ECコンサルタントとは?年収や業務内容、必要なスキルなどを解説

更新日:10月4日


ECサイトやEC事業をはじめる企業の増加にともない、需要の高まっている職種がECコンサルタントです。今後ECコンサルタントとして活躍したい人や、ECコンサルタントとして副業を始めてみたいと考えている方も多いかもしれません。


今回の記事では、ECコンサルタントとは何かに加えて年収や業務内容、ECコンサルタントの種類、必要なスキルや資格を解説しています。ECコンサルタントを目指すための具体的な方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。




目次




ECコンサルタントとは





ECコンサルタントとは、ECサイトを運営する事業者に対して、ECサイトの効率的な運用方法や、売上改善のための分析、施策立案などを行うECコンサルティング業務を担う職種のことです。ECコンサルタントの役割や、似ている職種との違いについて解説します。


ECコンサルタントの役割


ECコンサルティングは、ECサイトの利益や売り上げを最大化する目的で実施されます。ECサイトはただ立ち上げただけでは売り上げにつながらず、集客や利益に直結する施策を行い、運用することで利益につながります。ところが、ECサイト管理者側にECサイト運営に関するノウハウがない場合、集客や売上が低くても原因が分からず、ECサイトは改善されないままとなってしまいます。そこで求められるのがECコンサルティングです。


ECコンサルティングによって、ECサイトの持つ課題の洗い出しを行い、改善の提案と実践が行われることで、集客や売り上げアップにつながっていくでしょう。


ECコンサルタントとWebコンサルタントの違い


ECコンサルタントは、企業の自社ECサイトやECモールへの集客施策を行い、アクセス数、売上、利益率を向上させるための戦略を提案するのが目的です。一方、Webコンサルタントとは、Webにまつわるコンサルティングや施策実行のサポートが目的です。たとえば、Webコンサルタントは法人企業のWebサイト(コーポレートサイト)のUIを改善したり、採用サイト(リクルートサイト)の集約や改善のための施策を行ったりします。





ECコンサルタントの将来性





EC事業やECサイトはインターネットの普及、新型コロナウイルス感染症による非対面・非接触での購買行動などのニーズが高まったことから増加しました。アフターコロナでもECサイトのニーズは高く、今後も新規でEC事業に参入する企業は多いと見込めます。ECコンサルタントは今後も安定して高い需要が見込まれ、将来性が高いと言えるでしょう。





ECコンサルタントの年収





求人サイトのリサーチ結果によると、ECコンサルタントの平均年収は400~1000万円で、実務経験や就業先によって変動します。


ECコンサルタントの年収について詳しくは以下のページで解説しています。

ECコンサルタントの年収は?業態、企業、年代、業務別に解説




ECコンサルタントの業務内容





ECコンサルタントが担う具体的な業務内容を解説します。


EC戦略立案


EC戦略立案とは、ECサイトで売上を上げるための戦略を立てることです。クライアントにヒアリングを実施して、以下のような要件定義を行うことで、ECサイトの売上アップや改善のための戦略を立てていきます。


  • 取り扱う商材
  • ターゲット顧客
  • 出店プラットフォーム
  • 競合サイト

ECコンサルタントは戦略に沿った施策を提案・実行しますが、戦略の方向性が間違っていると当然ECサイトの成果にはつながりません。そこでECコンサルタントは慎重な議論や分析を行って戦略を立てる必要があります。


ECサイト制作


企業側がECサイトをまだ持っていない場合は、ECコンサルタントはサイト制作に関する業務を担います。ECコンサルタントに制作スキルがあれば自分で作ったり、サイト制作会社と共同で作業したりすることもあります。


ECプラットフォームの選定


ECサイトを展開する場合、以下いずれかの方法を取ることになります。


  • 楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなどのモール系プラットフォームに出店する
  • Shopify、カラーミーShop、BASEなどのプラットフォームでECサイトを作成して出店する
  • 自社サーバーにECサイトを構築する

ECコンサルタントは、ECサイトの規模、予算、デザインといったクライアント側の要望や重視したいポイントをヒアリングし、プラットフォームやサービスの選定やECサイト制作方法の提案などのアドバイスを行います。


オンライン集客の施策の提案と実施


以下のようなオンライン上でECサイト集客のための施策の提案と実施するのもECコンサルタントの業務です。


  • SEO(検索エンジン最適化)対策
  • SNS対策
  • メルマガ集客
  • Web広告

SEO対策とは、Googleや各ECプラットフォームの検索エンジンの検索ページの上位に、自社のECサイトや商品ページが表示されるようにする施策です。SEO対策によって検索エンジンからのECサイトへの大幅な集客が見込め、売上アップが期待できます。


検索エンジンは検索結果の仕組み(アルゴリズム)を定期的にアップデートしているため、SEO対策は都度行う必要があります。


SNSを活用した集客施策もECコンサルタントが提案、実施します。SNS施策はリアルタイムで情報発信をしたり、ユーザーとやりとりを行ったりで集客やファン化が狙える施策です。


