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2023.01.31 SAPコンサルタントとは?仕事内容や年収・将来性など詳しく解説

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企業の基幹システムであるERP分野で世界シェアNo.1を誇るSAP(エスエーピー)。このSAPのERPパッケージ製品を活用することで、企業の経営課題を解決に導くコンサルタントを「SAPコンサルタント」といいます。需要が高い一方、数が足りず、コンサルタントの中でも市場ニーズが高い傾向があります。本記事ではSAPコンサルタントの概要、仕事内容や将来性、魅力を解説します。SAPコンサルタントに必要な能力・スキルやSAPコンサルタントになる方法もあわせて紹介するので、参考にしてください。 

  

   

目次

SAPコンサルタントとは?仕事内容や年収・将来性など詳しく解説 

SAPコンサルタントの概要
 SAPとは
 SAPコンサルタントとは
 SAPコンサルタントとSAPエンジニアの違い

SAPコンサルタントの仕事内容

SAPコンサルタントの3つの魅力
 ①SAPのスペシャリストとしてキャリアアップできる 
 ②年収アップにつながる
 ③フリーランスとして独立ができる

SAPコンサルタントの平均年収 

SAPコンサルタントの将来性

SAPコンサルタントに求められる能力・スキル

SAPコンサルタントになる方法
 SAP案件を取り扱うコンサルティング会社に転職する 
 SAPシステムを活用する事業会社などで経験を積む
 SAP認定コンサルタント資格を取得する
 フリーランスとして案件を獲得する

まとめ

  

   

SAPコンサルタントの概要

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SAPコンサルタントの概要について、そもそもSAPやERPとは何か、SAPコンサルタントとSAPエンジニアの違いなどを含めて解説します。 

  

SAPとは

SAP(エスエーピー)とはドイツに本社をかまえる、世界最大級のソフトウェア会社です。1972 年創業当時はシステム分析とプログラム開発を意味する「Systemanalyse Programmentwicklung(英語名:System Analysis Program Development)」という社名でしたが、現在は頭文字をとって「SAP」という名称になりました。このようにSAPというのは社名ですが、同社が提供するERPパッケージ製品の名称を「SAP」と呼ぶことが一般的になっています。 

SAPはERPを提供しているベンダーの一つですが、まず最初にERP(Enterprise Resource Planning)について少し説明します。 

ERPを直訳すると「企業資源計画」となりますが、「全部門共通システム」または「統合基幹システム」として知られています。企業のシステムは、当初、経理システム、人事システム、調達管理システムなど、部門ごとに個別最適で構築されることが多くありましたが、全社最適で機能を集約したのがERPで、企業のヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を一元的に管理します。 

部門ごとのシステムでは全社としては効率の悪いことが多々ありました。例えば、調達部門で物品を購入した場合、支払い処理のためにその情報を経理部門に書類で提出し、経理が支払いシステムに入力するといったことも珍しくありませんでした。全社の共通システムであれば、このような情報・データの共有に際して人が介在する手間が省けるだけでなく、入力ミスなどリスクも回避できるため、今では多くの企業で利用されています。 

ERPは世界でも年々成長している市場で、2021年から2026年までの年平均成長率1.5%、2026年までに1,123億ドルに達すると予想されています。そんなERP市場の中で世界シェア1位を獲得しているのがSAPのERPパッケージ製品です(※1)。

※1 出典:Apps Run The World.「トップ10のERPソフトウェアベンダー、市場規模、および市場予測2021-2026」 

  

SAPコンサルタントとは

SAP(以下、SAPが提供するERPパッケージ製品を「SAP」と記載)は、インストールするだけでは利用できません。インストール後にパラメータの設定や各社の業務内容に合わせたアドオン機能の開発などが必要です。 

SAPは世界各国のさまざまな業種で利用されるERPパッケージなので、言語や画面上に表示する項目などあらゆる機能を選択することが可能です。また、日本企業の多くは効率化を目的に独自の業務フローを取り入れているため、ABAP(Advanced Business Application Programming)というSAP独自のプログラミング言語を用いて開発する必要があることも少なくありません。顧客に合わせてカスタマイズできる機能の幅広さがあるからこそ、SAPが世界シェアNo.1である理由の1つといえます。 

このように、SAPを導入するにはどのような設定や手順が必要か専門的な知識がないと難しいため、その役割を担うのがSAPコンサルタントになります。 

  

SAPコンサルタントとSAPエンジニアの違い

SAPコンサルタントと混同されがちな職種としてSAPエンジニアというものがあります。SAPコンサルタントは、SAPの要件定義など上流工程でのコンサルやプロジェクトマネジャーの役割を担うのが一般的です。一方、SAPエンジニアはパラメータの設定、アドオン機能を開発するのが主な仕事です。 

ただ、実際にSAPコンサルタントとSAPエンジニアが同じ役割を担う場面も少なくなく、またSAPコンサルタントであってもエンジニア領域である設計や開発まで行うこともあります。それぞれ独立して仕事するのではなく、連携してSAP導入のプロジェクトを進めます。 

   

   

