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2016.08.19 上場コンサル各社2016年6月期決算を読む (1)大企業向けコンサルティング

7月下旬~8月中旬にかけて、上場企業の6月期決算が発表された。
各社から発表された決算短信を元に、上場しているコンサルティング会社の決算内容を2回に分けて読む。

初回は大手企業をクライアントとしてコンサルティングサービスを提供するシグマクシス、ドリームインキュベータ、野村総合、三菱総研の4社の決算を見てみた。

これらの会社はコンサルティング事業単体で事業を構成している会社ばかりではない。IT部門やインキュベーション事業を持っている会社もあり、決算は複雑だ。そのため、できる限りコンサルティングサービスの結果に注目する。

ドリームインキュベータ

コンサルティング事業の売上高+64.3%、営業利益+181.1%と良好(共に前年比)

ドリームインキュベータは7月28日に平成29年3月期第1四半期決算短信を発表。グループ全体での売上高は3,498百万円(前年比+9.9%)、営業利益は438百万円(前年比+136.1%)となった。

事業別にみると、コンサルティング事業単体ではセグメント売上高は687百万円(前年比+64.3%)、営業利益は357百万円(前年比+181.1%)と好成績。既存顧客である大企業からの継続的な受注に加え、長期的支援を実施する実行支援型プロジェクトの増加、海外企業からの新規受注により、売上は堅調に推移。売上高全体に占めるコンサルティング事業の割合は19.6%(前年は13.1%)となっている。

もう一つのインキュベーション事業では、営業投資セグメントの売上高が前年同四半期の約24百万円から約472百万円に増加。新たにIPOした投資先はなかったが、上場投資先の株式の追加投資・売却を実施したことによる。アイペット損害保険を運営する保険セグメントの第1四半期売上高も1,843百万円から2,332百万円へと伸長。

参考:ドリームインキュベータ平成29年3月期 第1四半期決算短信掲載のお知らせ
http://www.dreamincubator.co.jp/ir_news/30934.html

シグマクシス

売上高+15.2%、営業利益約15倍と好調な決算(ともに前年比)

シグマクシスは8月4日に平成29年3月期 第1四半期決算短信を発表。売上高2,598百万円(前年比+15.2%)、営業利益184百万円(前年同期の約15倍)となった。

コンサルティング・サービスは、戦略コンサルティングとシステムコンサルティングのサービスを統合するなど、市場環境変化への加速への対応として運営体制の一部を変更。そのほか、人工知能(AI)および各種ソフトウェアの活用を推進し、顧客企業へのサービス提供やリサーチなどのコンサルタント業務に活かすなど、人財をより高付加価値の活動に業務に集中させる取り組みを行っている。

また社内のみならず、社外との戦略的な協業関係の構築や、事業投資の拡大、スピードアップを目指してアライアンス専任組織を新設し、クラウドサービスやソフトウェア提供会社とのパートナーシップ強化やジョイントベンチャーなどを仕掛けていくとのことだ。

人財採用面では経験者14名、新卒24名を採用して育成に着手するなど、事業推進に向けた組織構築も順調に進んでいることが伺える。

参考:シグマクシス平成29年3月期 第1四半期 決算短信/四半期報告書
http://www.sigmaxyz.com/ir/

野村総合研究所

コンサルティングセグメントは売上高-0.2%、営業利益-45.5%(共に前年比)

野村総合研究所は7月28日、平成29年3月期 第1四半期決算を発表した。全体での売上高は100,391百万円(前年比-1.1%)、営業利益13,688百万円(前年比+1.1%)という決算となった。

コンサルティングセグメントにおいては、売上高6,138百万円(前年比-0.2%)と前年実績をわずかに下回った。人件費や外部委託費が増加した影響で、営業利益も350百万円(前年比-45.5%)と減少している。

同社は米国で資産運用領域のリサーチ、コンサルティングを提供するCutter Associates社を買収した(2016年7月より連結業績に反映)ほか、8月1日付でデジタルビジネスを専門とする「NRIデジタル」を設立し、デジタル領域におけるコンサルティング、ITソリューション、アナリティクスの提供を開始するなど、引き続きコンサルティングセグメントの強化に取り組んでいる。

参考:野村総合研究所 平成29年3月期 第1四半期決算短信
https://www.nri.com/jp/ir/financial/pdf/1703tanshin_1Q_all.pdf
2017年3月期 第1四半期決算プレゼン資料
https://www.nri.com/jp/ir/presentation/pdf/160728pre_all.pdf

三菱総合研究所

シンクタンク・コンサルティングサ-ビスで3四半期累計比べ売上高-4.8%、経常利益-14.7%(共に前年比)

7月28日、三菱総合研究所は平成28年9月期第3四半期の決算短信を発表した。全体での売上高は66,845百万円(前年比 +0.8%)、営業利益は5,151百万円(前年比+8.1%)となった。

シンクタンク・コンサルティングサ-ビスにおいては当第3四半期連結累計で売上高(外部売上高)は27,748百万円(前年比-4.8%)、経常利益は3,211 百万円(前年比-14.7%)となった。

官公庁向けでは、環境・エネルギー、社会保障、国際標準化などの公共分野における各種調査案件やシステム開発管理案件、民間向けでは、金融機関向けのリスク管理・規制対応支援案件や鉄道事業者向けの顧客データ分析案件などが売上に貢献したが、大型実証事業案件終了による反動減により業績がダウンした。

参考:三菱総合研究所 平成28年9月期第3四半期決算短信
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1385857

 


 
各社コンサルティング事業に注目して見ると、コンサルティングの枠を超えてインキュベーションや外部連携に力を入れるドリームインキュベータ、シグマクシスが好調で、既存大型案件の終了や人件費・外部委託費の増加などの影響を受けた野村総合研究所、三菱総合研究所の業績が横ばいとなっている。

次回、「上場コンサル各社2016年6月期決算を読む (2)中小向けコンサルティング」もご期待ください。

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