財務コンサルタントの年収を徹底解説〜高収入の要因は?
更新日:11月1日
企業の財務状況を改善し、より健全な経営をサポートする財務コンサルタントの役割は、企業の成長に欠かせないものとなっています。
しかし、財務コンサルタントの年収はどのくらいなのでしょうか? 高収入といわれる財務コンサルタントですが、高収入の理由は意外と知られていません。
本記事では、財務コンサルタントの年収の相場と、高収入の背景にある要因を徹底解説します。さらに、仕事内容や求められるスキルもあわせて紹介します。副業で財務コンサルタントを検討されている方も必見です。
財務コンサルタントの年収は?
財務コンサルタントの年収を紹介します。
平均年収
財務コンサルタントは、財務面に焦点を当て、企業の経営課題を発見し、解決を支援します。財務状況の改善や資金調達、投資戦略、事業再生、内部監査、IR、さらにM&Aなど、幅広い業務を担当します。
厚生労働省の職業情報提供サイトでは、「財務コンサルタント」という項目はありませんが、類似の業務を扱う関連コンサルタントの年収を見ていきましょう。
- 経営コンサルタント:947.6万円
- M&Aコンサルタント:947.6万円
- ITコンサルタント:684.9万円
- 税理士:746.7万円
年代別年収レンジ
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、経営コンサルタントの年収推移は以下のようになっています。
(令和4年賃金構造基本統計調査|厚生労働省を元に作成)
仕事内容や、所属するファームの規模にもよりますが、財務コンサルタントは20代半ばで急激に年収がアップし、30代で700万円台という順調な伸びが期待できます。40代後半でいったん下降しているのは、この時期に独立する人も多いことがうかがえます。この時期を超えれば、また高い上昇率を示しているのは、企業に残った人が高い役職に就くとともに、独立後、年収が上がることを示していると考えられます。
役職別年収の目安
一般に、財務も含めてコンサルタントは、「課長」や「部長」ではなく、次のような役職を使います。コンサルティングファームによって呼称は異なりますが、大まかな業務の分類は、外資系のコンサルティングファームであっても日系のコンサルティングファームであっても、大きな違いはありません。
それぞれの役職に就く大まかな年齢と年収の推移を紹介します。
- アナリスト(ジュニアコンサルタント、スタッフ)
新卒で入社した人を中心に構成されます。アソシエイトやマネジャーに指導されつつ、情報収集や分析、資料作成を行いながら、コンサルタントの基礎を身につけます。一般的には2〜3年でアソシエイトに昇格します。
年齢:22~28歳 年収:400~500万円 - アソシエイト(コンサルタント、シニアアナリスト、シニアアソシエイト)
アナリストから上がってきた資料を元に、プロジェクトを実行します。比較的多くの裁量を持ち、マネジャーの判断を仰ぎつつも自主的に仕事を勧めます。また、アナリストの指導もアソシエイトの役割です。仕事が評価されれば、3~5年でマネジャーに昇格します。
年齢:25~35歳 年収:500~900万円 - マネジャー(プロジェクトマネジャー、シニアマネジャー、プロジェクトリーダー)
プロジェクトマネジメントの責任者として、さまざまなプロジェクトを統括するほか、顧客開拓や採用など、幅広い役割を担います。
年齢:28~40歳 年収:800~1,200万円 - パートナー(プリンシパル、ヴァイスプレジデント、ディレクター)
コンサルティングファームの最上位の役職です。通常、共同経営者として扱われます。新規プロジェクトの受注を行うほか、執筆や講演会など、コンサルティングファームの「顔」としての活動が中心になります。
年齢:35歳~ 年収:1,200万円~
フリーランスの年収の目安
コンサルティングファームや会計事務所などから独立し、フリーランスとなった財務コンサルタントの収入を見ておきましょう。
財務コンサルタントは安定したニーズがありますが、案件の内容に幅があり、それに従って単価も幅があります。相場としては、月100万〜180万円ほどの月収が多く、年収にすると1,200万〜2,160万円ほどです。ただし、これは年間の稼働率が100%の場合です。
フリーランスで財務コンサルタントとして活躍している人の中には、起業して別の事業を行っている人も多く、フリーランスの相場は1,500万円前後がボリュームゾーンとなっています。
また、会計業務を中心に手掛けている場合、案件の特徴として繁忙期と閑散期がはっきり分かれる傾向があります。そのため、副業として財務コンサルタントを行ったり、先述のように別の事業を行っている人が多いのも特徴です。
財務コンサルタントの年収が高い理由
財務コンサルタントが高収入である理由としては、以下のような点が挙げられます。
高度な専門性と責任の重大さ
財務コンサルタントは、金融や会計、税務、法律など、幅広い専門知識を要求されます。これらの知識を駆使して、企業の財務状況を分析し、改善策を提案します。
また、企業が抱える財務的な問題は、企業経営に直結するものであり、経営の命運を左右する重要な決断を支援することになります。そのため、高い責任が伴い、高度な専門性と論理的思考能力を必要とします。
