ITコンサルタントの年収はいくら?形態別・年代別に徹底解説

更新日:9月10日


デジタル化が加速する近年では、ITコンサルタントの需要と年収が高くなる傾向にあります。


人気企業に勤めるITコンサルタントや案件単位で受注するフリーランスは、年収が1,000万円を超えるケースも少なくありません。
ただし、経験年数や専門分野、雇用形態などによっても年収は大きく異なります。


そこで本記事では、雇用形態別や年代別の年収、年収を左右する要因などについて詳しく解説します。年収を上げる方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。




目次




ITコンサルタントの契約形態別年収





ITコンサルタントの、契約形態別年収は下表のとおりです。


雇用形態年収備考
正社員約650万円平均年収
派遣社員約370万円時給1,788円 × 8時間× 5日× 52週
フリーランス約720万円~1,800万円案件によって幅がある
正社員+副業約890万円本業650万円+副業(週2日で月20万円)

正社員は業務範囲が限られるため、平均年収は低めです。また、単純作業が多くなりがちな派遣社員は正社員よりも年収が下がります。
一方、フリーランスはスキルや実績、営業力によって年収が大きく変わります。

出典:ITコンサルタントの仕事の年収・時給・給料|求人ボックス
   フリーダッシュ





ITコンサルタントの年代別年収





ITコンサルタントの年代別年収は下表のとおりです。


年齢年収
20~24歳約450万円
25~29歳約570万円
30~34歳約620万円
35~39歳約700万円
40~44歳約800万円
45~49歳約900万円
50~54歳約960万円
55~59歳約950万円

年齢とともに年収も上昇しているのがわかります。年収の伸び率がもっとも大きい時期は30代後半から40代前半です。この時期はキャリアの中核となる重要な経験を積むので、年収が大きく上がります。

出典:itコンサルタントの平均年収|平均年収.jp
   マイナビエージェント





ITコンサルタントの業務・種類別年収





ITコンサルタントの業務・種類別の年収を詳しく見ていきましょう。
ここでは「IT上流・要件定義」「PMO」「SAP」の具体的な年収を紹介します。


IT上流・要件定義


IT上流・要件定義案件の年収シミュレーションを見てみましょう。


業務内容契約稼働率年収
要件定義ドキュメント作成支援エージェント経由80%~100%1,200万円~1,800万円

要件定義から携われる案件です。システム開発でも重要な上流フェーズを経験できます。
月単価が100万~150万円の案件であるため、年収換算は1,200万円~1,800万円です。


本案件に限らず、IT上流・要件定義の案件は年収1,000万円を超えるケースが珍しくありません。上流工程の経験を積みたいという熱意と、高い業務負荷に耐えられる自信があれば、キャリアアップにもつながるでしょう。


このような案件の契約期間は比較的短いため、集中して経験を積み、次のステップへつなげたいという方にも適しています。


PMO


PMO案件の年収シミュレーションを見てみましょう。


業務内容契約稼働率年収
決済関連システム統合のPMO支援エージェント経由100%1,800万円~

基幹システム統合業務の幅広い役割を求められる案件です。月単価150万円以上、年収換算で1,800万円以上の高報酬が提示されています。


業務内容を考慮すれば高すぎる水準ではありません。
経営層向けドキュメントの作成経験や、上流工程のPMOスキルを磨けるのも魅力です。


SAP


SAP関連案件の年収シミュレーションを見てみましょう。


業務内容契約稼働率年収
大手製造業向けSAP導入支援エージェント経由80%~100%1,200万円~1,800万円

SAP案件の平均単価は100万円前後ですが、高度なマネジメント能力と客先常駐 50%程度が必要とされる本案件は高い報酬が提示されています。


稼働率は80%~100%と低めなので、スポットコンサルとの兼業も可能です。


たとえば、1時間5,000円〜30,000円のスポットコンサルを月に2回引き受けた場合、年収に約72万円の上乗せが見込めます。

出典:POD|ランサーズ株式会社





人気企業に在籍するITコンサルタントの年収





人気ITコンサルタント企業の年収を見てみましょう。


野村総合研究所(NRI)約1,200万円
PwCコンサルティング約1,150万円
EYストラテジー・アンド・コンサルティング約1,100万円
デロイト トーマツコンサルティング約1,100万円
日本IBM約1,000万円

出典:【大手一覧】ITコンサルタント企業のランキング(年収,売上別)


年収最高額は、野村総合研究所(NRI)の1,232万円です。
NRIは国内最大手のシンクタンクで、高い専門性とブランド力が高年収の理由になっていると考えられます。


PwCコンサルティングとEYストラテジー・アンド・コンサルティング、デロイト トーマツコンサルティングの年収はそれぞれ1,100万円前後でほぼ同額です。この3社はいわゆる「ビッグ4」と呼ばれる外資系大手コンサルティングファームで、その実績は高く評価されています。


日本IBMの年収は、ほかの4社に比べるとやや低めの約1,000万円です。
同社はグローバル企業の日本法人であるため、国内事業規模の小ささが年収に影響している可能性があります。





ITコンサルタントの年収を左右する要因





ITコンサルタントの年収を左右する要因は、主に下記の4つです。


  • 契約形態
  • 経験年数
  • スキルレベル
  • 業務の種類

それぞれ詳しく見ていきましょう。


契約形態

会社員は業務範囲が定められているため、年収の上限も決まっています。年次や役職に応じた給与体系が多く、成果報酬のようなインセンティブもありません。一方、フリーランスは業務範囲が広く難易度が高いほど年収も上がるのが一般的です。


