
聞き手:
業界に蔓延する「コンサル依存」の背景には、コンサル会社のノウハウ売りやスキル売り、モノ売りといったものがあるのですね。
そんななか、貴社はどのようなコンサルティングを行なっているのでしょうか。
石賀氏:
ファシリテーション型コンサルティングが挙げられます。
これは、コンサルタントが先生のようにお客さんに対して一方的に「こうした方がいいですよ」と教えるようなものでなく、お客さんとともに「どういう方向に行くのか」、「そもそも、なぜその方向に行きたいのか」を共に考え、進めていくスタイルです。
繰り返しになりますが、あくまでゴールは「お客様が自ら改革を推進できること」です。
私たちは、ファシリテーションの手法を用いながら、お客様自身が「こう変わるんだ」という変革マインドを持ち、「自分たちの変革」として真剣に取り組めるように全力でサポートしています。
「売上責任」を現場に背負わせない理由
渡辺氏:
あと、他の大手コンサル会社との違いとして言えることとして、ケンブリッジでは「売上責任」を現場に負わせない形にしています。
聞き手:
一般的なコンサル会社では、ポジションアップしていくと売上責任を担うイメージがありますが、そうしないのはなぜでしょうか。
渡辺氏:
「売上責任」を現場に負わせないことにはちゃんと理由があって、突き詰めれば「お客様にとって正しいことをする」ためです。
現場のコンサルタントに売上責任を背負わせるということは、つまり、売上がコンサルタントの人事評価に影響するということになりますよね。
そうなると、自分の担当顧客のコンサル依存度をより高め、本来は不要な増員を提案する方向にインセンティブがはたらいてしまいます。
これって、お客様にとって本当に正しいことではないですよね。
むしろ、お客さんにとって好ましくない状況が進んでしまいそうな場面では、現場のコンサルタントが躊躇なく「私たちの支援体制も含めて、プロジェクトのあり方を見直しましょう」と提案する必要があります。
だから、ケンブリッジでは「売上責任」を現場に負わせない形にしてるんです。
聞き手:
そういうことなんですね!「お客様のために正しいことをする」という姿勢が徹底されているんですね。
プロジェクトとキャリア
聞き手:
続いて、プロジェクトやキャリアについてお聞きしたいと思います。
さまざまな変革プロジェクト
聞き手:
こういう業種やテーマの案件が多いなど、支援するプロジェクトに傾向はありますか。
石賀氏:
特に狙っている訳ではないんですけど、業種でいえば製造業が一番多いですね。
テーマとしては、人事改革もあれば営業改革もあるし、新規事業創出などさまざまです。
既存の業務や組織を大きく変えるために、ITシステム導入も併せて支援するプロジェクトが多い傾向にあります。
渡辺氏:
ちょうどこの間、勤続20年以上のコンサルタントに「ケンブリッジで働き続ける理由」を聞いてみたんですよ。
そしたら、「だって、いろんなことできるじゃん」って即答されましたね。笑
それだけケンブリッジで受けている案件は、業種やテーマがさまざまだということです。
聞き手:
ちなみに、プロジェクトは大体何人くらいのものが多いのでしょうか。
石賀氏:
平均は5人ぐらいです。少し大きい案件だと10人以上のものもあります。
特徴としては、基本的に一人ひとつのプロジェクトを担当します。複数プロジェクトを掛け持ちしてしまうと、お客さんに向き合う上で集中しづらくなってしまうからです。
手応えを感じられる評価制度
聞き手:
コンサルタントのレベル分けや評価制度について教えていただけますか。
石賀氏:
コンサルタントには12段階のレベルがあり、メンバーからチームリーダー、プロジェクトマネージャーのような形で上がっていきます。
評価制度のお話もすると、コンピテンシー評価と呼ばれるものがあります。それぞれのレベルでどんな行動が求められるのかが定義されていて、今自分がどういう状態なのか、どうなると次のレベルに上がれるのかを明確にすることができます。
あと、評価からは年功要素が排除されているので、納得感や手応えを感じられるようになっています。
ケンブリッジの新卒採用
マッチする人
聞き手:
貴社にマッチする人の傾向などがあれば教えていただけますか。
石賀氏:
そうですね…ざっくりとした傾向ではありますけど、大手志向よりかはベンチャー志向の方が合うかもしれませんね。
渡辺氏:
あとは、「名より実を取る」人とか。つまり、見た目の華やかさとか分かりやすさに惑わされず、当たり前のことをきちんとやり切れるような人は合うと思います。
それから、組織観でいえば、「カリスマ的存在が周囲を率いる」みたいな組織が好きな人よりも、「たとえカリスマがいなくても、共通ゴールに向かって一人ひとりが自律的に動く組織」、あるいはそういう状態が好きな人が合いますね。
石賀氏:
あー、確かに。
あとは、好奇心旺盛でいろんなこと興味があっていろいろやってみたいけど、まだ1つに定まってないぐらいの人が合うと思います。
志望動機は聞かない
聞き手:
あれ?でも、面接とかで「これやりたいです」とか、「こういう専門性を身につけたい」みたいな話、学生さんからされませんか。
石賀氏:
あ、私たち志望動機聞かないんです。
聞き手:
え!?志望動機聞かないんですか?笑
石賀氏:
はい、聞かないですね。笑
これから社会に出る学生の方がそれを用意するのって難しくありませんか?