SNSと連動したキャンペーンを行ったり、情報を拡散させたりといったこともできます。ただし効果が出るのに時間がかかるため、継続的な施策の運用が必要です。


メルマガ集客は、企業やサービス運営者から、複数の購読者に対して一斉に送信されるメルマガを利用した集客施策です。一斉にメール送信できる一方、新しいコンテンツを継続的に作ったり、メルマガを最後まで読んでもらえるための工夫をしたりといった手間があります。


ECコンサルタントは、コンテンツの内容といったメルマガ集客のための具体的な提案のほか、運用のためのサポートも提供します。


Web広告とは、インターネット上に掲載される広告のことです。Web広告は広告枠を購入するため、費用が発生しますが、即効性があります。ECコンサルタントは、より大きな成果を上げるためのWeb媒体や、Web業者の選定、ターゲッティングや分析、運用のサポートを行います。


ECサイトの分析と改善策の提案


ECサイトにある程度集客ができていても、商品が売れない、売上が伸びないというときにはECサイトの改善が必要です。ECコンサルタントは、改善のために現状のECサイトより以下のような要因を洗い出します。


  • ページ構成
  • 商品画像
  • 購入ボタン
  • 商品ページへのリンク
  • 決済方法
  • 入力フォーム

要因を洗い出し、改善策を実施後はABテストを行って結果を分析し、ECサイトを改善していきます。





ECコンサルタントの種類





担当する業務によって、ECコンサルタントは以下の5種類に分かれます。


  • オールラウンド型(大手、中堅企業向け)
  • オールラウンド型(中小企業向け)
  • 売上特化型
  • モール特化型
  • 越境EC特化型

それぞれの特徴を解説します。


オールラウンド型(大手、中堅企業向け)


オールラウンド型とはECサイトや事業に対する総合的なサポートを提供するコンサルタントのことです。


その中でも、大手~中堅企業へのサポートに強みを持つECコンサルタントもいます。たとえば以下のような強みです。


  • コンサルティング実績が多い
  • 独自のノウハウや技術を持っている
  • 専門的なスキルを持っていてサポートを提供できる
  • 幅広いジャンルのECサイトに対応できる

予算に余裕があり、ECサイトの制作から運用、改善まで丸ごと任せたい大手企業や、中堅企業からのニーズが特に高いECコンサルタントです。


オールラウンド型(中小企業向け)


中小企業向けのオールラウンド型ECコンサルタントは、きめこまかいサービスやサポートを提供することが多いです。


たとえばクライアントの要望に応じてオーダーメイドで提案を行うなどの対応を行います。ECサイトの制作から運用までまるごと代行するなど、ECコンサルタントによって定位するプランの幅も広くなっています。


近年増加しているDtoCビジネスのためにECサイトを立ち上げる中小企業も多く、DtoCビジネスニーズを受けて需要が高まっているECコンサルタントと言えるでしょう。


売上特化型


ECプラットフォームや自社ECでの売り上げアップに特化しているECコンサルタントです。ECサイトの売上が上がらない、集客がないけれども理由が分からない、といったときの総合的なサポートではなく、明確に「売上アップ」を目的としたコンサルを提供します。


ECプラットフォームやサイトの特徴を把握しており、それに合わせたサポートを提供できるのが特徴です。料金体系は歩合制(成功報酬型)が多くなっています。


モール特化型


楽天・Amazon・YahooショッピングといったECモールで売上を上げるためのコンサルを専門に行うECコンサルタントです。


ECモールは競合が明確になりやすく、独自の集客特性を理解した上での戦略が必要になってきます。モール特化型のECコンサルタントは、ECモールで確実に利益を上げ、ECモール内での競争力をつけるためのノウハウを提案します。


ECモールはEC事業初心者でも出店しやすく、個人事業主からの依頼も多いのがモール特化型のECコンサルタントです。


越境EC特化型


海外ユーザーをターゲットにした越境ECの出店に強みを持つECコンサルタントです。国内だけでなく海外へも進出したいとき、特定ジャンルで海外でのニーズが高まっている商材を扱っているEC事業者からのニーズが高くなっています。


越境EC特化型のECコンサルタントとして活躍するには、EC事業やサイトに関する知識だけでなく、多言語や通貨、海外向け決済などの知識も必要です。





ECコンサルタントに求められるスキル





ECコンサルタントとして活躍するために必要なスキルを解説します。


ECサイトの運営経験


ECサイトの運営経験があれば、クライアント企業のEC担当者に対して自分の経験を踏まえた提案やアドバイスができます。ECサイトの改善や独立開業時に的確なアドバイスが可能です。


柔軟性


ECコンサルタントには、状況に応じて適切な対応をする柔軟性が必要です。変化のスピードが早い市場のニーズやトレンドを追いかけ、それに合わせた施策や提案を行わなければいけません。


また、SEO対策のアルゴリズムアップデートなどへの対応も求められます。ECコンサルタントには、つねに最新の情報を取り入れて、クライアントに多くの提案を行うための柔軟性が必要です。


コミュニケーション能力


ほかのコンサルタントと同じく、ECコンサルタントもクライアントから信頼を得るためにコミュニケーション能力が必要です。


さらにECサイトは運用しながら成果の分析を行っていくため、クライアントからつねに理解を得ながら業務をすすめるためにも、コミュニケーション能力は必須と言えるでしょう。