高いニーズと希少性
企業の抱える課題は、DX化やAI導入を始め、M&Aによる事業統合や事業承継、グローバル化など、ますます複雑化・難化しています。こうした経営課題に対応するため、財務コンサルタントの需要がますます高まっています。
一方、財務コンサルタントに必要な専門知識を習得するには、長年の経験と学習が必要であり、人材の育成には時間がかかります。そのため、市場における人材の供給が需要に追いついていない状況です。
大型プロジェクト
財務コンサルタントが手掛ける案件は、プロジェクト単位で報酬が支払われることが多く、大規模なM&Aや企業再生などの大型案件が数多くあります。プロジェクトの成功に大きく貢献した場合、得られる報酬も高額になります。
キャリアアップのスピードが速い
コンサルティング業界は、若いうちから重要なプロジェクトに関わる機会が多く、短期間でキャリアアップが可能です。また、多くのコンサルティングファームが年功序列制を取っていないため、早い段階から高収入を得る人も多くなっています。
多様な働き方が可能
財務コンサルタントはフリーランスとして独立したり、副業を行ったりするなど、自分のペースで働くことが可能な職業です。そのため、本業で財務コンサルタントを行いながら、副業でさらにコンサルティングを行ったり、フリーランスのコンサルタントとして多くの案件を手掛けたりするなど、多様な働き方を通じて、高い収入を得ている人も多くいます。
財務コンサルタントの年収に影響する要因
どのような要因が財務コンサルタントの年収に影響するかを整理しておきましょう。
企業の規模
財務コンサルタントの年収は、所属する企業の規模によって大きく左右されます。
- 大手コンサルティングファーム
世界的に有名な大手コンサルティングファームは、大規模なプロジェクトを多数抱えており、高水準の報酬体系が確立されています。新規事業の立ち上げや企業買収など、複雑かつ高難易度の案件を担当する機会が多く、年収もそれに応じて高くなる傾向があります。 - 中堅・中小規模のコンサルティングファーム
大手と比較すると、プロジェクト規模は小さくなる傾向がありますが、専門性の高いニッチな分野に特化しているケースが多くあります。大手では得られないようなきめ細かいサービスを提供できることが強みであり、顧客と長期的な信頼関係を築いている傾向があります。そのため、年収は安定しているといえるでしょう。 - 会計事務所
会計事務所の財務コンサルタントは、主に中小企業の会計監査や税務申告から始まって、資金繰りや資金調達、経営改善などをサポートします。大手コンサルティングファームほど年収は高くないものの、こちらも長期顧客を多く抱えている事務所が多く、安定した収入を得ることができます。 - フリーランス
フリーランスの財務コンサルタントは、自身のスキルや経験に応じて、案件を自由に選択することができます。高単価な案件を獲得できれば、高収入を得ることも可能です。ただし、安定した収入を得るためには、継続的に顧客を開拓する必要があります。
経験年数
比較的早い段階から、高収入を得ることのできる財務コンサルタントですが、経験年数が増えるにつれて、年収もそれに比例して上昇します。
年功序列制ではない財務コンサルタントが、なぜ経験年数によって収入が上がるかというと、主に2つの理由があります。
- 専門的な経験の蓄積
クライアントが抱える課題に対して、クライアント視点に立って最善の解決策を提供するには、思考力と経験の蓄積がものを言います。その経験の蓄積によって期待される以上の価値が提供できるコンサルタントは、高い報酬を得ることができます。 - コミュニケーション能力の洗練
クライアントに対してのアピール力や顧客獲得能力に必要なコミュニケーション力も、場数を踏むことによって磨かれていきます。
資格やスキル
財務コンサルタントとして活躍するためには、専門知識やスキルが不可欠です。以下のような資格やスキルは、高い専門性を持っていることの証明となり、年収に大きく影響を与える可能性があります。
- 公認会計士(CPA)・税理士
会計に関する高度な知識と実務経験を有していることを示します。会計の専門家として、企業の財務状況を正確に分析し、適切なアドバイスを行えることをアピールできます。 - 証券アナリスト(CMA)
投資や企業評価に関する専門知識を有していることを示す資格です。この資格を持つことで、企業の投資戦略策定を支援するための専門知識を有していることをアピールできます。 - 統計検定
統計検定は5段階で統計学の知識を判定する試験です。データアナリストは2級以上の取得が推奨されていますが、多くのデータを扱う財務コンサルタントにとっても統計の知識は強い武器となるでしょう。 - M&Aスペシャリスト
M&Aスペシャリストは日本経営管理協会が認定・運用している民間資格です。M&Aの実務を行うために必要な法務や財務、税務、登記などの専門知識が試験で問われる、難易度の高い試験です。この資格を取得することで、M&Aに関する専門知識を保持していることが証明されます。 - 中小企業診断士
財務コンサルタントとして、中小企業の経営をサポートしようと考えるのであれば、取っておきたい国家資格です。「経済学」や「財務・会計学」「企業経営理論」など、幅広い範囲から出題される1次試験、筆記と口述の2次試験があり、合格率は4%ともいわれる難易度の高い試験です。