そのため、会社員は安定収入と福利厚生の充実、フリーランスは収入が不安定ながら高収入を狙えるといったトレードオフの関係があります。


経験年数


経験年数が増えるほど高度な専門知識とスキルを習得でき、年収も上がる可能性が高まります。


特にSAPの知識とスキルは短期間での習得が難しいため、経験年数による年収の差が顕著です。経験年数が1年未満の場合は月単価50万円前後ですが、3年を超えると月単価100万円、5年を超えれば月単価200万円以上も狙えるようになります。


スキルレベル


最先端のテクノロジーを熟知し、高度な専門知識を有しているITコンサルタントは、企業から高く評価されるため年収も高くなります。


人材不足が顕著なセキュリティやクラウド関連のスキルがあるITコンサルタントも、給与が高額になる傾向にあります。


業務の種類


業務の種類によっても年収に開きが生じます。システム構築やIT戦略立案などの高度な業務は年収も高めです。一方、システム開発下請けのような業務は、年収が低くなります。


なお、製造業や金融業はプロジェクトの規模が大きくなりがちなので、年収も高くなる傾向にあります。ただし、セキュリティ要件が厳しく、高度な専門知識が必要とされるのが一般的です。





ITコンサルタントの年収が高い理由





ITコンサルタントの年収が高い理由は次の3つです。


  • 高度な専門知識とスキルがある
  • 需要が増加している
  • 成果が報酬に反映されやすい

それぞれ詳しく見ていきましょう。


高度な専門知識とスキルがある


ITコンサルタントは高度なスキルと専門知識を有しているため、その能力が高く評価されます。


システム設計や開発、運用には、プログラミングや各種ツール、クラウドなどの深い知識が必要です。


また、クライアント企業の経営課題を的確に捉え、ITを活用した解決策を立案する問題解決能力も求められます。


このような課題に応えられるITコンサルタントの年収が高くなるのは、当然と考えてもいいでしょう。


需要が増加している


DX推進によりテクノロジー活用の必要性が高まっている近年では、ITコンサルタントの専門知識が不可欠です。


最新技術を活用したシステムの構築やクラウド環境への移行、サイバーセキュリティ対策など、ITコンサルタントの手腕が求められるシーンは広がっています。


慢性的なIT人材不足も年収が高くなる要因のひとつです。優秀な人材を確保するために高い報酬が提示される案件は少なくありません。


成果が報酬に反映されやすい


ITコンサルタントは、プロジェクトの成果や難易度に応じて高額な報酬を得られます。


特にフリーランスや副業は、自分のスキルと実績に合わせて報酬を柔軟に設定できるメリットがあります。


正社員は業務範囲に限りがあるため、成果を報酬に反映させるのは困難です。実力に応じた高い報酬を希望するなら、フリーランスか副業を選択したほうがいいでしょう。





ITコンサルタントが年収を上げる方法





ITコンサルタントが年収を上げる方法は下記の4つです。


  • スキルを磨く
  • 資格を取得する
  • 経験と実績を積み重ねる
  • ビジネスの理解度を深める

それぞれ詳しく解説します。


スキルを磨く


ITの分野は技術の進化が速いため、常にスキルを磨き続けることが年収アップの鍵となります。


特定分野の専門家として地位を築けば、自ずと年収も上がってくるでしょう。新しいプログラミング言語やフレームワーク、クラウド関連などの最新技術を積極的に学んで、スキルセットを広げることも大切です。


ほかの人材よりも付加価値の高いサービスを提供できれば、高収入を得られる可能性は高まります。


資格を取得する


ITコンサルタントに必須資格はありません。しかし、IT業界で認められた資格を取得することで信頼性と専門性が高まり、年収アップが期待できます。


IT関連の知識・スキルの証明には、下記のような資格が役立つでしょう。


高度なITの知識だけでなく、経営戦略やマネジメントに関する知見を証明できる資格です。


試験実施月4月・10月
受験料(税込)7,500円
合格率約20%
主催IPA(情報処理推進機構)

参照:応用情報技術者試験| IPA 独立行政法人 情報処理推進機構


IT戦略関連の知識とスキルを証明できる資格です。合格率約15%と難易度は高めですが、希少なスキルを示せます。


試験実施月4月
受験料(税込)7,500円
合格率約15%
主催IPA(情報処理推進機構)

参照:ITストラテジスト試験データ(合格率・講評)|スタディング


IT活用に向けた助言と支援のスキルを証明できる資格です。認知度の高い経済産業省推進資格なので、転職時に役立つ可能性もあります。


試験実施月年間2回
受験料(税込)19,800円
合格率約50~70%
主催ITコーディネータ協会

参照: ITコーディネータ協会(ITCA)


経験と実績を積み重ねる


年収のアップには、経験と実績の積み重ねも欠かせません。自分の価値を具体的な成果で示せれば実力が年収に直結しやすくなります。


技術力だけでなく、営業力やマネジメントの経験も積むようにしたいところです。幅広い知見と能力があれば、クライアント企業の課題に対して適切な解決策を提案でき、高い評価を得られるようになります。


ビジネスの理解度を深める


クライアント企業の事業モデルと業務プロセスの理解度を深めることも大切です。ITソリューションがビジネス目標の達成に役立つかどうかを明確に提案できれば、高評価と年収アップが期待できます。


テクノロジーの活用だけでなく、業務への落とし込みまでをサポートできるITコンサルタントは再受注の可能性も高まるでしょう。





まとめ



ITコンサルタントの年収は、契約形態や年代、業務内容などによって異なります。また、専門性の高い分野ほど給与水準が高くなる傾向にあります。


経験とスキル次第で1,000万円を超える年収も夢ではありません。ただし、スキルを磨き続ける努力は求められます。


会社員に比べて副業やフリーランスのほうが高年収になる傾向があるので、実際の報酬が気になる方は「POD」のようなコンサルタント専門のエージェントサービスで案件を検索してみましょう。