SAPコンサルタントの仕事内容

SAPコンサルタントの仕事内容は、シンプルにいうとクライアント企業の経営課題を分析し、SAPを使って解決に導くことです。ミッションとしてはITコンサルタントに近いですが、SAPコンサルタントはSAPについて高度な知識やスキルが必要になるのが特徴といえるでしょう。 

前述の通り、SAPを導入する際にはクライアント企業の課題や業務フローなどに合わせてカスタマイズが必要です。 

SAPには独自の概念であるモジュールというものがあります。モジュールとは、会計システム、人事システムなど部門単位の機能を指します。例えば、FI(Financial accounting)は財務会計用のモジュール、HR(Human Resources)は人事管理用のモジュールなど、20以上の部門に関連した機能に分かれていますが、これをクライアント企業に合わせて、必要なモジュールの取捨選択を行った上で、パラメータの設定やアドオン機能の開発などカスタマイズの最適化を行わなければなりません。企業ニーズにぴったりフィットしたERPにできるのがSAPの最大のメリットであるがゆえに、SAPコンサルタントはこのように非常に複雑なSAPのシステムを深く理解した上で最適なシステムを提案し、構築していかなければなりません。 

さらに、開発中に起こるバグなどの不具合を解消し、SAPが正常に動作するよう対処することや、導入後の保守運用のサポート、業務改善の提案、必要に応じてシステムのアップデートすることなどもSAPコンサルタントの仕事です。

   

  

SAPコンサルタントの3つの魅力

SAPコンサルタントの主な魅力は以下の3つです。 

   

  • ①SAPのスペシャリストとしてキャリアアップできる 
  • ②年収アップにつながる 
  • ③フリーランスとして独立ができる 

それぞれ解説します。 

  

①SAPのスペシャリストとしてキャリアアップできる

ITコンサルタントとして活躍するには特定のソフトやハードだけでなく、ITに関する幅広い知識が必要になりますが、SAPコンサルタントはITの中でもSAPのスペシャリストとして、SAPに関する知識・スキルにフォーカスすることができます。 

SAPはERPの中でシェアが高く、SAPコンサルタントの案件数も多いため、SAPに特化して経験を積んでいくことができます。実績を重ねる中でスキルアップを実現し、SAPのスペシャリストとしてさらにキャリアアップすることが期待できるでしょう。 

  

②年収アップにつながる

SAPコンサルタントは実績を積んでいけば、さらなる年収アップも実現可能です。企業やポジションにもよりますが、SAPコンサルタントの年収はその市場ニーズの高さからITに関わる職種の中でも高い傾向があります。 

SAPコンサルタントとしての報酬は、SAP認定コンサルタント資格の有無、SAPエンジニアとしての開発経験の有無、SAPプログラミング言語「ABAP」の習得によっても変わります。SAP認定コンサルタント資格とは、SAPに関する知識・スキルの習得をSAP社が公式に認定するための資格です。案件の経験を積むことに加えて、このような資格取得などスキルアップに積極的に挑戦することで、その分しっかりと報酬アップが見込めるのはSAPコンサルタントの魅力のひとつです。 

  

③フリーランスとして独立ができる

前述したようにERPの市場は拡大傾向で、SAPの需要も高まっています。一方、高い技能が必要とされるSAPコンサルタントは、需要に対して不足している傾向です。このように企業から必要とされることが多いSAPコンサルタントは、フリーランスとして独立しても活躍する機会が多い職種といえます。 

他のコンサル案件同様、SAPコンサルタントもフリーコンサルタントになると、企業からの報酬が自身の収入に直結するため、SAPコンサルタントとして経験を積んだ人は会社員時代より収入が増えることが多いのも強調したいポイントです。 

  

   

SAPコンサルタントの平均年収

SAPコンサルタントの年収は、前述の通り、関連資格の有無や案件の経験数、独自プログラミング言語「ABAP」の能力などによって500万〜1500万円と大きな幅があります。プロジェクトリーダーやマネージャーの場合は年収1,000万円を超えるのが一般的といえます。 

一方、フリーランスのSAPコンサルタントの場合は、SAP案件の経験が浅いと月単価100万円程度ということもありますが、豊富な知見やスキルに加えてプロジェクトマネジャーなどの経験があるであれば月単価300万~400万円といった高い報酬水準も珍しくありません。このように、一定のスキルや経験のある人であればフリーのコンサルになったほうが高い収入を得られることも覚えておきましょう。 

SAPなどのテーマや報酬金額からフリーコンサル案件が探せるPOD案件一覧はこちら 

   

  

SAPコンサルタントの将来性

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現在はSAP導入の案件数は落ち着いてきているものの、他社製品からの乗り換えや、海外事業に伴うプロジェクトなどはまだまだ多い状態です。SAPコンサルタントの求人も継続して一定数存在し、今後も需要は高いことが期待されます。 

特に注目したいのが「2027年問題」。2027年問題とは、日本企業でも使われていることの多い「SAP ERP 6.0」の標準サポートが2027年に終了することよって起こりうる問題です。これを機に次世代製品「SAP S/4HANA」への移行する企業が増えることが予想されています。導入時と同様にSAPの移行には専門的な知識やスキルが求められるため、SAPコンサルタントの需要も高まるといえるでしょう。 