財務コンサルタントが年収を上げるためのキャリアパス
財務コンサルタントとして年収を上げるためには、明確なキャリアパスを描き、計画的にステップアップしていくことが重要です。
以下に、一般的なキャリアパスとそれぞれのステップで求められること、そして年収アップのヒントを紹介します。
コンサルティングファームに所属した場合
コンサルティングファームは上記で紹介したように、能力や実務経験に応じていくつかの段階に分かれています。個人の資質や環境によって違いはありますが、以下の区分をひとつの目安にしてください。
- 入社直後:入社直後は、先輩社員のサポートを受けながら、基本的な分析業務や資料作成などを担当します。この期間は、企業財務に関する知識を吸収しつつ、実務経験を積むことが重要です。
- 3年目〜:ある程度の経験を積むと、単独でプロジェクトを担当できるようになります。クライアントとの直接的なやり取りや、プレゼンテーションなど、より高度なスキルを身につける時期です。また、自分の専門領域を持つことも重要です。
- 7年目〜:専門知識や経験が豊富になり、プロジェクトリーダーやマネジャーとして活躍できるようになります。大規模なプロジェクトを成功に導き、組織全体の戦略策定にも貢献することが期待されます。また、転職や独立を視野に入れる時期でもあります。
事業会社や金融機関への転職した場合
コンサルティングファームで培ったスキルや経験を活かして、事業会社や金融機関へ転職することも有力な選択肢です。
- 事業会社:財務部門で経営企画や財務分析などの業務を担当し、企業の成長に貢献することができます。
- 金融機関:投資銀行や証券会社で、M&Aアドバイザリーや企業評価などの業務を担当することができます。
フリーランスがステップアップする場合
財務コンサルタントがフリーランスとしてステップアップしていくためには、個人としてスキルアップするだけでなく、信頼できるエージェントを探すことが重要です。
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エージェントは、案件の紹介だけでなく、契約交渉や報酬交渉など、さまざまな面でサポートしてくれます。
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財務コンサルタントの将来性
財務コンサルタントは、さまざまなコンサルタントの中でも、高い将来性を持つ分野だと考えられています。財務コンサルタントの将来性について説明します。
財務コンサルタントは今後も需要が見込まれる
企業を取り巻く環境はますます複雑化し、高齢化とともにM&Aや事業再編が一層増えていくでしょう。財務に関する専門的な知識と経験を備えている財務コンサルタントのニーズは、今後、ますます高くなっていくと考えられます。
また、近年ではESG投資の重要性が高まり、サステナビリティに関するコンサルティングのニーズも拡大しています。
専門知識だけでなく、実行支援スキルが求められるでしょう。
財務コンサルタントの新分野
財務コンサルティングの分野は、常に変化し続けています。近年では、以下の分野が注目されています。
- ESG投資
ESGは、持続可能な成長を目指すために、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの観点から企業活動を行っていくことが重要だとする考え方です。企業に投資を行う上で、従来の財務状況を考慮するだけでなく、企業経営がESGに配慮してなされているかどうかが考慮されるESG投資の動きが、今後広がっていくと予想されています。それに伴い、財務コンサルタントもESGに関する評価や報告、戦略策定を支援するニーズが高まっています。 - デジタルファイナンス
Fintechの普及により、決済システムや金融商品の提供方法が大きく変化しています。財務コンサルタントは、これらの新しい技術を理解し、企業がデジタル化に対応できるよう支援することが求められます。 - データ分析と生成AIの活用
大量の財務データを分析し、そこから有益な情報を引き出す能力は、現代の財務コンサルタントにとって必須のスキルです。今後、生成AIの活用によって、膨大な量の財務データを迅速かつ正確に処理が可能になります。その分析を活かし、より高品質のサービスを提供することが可能になるでしょう。
財務コンサルタントで高収入を目指す準備を始めよう
本記事では、財務コンサルタントの年収に焦点を当て、さまざまな役職による年収の違いや、財務コンサルタントが高年収の理由、今後、年収を上げる方法について詳しく解説してきました。
財務コンサルタントは、今後も高い需要が見込まれる職業ですが、高い年収を得るためには、継続的なスキルアップとともに、定期的なキャリアプランの見直しが不可欠でもあります。
現在、フリーランスとして財務コンサルタントとして活躍しておられる方、今後、独立し、フリーランスの財務コンサルタントを目指す方は、ぜひ、ご自身の経歴やスキルに沿った案件を獲得し、効率よく年収を上げてください。
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