なので、志望動機よりも、「どうありたいか」とか「どういう状態が好きなのか・嫌いなのか」といったところが知りたいと思っています。
その場でフィードバックする
聞き手:
他に、貴社の選考方法に特徴的なところってありますか?
石賀氏:
選考結果を問わず、学生全員に対してフィードバックをしています。
私たちから見て、良いと感じた点・今後伸ばす余地がある点を、面接やグループディスカッションの終わりに個別にお伝えしています。
聞き手:
面接後のフィードバックは聞いたことはありますが、グループディスカッションでも個別にフィードバックするというのは珍しいですね。
石賀氏:
選考であるため合否は当然あります。でも、なぜ合格だったか、なぜ不合格だったかが分からなければ納得感がありませんよね。選考結果がどちらであっても、「ケンブリッジの選考にエントリーしてよかった」と思ってもらえる選考を目指しています。
渡辺氏:
ケンブリッジにはフィードバック文化があります。年齢や職位にかかわらず率直に感じたことを伝え、互いに高め合う関係性を日頃から重視しています。「私たちらしい採用選考ってなんだろう?」という問いを重ねた結果、自然とこの方法に行き着きましたね。選考に参加するコンサルタント社員に対しても「選考だからといって特別なことはせず、普段仕事をするように振舞ってください」と伝えています。
聞き手:
選考を受けることで貴社の文化に対する理解が深まりそうですね。
石賀氏:
はい、その点もとても大事にしています。
会社紹介資料や採用ホームページなどの公式情報だけでなく、選考スタイルやその場面での社員の振舞いを通じても、入社後のイメージを高めてもらえたら嬉しいです。
学生に向けてひとこと
聞き手:
最後に、コンサルティング業界や貴社に注目している学生に向けて、メッセージをお願いします。
石賀氏:
いろいろ迷うことは多いと思いますが、悔いのない意思決定をして欲しいと思います!
そうした活動のなかで、少しでもケンブリッジに興味をもってもらえたら嬉しいです。
渡辺氏:
今はネットで色々な情報が手に入りますが、直接話を聞きに行ったり、「行動」に軸を置いた就職活動をして欲しいですね。その方が楽しいと思います。
終わりに
今回は、ケンブリッジで新卒採用を担っている石賀氏と渡辺氏に話を伺いました。
「お客様が自ら改革を推進できること」をゴールに、「コンサルを不要にする世界」を目指すケンブリッジ。
特に印象的だったのは、「お客様にとって正しいことをする」という一見、当たり前のように思えることが、お飾りのスローガンではなく、徹底して仕組みや行動に落とし込まれている点です。
例えば、プロジェクトのゴール定義から、ファシリテーション、組織構造、キャリア・評価制度まで、全てが「お客様にとって正しいことをする」という価値観の基に考え抜かれ、実行されているのです。
お客様のために、もっといえば関わるすべての人に対して、正しいことを当たり前にやり切りたい…そう願う学生にとって、ケンブリッジは20代を過ごすうえで素晴らしい環境のように感じました。
コンサルティング業界に興味がある学生の方にとって、本記事がケンブリッジに対する理解を深めるきっかけになれば嬉しいです。