  

  

SAPコンサルタントに求められる能力・スキル

SAPに限らずコンサルタントに求められる能力・スキルである、問題解決能力や論理的思考力、コミュニケーション能力などはいうまでもなくなく必要不可欠です。 

加えて、SAPコンサルタントは前述の「概要」「仕事内容」で伝えている通り、SAPに関する高い知識とスキルの習得が必須となります。SAPと一言でいっても、そのシステムは複雑かつ高度であり、例えば「SAP認定コンサルタント」の資格はアソシエイトからスペシャリスト、プロフェッショナルとレベル別に150を超えるほどの規模で、簡単に習得できるものではありません。SAPの導入・活用経験に加えて、独学や資格取得などで知識やスキルを継続的に身につける必要があるでしょう。 

また、ERPシステムであるSAPは経理・人事・調達・営業など企業の各部門に関するモジュール機能に分かれています。企業の全部門・全機能の経験や知見を完全に得るというのはあまり現実的ではありませんが、人事や営業など特定の部門の仕組みや業務、その部門で使用するシステムを経験するなど特定領域だけでも精通していると、SAPコンサルタントとしても能力が発揮しやすいかもしれません。特にSAPでいう「FI(Financial Accounting)」という会計モジュールはSAPの中でも根幹となる機能です。営業や調達、人事など、どのような企業においても会計が関わらない機能がないからです。つまり会計知識があることはSAPコンサルタントとして活躍するのにとても重要な要素になるといえます。 

  

   

SAPコンサルタントになる方法

SAPエンジニアとしてプロジェクトの下流工程である開発の経験を積んだ人がプロジェクトマネジャーとしてSAPコンサルタントになるということが比較的多いキャリアパスになりますが、SAPエンジニアの経験がなくてもSAPコンサルタントを目指すことは可能です。未経験からSAPコンサルタントとして活躍するには主に以下のような方法が考えられます。 

  

  • ●SAP案件を取り扱うコンサルティング会社に転職する 
  • ●SAPシステムを活用する事業会社などで経験を積む 
  • ●SAP認定コンサルタント資格を取得する 
  • ●フリーランスとして案件を獲得する 

   

SAP案件を取り扱うコンサルティング会社に転職する

SAPコンサルタントになる方法の一つは、SAP案件を取り扱うコンサルティングファームなどの企業に転職し、SAPコンサルタントとして実務経験を積むことです。SAPコンサルティング経験がない人でも経験が豊富な上司や先輩から、サポートやアドバイスが受けられる機会も得られ、実践的な技能を獲得していることができます。SAPコンサルタントとして独立を目指す場合でも、まずは企業で経験を積んで、実績や信頼を積み上げておくと良いでししょう。 

   

SAPシステムを活用する事業会社などで経験を積む

SAPは日本でも多くの企業が利用しているERPシステムですので、実際にSAPを導入している企業でSAPシステムの利用者として経験を積むのも一つの方法です。会計を中心に、人事や調達、営業など部門ごとにモジュールが分かれていますが、どこか特定領域だけでもSAP経験があるとコンサルタントとして活躍するのに有効な知識や経験が得られるはずです。前述のコンサルティング会社に転職を希望する際にも評価される経験になります。 

   

SAP認定コンサルタント資格を取得する

SAPコンサルタントになるのに資格取得は必須ではありませんが、SAP認定コンサルタント資格を取得することも一つの手です。SAP認定コンサルタント資格とはSAP社によるSAPの技能認定資格ですですが、資格取得の難易度は高く、一般的には数カ月以上の学習が必要です。特に未経験からSAPコンサルタントを目指す場合は、資格を取得しておくと転職する上でも役立つと考えられます。

   

フリーランスとして案件を獲得する

SAP コンサルタントは需要に対して慢性的に不足しているため、フリーのSAPコンサルタントとしても案件獲得しやすいといえるでしょう。 

とはいえ、SAPコンサルタントとしての経験がないうちから、フリーコンサルタントとして独立するのは難しいといえます。フリーコンサルタントとして案件を獲得したり、顧客の期待を上回る実績を出したりするためには、十分な知識やスキルと同時に、実務経験が必要だからです。フリーコンサルを目指したい人は、前述の通りSAPコンサルを行う企業で経験を積んだり、資格を取得したりするなど、計画的にスキルアップをし、独立の準備をするようにしましょう。 

  

   

まとめ

SAP社のERPパッケージ製品の導入や運用サポートをすることで経営課題を解決に導くSAPコンサルタント。 2027年問題などの影響もあり、今後ますます需要が高まる可能性があることを紹介しました。 

企業の経営課題について基幹システムを構築することで解決に導くという大きなやりがいに加えて、実務経験や資格取得などでスキルアップを実現すればフリーコンサルタントとして、会社員以上の報酬も見込める職種です。 

SAPはもちろん、企業の基幹システムであるERP に興味のある人は、将来性が見込めるキャリアパスのひとつとしてSAPコンサルタントを検討してみてはいかがでしょうか。 

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