万が一ECサイトの運営方針などで意見が対立したときにも、日頃からクライアントと信頼関係が結べていれば問題なく業務を進められます。





ECコンサルタントとして活躍するためにおすすめの資格





ECコンサルタントになるためには、特定の資格は必要ありません。ただし、以下のような資格を取得しておくことで自分のスキルや技術、知識の証明になります。


  • 応用情報技術者
  • ITストラテジスト
  • マーケティング・ビジネス実務検定
  • ウェブ解析士
  • ネットマーケティング検定

それぞれの資格について解説します。


応用情報技術者


応用情報技術者は、業務経験が5~6年程度の中堅のプログラマーやシステムエンジニアを対象とした試験です。ITに関連する知識に加えて、マネジメントやストラテジの分野まで広い範囲が出題されます。合格率は20%前後、IT初学者の場合は勉強時間は500時間ほどです。


ITストラテジスト


ITストラテジストは、経営とITを結び付ける専門家として認められる国家資格です。ITの網羅的な知識と経営に関する知識が求められ、合格率は15%前後と難易度は高めとなっています。


マーケティング・ビジネス検定


マーケティング・ビジネス検定とは幅広いマーケティングの知識や実務スキルを評価・認定する資格です。3クラスあり、C級(初級)は50時間程度、B級(中級)50~100時間程度、A級(上級)は約100~150時間程度の勉強時間が求められます。


ウェブ解析士


ウェブ解析士とは、ウェブマーケティングの入門試験で難易度はやや低くなっています。過去合格率は50%強、2024年度試験の平均合格率は87%です。


ネットマーケティング検定


ネットマーケティング検定とは、ビジネスの企画・立案に活用できるマーケティングサイドの知識を体系的、網羅的に取得できる資格です。合格率は70%台、学習時間の目安が15時間とこちらも取得しやすい資格と言えます。





ECコンサルタントになる方法





ECコンサルタントになるための具体的な方法を解説します。


ECコンサル会社の就職


ECコンサルを専門に行う会社へ就職して正社員として働く方法です。ECコンサルティング専門の会社として、たとえば「株式会社これから」「株式会社Proteinum」「Finner株式会社」などがあります。


ECコンサル会社によって強みやターゲットとしているクライアントの規模が異なるため、自分の得意な分野を活かせる会社を選んで就職活動をするのがおすすめです。


コンサルティングファームへの就職


さまざまな分野のコンサルを提供する総合コンサルティングファームへ就職する方法です。実務経験が長ければ大手のコンサルティングファームへ転職し、高収入も目指せます。ECコンサル以外にも他分野へのコンサルへ転職するキャリアパスも考えられるでしょう。


フリーランスになり独立


ある程度ECコンサルタントとしての実務経験を積んで実績を得たら、フリーランスになり独立する方法もあります。案件は自分で獲得する必要がありますが、働き方によっては十分高収入を目指せるでしょう。働く時間や場所などを自分で決めたいときにもおすすめです。


正社員として働きながら副業


正社員として働きながらECコンサルタントとしての仕事を副業として行います。副業を探す際には、ECコンサルタントの稼動率の低い案件を多く取り扱っているエージェントサービスを利用する方法がおすすめです。


たとえばPODでは副業向けの稼動率20~50%のECコンサルタント案件もあり、非公開案件も多数取り扱っています。自分のライフスタイルに合わせて働ける副行案件探しも効率的に行えます。





ECコンサルタントのキャリアパス





ECコンサルタントとして実績を積むと得られる、キャリアパスを解説します。


経営コンサルタント


ECコンサルタントは、戦略策定、売上を上げるための施策実施、プロジェクトマネジメントなどの実績を積めます。これらを活かして企業の経営課題を解決する経営コンサルタントとしても活躍できるでしょう。


EC事業部門責任者


ECコンサルタントとして経験を積むことで、EC市場に関する知識、EC事業で発生する課題の解決スキル、コミュニケーション能力を身につけられます。これらのスキルや技術を活かして、企業のEC事業の責任者として活躍することも可能です。


マーケティング担当


ECコンサルタントは、ECサイトの運用や改善を通じて市場ニーズや顧客行動のデータ分析のスキルを身に付けられます。これらのスキルを活かし、ECマーケティング担当として、企業のマーケティング戦略の立案、実行することも可能です。


ベンチャー企業の創業メンバー


ECコンサルタントは、より主体的な役割が求められるベンチャー企業の創業メンバーにもなれます。ECコンサルタントでの実績を通じて、企業戦略やマーケティングといった、新しいビジネスをはじめていくにも役立つスキルを身に付けられるでしょう。





まとめ


ECコンサルタントの概要や似ている職種との違い、年収や業務内容、必要となる資格やスキル、キャリアパスについて解説しました。ECコンサルタントは今後も一定の需要が見込まれる職種です。企業の正社員として働くだけでなく、フリーランスや副業としても活躍できます。重視したいポイントに合わせた、理想のECコンサルタントを目指しましょう。